物理の世界 最終レポート
グループ3「ビールの泡を長持ちさせるには」

担当教員 岡村秀樹教授

メンバー:191182、191178、191167、191178、151244、181195、181160

【研究動機】
サークルや友人との飲み会で、先輩にビールを注ぐ機会が増える中、どうやったらきれいに泡を出せるかはもしかすると今後の人間関係に置いて重要なkeyなのかもしれない。私達のグループはビールの泡の役割の重要性を認識し、大事な飲み会でいかに自由自在に泡を操れるか、コップと注ぐ角度高さの関係を通して見ていきたいと思う。

【先行研究】
サントリービール会社によるビールの泡に対する役割の解説だと、ビールの泡はビールが空気に触れて成分が変化して味が落ちるのを防ぐとともに、炭酸ガスを逃さない「蓋(ふた)」の役割をしている。また、苦味成分を吸着するという効果もある。クリーミーな泡はビールの美味しさの秘訣で、生ビールの美味しさは「クリーミーな泡のなめらかな口あたり」と「飲んだ時の爽快感」。
その2つを気持ちよく楽しめるバランスは ビール:泡=7:3だそうだ。
先行研究によると、ビールの泡は、たんぱく質、炭水化物、ホップ樹脂からできている。これらの要素は、泡を持たせる働きをしているため、泡の発生過程においては炭酸ガスがもっとも重要であると考えられる。そのため、本実験においては、ビールの炭酸ガスをより多く発生させる条件を調べていく。

【予備実験】(ビール泡と温度に関する実験)
【実験目的】
コップとビールの温度の変化がビール泡にどのような変化を与えるかを調べる。

【仮説】
ビールが冷たければ冷たいほど泡が発生する。

【仮説】
ビールの泡は液体がコップにぶつかる衝撃によっておこる。衝撃が強ければ強いほど、泡は多くたつ。(衝撃が強いと泡が荒くなり、クリーミーではなくなる可能性がある。)

【実験方法】
1.ビール用のグラスとビールを用意する。
2.ビールを冷凍庫で凍る直前まで冷やした場合、常温の場合、温めた場合の三つの条件でビール泡の変化を調べる。コップは常温である。
3.コップを冷凍庫で冷やした場合、常温の場合、温めた場合の三つの条件でビール泡の変化を調べる。

【実験結果】
1.ビールの温度を変化させた場合
実験1

2.コップの温度を変化させた場合
実験1

【考察】
上記のように、ビール・コップを温めた場合と冷やした場合では泡の持ち時間において1分以上の違いがでた。この実験を通して、ビールとコップの温度の変化は泡の量自体にはそれほど影響を与えないが、泡の持ち時間には大きな影響を与えるということが分かった。気泡を包む膜が温度が上がると壊れやすくなるためだと考えられる。

【本実験】
【実験目的】
ビール泡の発生と衝撃の関係性を調べる。

【仮説】
ビールの泡は液体がコップにぶつかる衝撃によっておこる。衝撃が強ければ強いほど、泡は多くたつ。(衝撃が強いと泡が荒くなり、クリーミーではなくなる可能性がある。)

【実験方法】
⒈コップの角度を45°、70°、90°に倒し、ビールを注ぐ。(高さ0cm)
一定の高さまで液体を注いだら、泡の発生する量を観察する。
2.ビールを注ぐ高さを0㎝、5cm.10cmから注ぐ。(角度90°)

【実験結果】
“サンプル”
“サンプル2”
“サンプル3”

[考察]
[考察] 角度を変えるよりも、注ぐ高さを変える方が、泡の発生量に大きな変化が出た。角度よりも、高い位置から注ぐほうが、より強い衝撃を与えることができるためだと考えられる。高い位置から注ぐことによって、衝撃に加え、空気を巻き込むえ量が増えたとも考えられる。また、泡が消えていく様子を観察したところ、細かい泡が結合し、大きくなって消えていくことがわかった。10㎝の高さから注ぐと、泡は多く発生させることができるため泡の発生時に既に荒い泡のため、持ち時間が短い。

