オラー・チャバ先生インタビュー
オラー・チャバ先生インタビュー
2013/03/25
たいへんお待たせしました。2012年度秋学期に歴史学デパートメントに着任された、オラー・チャバ(OLAH, Csaba)先生のインタビューです。お楽しみください!
(インタビュー:2013年2月 聞き手:NG)
* * *
NG:はじめに先生の専門分野について教えてください。
オラー:日本中世史 前近代対外交流史が専門です。特に15−16世紀の日明関係、外交文書の研究が中心です。日明関係の重要な史料として日本人が書いた入明記の分析もしています。
NG:ずいぶんと難しそうですが…。
オラー:とにかく史料を読む。そして慣れることが大切だと思います。史料にたくさん接することで言葉にも慣れることができると思います。
NG:授業方針で心掛けていることはありますか。
オラー:学生のリアクションを見ながら模索中です。授業では、学生にできるだけ史料に触れて欲しいと思っているし、また歴史像を描く時に何に基づいてその作業が行われているのかを示したいと思っているので、なるべく史料を利用しています。
NG:学生の皆さんも史料の読解が難しそうですね…。
オラー:特に外国からの学生と日本の学生がいるので両方の学生が何かを得るように授業を考えるのは難しいですね。でも、史料の読解は、昔の言葉なのでみんなにとって同じように難しいですよね。一緒に苦労しましょう。
NG:そう言えば、学生が先生の語学能力に驚いていましたが、日本語はいつ頃から勉強されたのですか。また何が先生の興味を引きつけたのですか。
オラー:日本語を本格的に勉強しはじめたのは高校生の頃です。しかし、日本に興味をもったのは小学生の頃に週に1回放送されていた、ジェームス・クラベル原作の『将軍SHOGUN』(1980)を見たからです。これは三浦按針をモデルにしたドラマでした。有名な日本の俳優や女優も出演していました。そのため、初めて日本語を聞くチャンスでした(「海賊」、「わかります」「ありがとう」とか)。
NG:その後はどのように日本に来ることになったのですか。
オラー:その後ハンガリーの大学で日本学、中国学、イラン学を学びました。日本の奈良教育大学にも1年間留学しました。その後、ハンガリーで博士課程に進みましたが、ドイツにプロジェクトのチャンスがあり、ドイツの大学院に移動し、中国学の博士号を取りました。そして、2007年に東京大学の研究生として日本に来日し、翌年、博士課程に進学しました。
NG:世界のさまざまなところで研究活動をされていますが、先生は一体何カ国語すことができますか。
オラー:得意な順番では母国語のハンガリー語、日本語、ドイツ語、英語、中国語、接触した言語としてフランス語、ペルシャ語があります。
(NG:先生はその他にも漢文、古文に関してもスペシャリストです!!!)
NG:先生が影響を受けた本やこれから日本中世史を目指す学生にお勧めの本はありますか。
オラー:村井章介『中世倭人伝』岩波新書(1993)はお勧めしたい本です。中世の世界を東アジアの文脈のなかから考えることができる本です。そして、単純に面白い本はSuzanne Gay『The moneylenders of Late Medieval Kyoto』です。使っているのは法律関係の史料や日記で、貨幣経済をとおして中世の人々の日常生活を垣間みることのできる一冊です。
NG後記:実は先生は大学院のお友達と甘い物の食べ放題に行く程のスイーツ男子だそうです。日本中のお菓子屋さんに詳しく、きっと美味しいお店もたくさん知って居るはず。もしも機会があれば、行きつけの和菓子屋さんにフィールドトリップに連れて行ってくれるかも…。