ICU 物理メジャー案内(私的)


自然科学、あるいは物理学のやり方、考え方は、必ずしも万能というわけではありませんが、多くの場合、問題発見やその解決に有効です。さまざまな問題、たとえば、新型コロナウィルスの蔓延への対応などに対しても、その方法や考え方(こういうことをしたいならば、どのようなデータを集めて、どのような解析をすればよいだろうか、データから言えることは何だろうか、もっと確実なことが言えるためにはどんなことをさらに調べたらよいだろうか、予想が合わないのはなにが原因だろうか、どのようなデータをとればよりよい予想ができるだろうか、そもそもよい予想とは何だろうか。。。)は有効だろうと思います。リベラルアーツ教育のなかで、多くの学生が自然科学の考え方や手法を学び、さまざまな分野でそれを生かしてくれることを期待しています。

現在(2020.4)物理関連の授業を主として担当する教員は5名です。ほかの大学の理学部物理学科のようなところであれば、普通、教員数は小さいところで10名くらい、大きいところならば数十人以上です。それらに比べて、ICUの物理メジャーはとても小さいです。そのため、カリキュラムとして提供されている授業科目はかなり絞り込まれています。 コアとなる科目についてはカバーされていますが、個別のトピック に関する講義は通常のカリキュラムの中では十分に提供されていません。

メジャーとしての小ささはデメリットでもありますが、メリットとすることもできます。学生と教員の人数比も小さいので、きめ細かい対応をすることができます。教員としては、学生からのリクエストにできる限り応えたいと思っています。カリキュラムで提供されていない課題であっても、希望があればぜひ積極的に教員に伝えて、小規模のメリットを生かしてほしいと思います。

また、これはよいことなのかよくないことなのかよくわかりませんが、物理学メジャーでは(ほかのメジャーと同じく)、必修科目というものがありません。もちろん、メジャー選択あるいは卒業のために必要な基礎あるいは専門科目の単位数はありますが、どの科目を履修しなければならないという規則はありません。したがって、履修もかなり自由です。それぞれの科目を履修すべき学年は、一応は想定されていますが、必ずしもその通りに履修する必要はありません(そのように履修することを勧めますが)。これまでにも、3年生を想定した科目を1年次に履修した(単位も取得した)学生もいました。自らの興味と習熟度に応じて、かなり自由に履修を進めることが可能です。

さいごに、もう少し一般的にリベラルアーツの中で科学を学ぶことの意味について:はじめに、「こういうことをしたいならば、どのようなデータを集めて、どのような解析をすればよいだろうか。。。」ということを書きましたが、「そもそもどういうことをしたらよいのだろう」という問いに対する答えは、科学の中だけにあるとは限りません。何が「よい」問いなのか、何をすればよいのか、、、もちろん科学的な考え方に基づいて考えることも有益ですが、より広い観点から問いを立てることによって、より広く科学を生かしていくこともできるのだと思います。