606 Machiko Kuroda 黒田 真知子
BRIEF BIOGRAPHY
娘の故黒田真知子は1995年から6年間、ICU教養学部社会科学科、大学院行政学研究科に学びました。友人や恩師の方々をはじめ、多くの方との出会いを通して実り豊かな学生時代を過ごすことができましたことを何より幸せに思い、喜びとしておりました。 これまでの学びを土台に職業を持ちました後も、皆様との絆を大切なものとして、四季折々にICUの庭に帰る日を楽しみにしておりました。しかしながら、学部卒業後10年の節目を前にして病気が見つかり、2010年3月永眠いたしました。病を得ましたことは彼女にとりまして、もちろん大きな試練でしたが、同時にたくさんのものをいただく機会でもありました。 病は日常の暮らしと人々との交わりから一旦自らを切り離すことを強い、病む人を孤独の井戸の底に追い込むかのようです。病の苦しみは人々から隔てられる辛さのために一層増すものですが、病気を新たな体験として真知子は治療の日々から、小さな喜びを掬おうと努めておりました。 そのような折、ICUの友人の方々が中心となって、真知子を支える輪を作ってくださいました。真知子にとりまして、お寄せいただきましたお支えはこの上もなく心強いものでした。温かい友情に包まれた場所のある幸せに改めて感謝したことと思います。傍らの私どもも「恩寵」とはこのこと、と打たれる思いがいたしました。支えていただきました皆様のご厚意に深く感謝申し上げます。 真知子が病にも過酷な治療にも耐えることができましたのは、お寄せいただきました友情に報いたいとの一念の故でした。「結果はどうであれ、すべて、よかったこととお思いください・・・」と申し、最期まで自身を見失うことなく過ごすことができましたのも、何よりいただきましたお励ましのおかげと存じます。 尊い友情の輪を記憶にとどめていただきたいと、この度は記念の建物に真知子の名を刻ませていただきました。ICUの一隅に刻まれた真知子の名は、私どもの深い感謝のささやかな印であり、尊い友情の証です。どうか、建物に真知子の名前をご覧いただきました際には、ICU同窓生の温かい友情に思いを馳せていただけますようお願いいたします。 黒田千鶴子
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DONORS
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PHOTO
2009年秋 大好きな馬と |