国際基督教大学

GE物理学の基礎と概念
岡村秀樹教授
和田 161539
嶋本 161434
三觜 161258
三船 161246
杉崎
group1
レポート
2013/3/1

Group1 ティッシュ箱の仕組み 最終レポート


アウトライン

1.
概要
2.
先行研究、背景
3.
関係すると思われる要素、仮説
4.
実験
(1)
5.
実験(2)
6.
実験(3)
7.
実験(4)
8.
考察
9.
まとめ
10.
結論

1.
概要
ティッシュ箱の仕組みについて、
(1)一枚ずつ出てくる理由、(2)次の一枚が出てくる理由
について考察する。

2.
先行研究、背景
なぜティッシュが一枚ずつ出てくるのか、また、なぜ次の一枚がちゃんと出てくるのかを調べた。このテーマを選んだ理由は日常生活で気になったからである。これらのことを調べるためにまず自分たちで実際に実験してみた。そして、この実験から分かったこととして次のようなものがあげられる。
ティッシュには裏表がある
出口のビニールは片側のみでも、なくても出る
箱の形状は根本的には関係が無い
ティッシュの折り方
一枚ずつでも互いにくっつく
取り出す速さはあまり関係ない
まず、ティッシュには裏表があって二枚重なってティッシュ一枚になっていること。裏と表の組み合わせを変えてやってみたが、どの組み合わせでもしっかり出てきた。ティッシュの構造は上の紙の下の部分が下の紙の上の部分とで交互に重なり合っていることがわかった。しかし、完全に重なっているのではなくて、少しずれて重なっていた。ビニールの有無や箱の形状、取り出す速さにはあまり関係がなかった。形状に関して、正方形の箱でも長方形の箱でもちゃんと出た。そこで、私たちはティッシュが互いにくっつきあう何らかの要因があってティッシュが一枚ずつ出てくるのではないのかと考え、その要因に注目してみることにした。 そして、次に実際にティッシュ会社に問い合わせてみた。クリネックスとネピアに問い合わせて次のようなことがわかった。

・最初詰まって出にくい理由
→ティッシュ製造直後に作られる1~2cmの空間が、輸送過程で膨張してなくなってしまうため(クリネックス)
・なぜ裏表一枚ずつ重なり合っているのか
→肌触り、強度(クリネックス)
→(1)2枚重ねた方がやわらかくなる
→(2)紙の間にできる空気層で水分を吸収(ネピア)
・紙が完全に組み合わさっているわけでなく、ずれている理由
→機械の都合上ずれる(ネピア)
→うまく箱に入るように調整しているため(クリネックス)

この問い合わせでは、ティッシュ同士がくっつきあう要因には言及されなかった。裏表が一枚ずつ重なり合っている理由は単に肌触りを良くして、強度をあげるためであったり、水分吸収を効率化するためであった。また、ティッシュがずれて重なっているのは機械の都合上、また箱に入れやすいからといった単純な理由であった。ティッシュ会社への問い合わせでは私たちの調べたい要因を解明できなかったので私たちは関係すると思われる要素について考えてみることにした。

3.
関係すると思われる要素、仮説
先行研究をもとに考えると、関係するであろう要素は次のものである。
・ティッシュの構造
・ティッシュから出口までの距離
・ティッシュを出すスピード
・ティッシュの紙が出るところにあるビニール
・摩擦、静電気