上記の実験より、ビールの泡の発生には衝撃そのものよりも空気を巻き込むことが大きく関係しているのではないかと考察。よって、その検証のために次の実験②に移る。

【仮説②】
ビールに衝撃を加えずとも、空気を巻き込めば泡は発生する。

【実験方法】
1.コップの底にスポンジを入れ、その上にビールを泡立たないようにゆっくりと注ぐ
2.スポンジを割りばしでつつき、空気を発生させる
この方法によって衝撃をへらし空気とビールを触れ合わせる。

コップの素材…ガラス
高さ10cm,底面直径5.5cm

【実験結果】
実験

泡は発生する。しかし泡の持ち、量ともに通常どおり上からコップへ注いだビールより多少劣る。きめ細かさは大差なし。

実験

【考察】
泡の量に違いが出たことにより、やはりビールの泡の発生には空気の巻き込みだけではなく衝撃も関わっているのだと考察する。泡の持ちの短さは量に比例すると考えるので、ここでは問題にしなくてもよいと考えた。しかしこの実験では、通常注いだ際に巻き込む空気の量をスポンジで再現しきれなかったかもしれないという可能性を否定できない。考えつく実験方法ではその仮説を検証することはできなかった。

【実験目的】
ビール泡の持ち時間とコップの素材の関係性を調べる。

【仮説】
通常ビールを飲むのに用いられるグラスが一番持ち時間がいい。

【実験方法】
1. 用意したコップにビールを注ぐ。
2. ストローなどに目盛りを書き込んだものをコップの中央に配置する。
3.10秒ごとに泡の減り具合を確認し、上から見てビールの液体部分が少しでも見えた段階で泡が消えたとする。

【実験結果】

1. マグカップの場合

上記のグラフのように最初は10秒で約0.5cmほど減っていた泡が最後のほうは減りが遅くなり10秒で0.2cmほどの減りになった。マグカップの表面がざらざらしたり突起物がないためか、通常のグラスと泡の持ち時間はさほど変化はなかったように感じられた。

2. 紙コップの場合

紙コップで観測した場合、泡のもちはプラスチックカップに比べて良かった。

3. プラスチックカップの場合

プラスチックカップで観測をした場合、上記のマグカップの例と同じように最初は早く減るものの、後の方はわずかな減り方しか示さなくなる。泡は比較的にすぐになくなる。

4. 陶器の内側がザラザラしたビールジョッキの場合
注いだ時に泡が立ちやすく、しばらくの間泡が消えなかった。側面に泡が支えられているためか泡の量が少なくなっても泡がなくなるまでの時間が他と比較して長い。泡の気泡は側面から消えていった。
実験

4.エビスビールのビールグラスの場合
3と同様に注いだ時の泡は立ちやすい。また、泡の減りは10秒ごとに0.5cmもしくはそれよりやや小さい値で減っていき、最後の方は更にゆるやかに減っていった。注ぎ始めた際に4cmだった泡の高さは2分40秒ほどの時間をかけて0.1~0cmになっていった。

【実験全体を通した考察】
ビールの泡の発生過程では、液体が容器に触れた際の衝撃による炭酸ガスの発生、空気を含むことによる炭酸ガスの発生量の2つの要因があると考えられる。また空気を含みすぎると泡持ちが悪くなることから、理想的なビールの注ぎ方とはは、最初に容器から5cmほどの高さからビールを注ぎ理想の泡の量に達したところで、コップを傾け、液体をコップに沿わせてそそぎ泡の発生量を抑え、そそぐやり方であると考えられる。さらに、一度泡がなくなってしまったビールにおいても、高い位置から再度注ぎたすことによって、泡をもう一度作り出すことができる。実際に容器に関しては、ビールジョッキ以外にも、表面がざらざらしたものであれば泡を長く保たせる効果があるとわかった。「ビールがおいしく飲めるコップ」などの商品には、そのような工夫が施されている。また、温度の実験から、ビールもコップも冷やされていたほうが泡持ちがよいことがわかったため、紙コップなどより冷やせるビールジョッキが適していると考えられる。

【参考文献】
http://www.geocities.jp/beerforum/bbubble.html
http://www.kirin.co.jp/products/beer/braumeister/passion/vol4/
http://www.suntory.co.jp/beer/premium/taste/howto.html