石鹸の泡立ちと 濃度の関係

物理学の基礎と概念
(担当教員 岡村秀樹)
自由研究 2013
グループ4

T.K.,   Y.T.,   W.K.,   N.K.,   M.N.

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どうすれば、石 けんがたくさん泡立つのか。


石けんとは?

原料:油+水酸化ナトリウム界面活性剤の一つ。

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石けんの泡立ち の行程

  1. 「表面張力の低下」
    界面活性剤の性質の一つ。
    水分子がまとまろうとする力が低下し、表面全体に水が広がり、水が浸透しやすくなる。

  2. 「乳化作用」
    新油基が油の汚れに付着し、界面活性剤の分子に取り囲まれ、小滴となって水に混ざる。
    汚れを包み込んだ構造を「ミセル」という。
    ミセルができ始める濃度を臨界ミセル濃度という。
    つまり、洗浄のためには臨界ミセル濃度以上の濃度が必要。
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  3. 「可溶化作用」

  4. 「再付着再付着防止作用」

  5. 「起泡」


石っけんが泡立つのに影響する要因

仮定

①素材、成分
②温度
③使用頻度
④摩擦を加える物(手、ネット、スポンジなど)
⑤水の有無、性質


①素材、成分

研 究方法:異なる素材や成分でできている石鹸を使って実験してみる

まず、他の要素は同じ下で、石鹸を泡立たせてみる

顕著に違いが出た場合
一番泡立った石鹸に含まれる成分を見てみる。

何の成分が泡立つのに影響するのか?

泡立ちの量に大きな違いはなかった 場合

石鹸が泡立つのに素材や成分はあまり関係ない


②温度

研 究方法:違う温度の下で石鹸を泡立たせてみる


常温
冷蔵庫で冷やす
ビニール袋に入れてお湯で煮てみる


それぞれの表面温度を測って、温度以外の要因は同じ条件の下で石鹸を泡立たせてみる

③使用頻度

研究方法:使 用頻度の異なる同一の石鹸を比較
気温など、別の条件をそろえて石鹸を泡立たせてみる。


新品の固形石鹸
数回使用した石鹸
何度も使用し、小さくなった石鹸



④摩擦の要因

研究方法:泡立て方を変えてみる。
                                           成分、温度、使用頻度などの条件をそろえる。
                                           また、摩擦時間も同一にする。



ボディタオル
ネット
スポンジ
ミキサー
etc



⑤ 水の有無、性質

研究方法:他の要因は同じ条件の下
                     水が石けんの表面についている場合と、
                     乾燥した状態で泡立ててみる

                     また、水の性質を変えて実験してみる


海水
水道水
純水



先行研究・実験を行った背景

image5.jpg 石鹸がどのような条件で泡立
  つかに疑問を持ち、温度・
  刺激・水の性質などの条件
  がある中で、今回は石鹸の
  濃度と泡立ち
に着目した。
石鹸について先行研究を調べ
  た結果、起泡力はある一定
  の濃度まで上昇し、そこか
  らは下降する
ことがわかっ
  た。


目的

先行研究により、
  • 泡だちが高いほど洗浄力が高いこと
  • 濃度と起泡力は一定の数値(臨界ミセル濃度)までは比例し、上昇すること が分かったが、具体的な数値は不明なため、 その一定の数値(臨界ミセル濃度)が何%なのかを考える。


仮説

水と石鹸の割合が1:1のとき、すなわ ち、
濃度50%のときが最も泡立ちやすい。


普段の生活から、
石鹸に対し水が多すぎるときや
逆に水が全くない状態では
泡立ちにくいことを感じていたため。


実験方法

A.実験器具
液体石鹸(ミューズ)、ポンプ、ビーカー、電子計量機、
  メスシリンダー的なもの、精製水、定規

※液体石鹸にはもともと水分が含まれているが、
   微量なため、その分の水の濃度は無視する

B.実験手順
  1. 液体石鹸10gをボトルに入れる
  2. 濃度に合わせて水を入れる
  3. 10秒間振る
  4. 5回プッシュし、ビーカーの中に泡を入れる
  5. 泡の高さを定規で計る
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第一回実験結果


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石鹸濃度100%
20回プッシュ後

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石鹸濃度83%
20回プッシュ後

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石鹸濃度71%
5回プッシュ後


第一回実験結果のグラフ

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第ニ回実験結果のグラフ

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第一回・二回を合わせた結果

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考察

実験結果から石鹸の濃度が55.5%の時、 泡の高さが一番高く、最も泡立ったといえる。 また、石鹸の濃度が100%のときには泡の高さが 最も低かったことから、石鹸の泡立ちには 水が必要不可欠ということがわかった。 一方で石鹸の濃度が50%より低くなると 徐々に泡立ちも悪くなっていくことが判明した。

結論

濃度50%に近いとき、泡が最も泡立 ちやすい

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反省点

  • 実験の仕方に統一性がなかった。
  • (ビーカーに出した泡を再びボトルに戻し、泡をリサイクルするやり方と毎回ビーカーもボトルもすべて捨てるやり方)
  • 実験を2週に渡って行い、ミューズを完全密封しなかったため、ミューズが変質した恐れあり。
  • 泡が均等にビーカーに入らなかった(空洞が所々にあった)ために、泡の高さはあくまでも目安