先行研究で、ティッシュを出す速さやビニールの有無についてあまり関係がないと述べたが、たくさんの種類の実験は行わなかっために関係するであろう要素にもう一度含めて考えた。私たちが注目したティッシュがくっつきあう要因には、摩擦と静電気の二つの要因を挙げて考えてみることにする。
 ティッシュは先ほども述べたが、互い違いに重なり合っている。このような構造なので、基本的には次の紙が前の紙にひっかかって出てくる。では、なぜ紙同士が引っ付いて出てくるのかということを考えた時に考えなくてはいけないのが、摩擦と静電気である。静電気とは、2種類の違う物質を互いにこすり合わせた時に正と負の電荷が生じて、その電荷の移動によって発生するものである。でも、同じ紙同士なら電荷の偏りが生まれないために静電気は発生しない。そこで、静電気は関係ない。次に摩擦について考えてみた。摩擦には静止摩擦力と動摩擦力の二種類ある。静止摩擦力とは、静止している物体を動かそうとする時に働く摩擦力である。動摩擦力とは、物体が運動しているときに物体の運動を妨げる方向に働く摩擦力である。ティッシュは運動していないので、静止摩擦力が大きく影響していると考えられる。ティッシュが動き出すためには、静止摩擦力を超える力が必要である。ティッシュを引っ張り出すときには、ある地点で静止摩擦力を超える力が加えられた時に、ティッシュは剥がれると考えられる。よって、ティッシュには静止摩擦力がかかっていると仮定する。
次からの実験では、ティッシュには静止摩擦
ヘがかかっていると仮定して、ティッシュから出口までの距離、ティッシュを出すスピード、そしてティッシュ箱のビニールなど、条件をいろいろ変えながらやっていく。

4.
実験
(1)

目的: スピードと静止摩擦力の関係
条件:
(1)ティッシュ箱を三段に重ねた
(2)ビニールあり
(3)遠い距離(ティッシュ三段分により)
内容:
スピード 速い・遅い両方で実験。
実験結果:
速いスピー
説明: Macintosh HD:Users:yuriko:Pictures:iPhoto Library:Previews:2013:02:14:20130214-224814:ZJdWPwXGR0aarVwXbU7cNA:IMG_2235.jpg>>出た

遅いスピード>>出ない

5.
実験
(2)

目的:ティッシュの上についているビニールは、どういった役割を果たしているのかを調べる。
方法:ティッシュ箱(一箱)の半分の量以下・以上の量のティッシュの紙 / ビニールなし・あり
結果:
(1)半分の量以上の場合・・・ビニールの有無に関わらず、ティッシュはスムーズに出る。
(2)半分の量以下の場合・・・ビニールがあると出るが、ないと出てもはがれ落ちてしまう。
   

6.実験(3)

目的:ビニールの役割…実験2から導いた「ビニールはティッシュを支える役割を担っている」のではないかという仮説の検証
条件
(1)三段に重ねたティッシュ箱 →出口までの距離を遠くすることで、結果がより鮮明にする
    
(2)速いスピード・遅いスピード
    
(3)遠い距離(三段ティッシュ箱により)
内容:ビニールなし
実験結果:速いスピード・遅いスピードどちらの場合もティッシュは出口まで届かず、出口に届いた場合でもティッシュの一部が出るにとどまった。

ビニールなし

遠い

速い

×

遅い

×


.実験(4)

目的:紙の出と出口までの距離の関係を明らかにする
条件(
1)三段ティッシュ箱
    
(2)速いスピード・遅いスピード
    
(3)ビニールは付けた状態
内容: 近い距離・遠い距離


実験結果

ビニールあり

近い

遠い

速い



遅い



×





8.
考察

(1)距離
実験2、4から立証できる。
実験2では、
(1)一段の短い距離で
(2)ビニールがない状態でも
(3)速い・遅い両方のスピードで
ティッシュは出た。
実験3では、
(1)三段の遠い距離で
(2)ビニールがない状態で
(3)速い・遅い両方のスピードで
ティッシュは出なかった。
距離以外は実験2、4ともに同じ条件であるので、距離がティッシュの出る、出ないに深く関係していることがわかる。


(2)ビニール
実験
3,4の遠い距離・速いスピード.・遅いスピードでの実験結果を比較する。
実験
3のビニールなしの場合では、速いスピード・遅いスピード共にティッシュが出ることはなかったが、実験Cのビニールありの場合では、速いスピードの時にはティッシュが出て遅いスピードの時にはティッシュが出なかった。
実験
3,4の条件の違いはビニールの有無であることから、ビニールがティッシュの出に影響を与えていると考えられる。



(3)速さ
実験1より、
(1)三段の遠い距離で
(2)ビニールがある状態で
(3)速い、遅い両方のスピードで
ティッシュを出すと、
速い→出やすい
遅い→出にくい
ことから、ティッシュを出す際には、比較的速い速度で引っ張ったほうが引き出しやすいことがわかる。
また、この結果から考察できることが以下のように挙げられる。
スピード速い: 引っ張る力>空気
つまり、空気の重さで引っ張られたティッシュが
落ちるまでに素早く引っ張るということ。
スピード遅い: 引っ張る力<空気
つまり、遅く引っ張ると空気の重さにティッシュが耐えられなくなり、
はがれ落ちてしまうということ。

* 静止摩擦力が動摩擦力に変わる前に
 下のティッシュを出口まで誘導すること
 →出るために必要になる。


9
.まとめ
 箱の出口とティッシュの距離が近いとき: 
ビニールは無くても出る。なぜなら、ティッシュがはがれる前、もしくははがれる途中の状態で次のティッシュが箱の中に戻らないほど十分な面積が出口から出るからである。つまり、静止摩擦力が動摩擦力に変わる前に次のティッシュを出口の外へ留まるのに十分な面積分誘導できるため、ティッシュはビニールの力なしで出口の外に出て留まることが出来る。このことから分かるのは、ティッシュがはがれるのにビニールの力は関係がないことである。

取り出すスピードは関係なくティッシュは出る。速く取り出す場合は、上のティッシュにくっついた状態もしくは、ややはがれつつ次のティッシュが出口から出て、後に完全にはがれる。遅く取り出す場合も、くっついたまま、あるいははがれつつ出口から出てくるが、出口との距離が近いため次のティッシュは箱の外にとどまるのに十分な面積が出口の外に出る。


箱の出口とティッシュの距離が遠いとき:
ビニールがないと出にくい。なぜなら、箱の出口とティッシュの距離が遠いため、次のティッシュが完全にはがれる前に箱の外に留まるのに十分な面積分誘導することが難しいからである。また、ビニールがあると出やすいことから、ビニールは出口から出てくるティッシュをとらえて支え、中に戻らないようにする働きをすると分かる。

取り出すスピードが関係する。速い速度で取り出すと、ティッシュどうしが完全にはがれる前に出口の外に次のティッシュを誘導することが出来るため成功する。遅い速度で取り出すと、ティッシュどうしが完全にはがれたとき次のティッシュが出口の外に出ていないか、または少し出たがビニールで支えることのできる面積分出なかったために次のティッシュは箱の中に落下して失敗する。


不明瞭な点: ティッシュどうしがくっつくことは静止摩擦力で説明できるが、はがれる要因が明らかではない。引っ張ったティッシュの角度、空気の重さ、まだ引っ張られていない残りのティッシュの重さなど検証する必要があった。実験から推測するに、前述の要因は全て関与していると思われる。なぜなら、ティッシュをより箱と垂直になる角度で引っ張るほどはがれやすいとおもわれ、また空気の重さと残りのティッシュの重さは明らかに引っ張っている二枚のティッシュにかかっていると思われるからである。

10
.結論
箱ティッシュが一枚ずつ出る仕組みは、以下の通りである。ティッシュは一枚一枚半分に折られ、その折られた内側がそれぞれ同様に折られた上のティッシュと下のティッシュの内側と接する構造になって箱に入っている。ティッシュどうしはしっかりとお互いにくっつくように折り合わされている。したがって、上のティッシュを引っ張ると静止摩擦力が働いて次のティッシュが上のティッシュにくっついて出口に到達し、空気の重さか残りのティッシュの重さか何らかの要因で静止摩擦力が動摩擦力に変わり二枚のティッシュが完全にはがれ、出口のビニールが次のティッシュを出口の外に留まるように支えて立たせる。箱の中では次のティッシュが同じ原理で上のティッシュにくっついており、これが繰り返されることでティッシュは一枚ずつ出口から出てくる。