応用
1.室内や公共施設などの照明を送信部に交換すれば、健常者にとっては照明装置で、視覚障害者にとっては室内や施設内を行動するためのガイドとすることができる。トイレの方向や出口のある場所など、自分がどの方向に向かっているのか、または自分が意図する方向に向かっているのかをユーザが簡単に知ることができる。 
 
2.電車のホームなどで本システムを利用すれば、乗り口やエレベーター、エスカレーター、階段等の場所を知ることができる。点字ブロックでは方向や距離を示すことはできず、そのブロックをたどって行くと出口に行けるのかホームの端に行ってしまうのか、ユーザが知ったり環境側から知らせたりすることは出来なかった。 また、点字による表示では点字のある場所が分かりにくい場合があったが、本システムでは音が聞こえてくるため、場所を探す必要がない。 

3. 送信部を障害物や危険物に設置し、ここに障害物があるのでよけるように、というようなアナウンスを流す。方向が分からなければ、どこかに障害物があるというアナウンスがあったとしてもそちらに向かって行ってしまうことがありうるが、本システムを用いれば、アナウンスを横に聞くようにして歩いて行くことで障害物をよけることができる。 
 
4. 送信部゙を兼ねた複数の照明を並べれば、受信部を持つ視覚障害者がその照明の下をたどってどこかに誘導されて移動できるため、公共設備などを視覚障害者が便利に利用することが可能となる。また、信号機などに本システムを採用すれば、信号の色や点滅に応じて異なる情報を与えることができ、ユーザに安全な通行を喚起したり、通行を助けたりすることができる。また、街灯などの照明を送信部と交換し、住所や場所の情報を得られるようにすれば、視覚障害者でなくとも健常者やその場所に不慣れな人が利用することができる。 

5.パラリンピックなどでの障害者競技において、視覚障害者にとって従来は不可能だった競技が可能になる。例えば、現在は視覚障害者がマラソンや長距離走をする際は伴走者を必要とするが、送信部がコースに適度な間隔を置いて設置してあり、走者が受信部を利用すれば、伴走者なしでも視覚障害者がコースどおりに不安なく走ることができる。また、本発明のシステムはその地点における距離などを通知することもできるので、健常者であってもその情報を利用したい場合は利用することもできる。同様に、短距離走、トラック競技、走り幅跳びなど、従来視覚障害者にとっては困難だった種目ができるようになる。 

(This work was supported by the Research Grants-in-Aid Fund of the ICU)

laser speakerを利用したguidance system

Laser speakerを用いたガイダンスシステムは,光でデータを伝送する情報伝達システムの1つですが,次のような利点を持っています


1.ユーザー端末が無電源であること.これによりメンテナンスがほとんど不要.

2.ユーザー端末が軽量で安価,さらに環境負荷がきわめて小さい.

3.従来は,無電源端末はイヤホンしか使用不能であったが,これだと周囲の音が聞こえにくくなり,危険であるという問題があったが,Laser speakerを用いれば,小型スピーカーを耳の近くに置くだけであるので,周囲の音を遮蔽しない.(特開2007-53712)

4.反射板を用いたガイダンスシステム(特願2007-215481)によれば,音声情報と同時に,光源の方向を知ることができるので,直感的に人等を誘導することができる.反射板により,斜めからの入射光に対しても感度が落ちない.

Laser speakerを用いたガイダンスシステムのコンセプト

ガイダンスシステムのユーザー端末の構造

2つの太陽電池の間に反射板が立てられている.

技術的考察

まず,左右の音量差から,一意に光源の方向を決定できることを示す.左右の音量の比をAとすると,光源の方向θは次の式によって求まる.

A

θ


下図は、上式に基づきh=1.0、L=1.0、r=1.0の場合に片側の受光部についてプロットしたものである。反射板がないときの正面からの照射での出力が1.0であるが、グラフでは出力が最大1.3となり反射板の効果があらわれている。 選択性(左右の受光量の比)は反射板が高いほど向上する。左右の出力の合計をみてみると,同様の選択性を,反射板なしで実現した場合に比べ,10倍の増加となっている,反射板により,感度と角度選択性を両立することができることがわかる.

(太陽電池間の角度が10度の場合)

パネル1からの出力

θ

太陽電池パネルは斜め入射の光に対して,受光量がcosθにしたがって減少し,そのために受信感度が低下する.2枚の太陽電池パネルの間に反射板を設けることにより,斜め入射でも受信感度が低下せず,また同時に角度選択性も向上させることができる.

 反射率をrとする(0<r<1)。r=0は黒い板、遮光板もしくは完全吸収板の場合であり、r=1が完全反射である。衝立2の高さをhとし、それぞれの受光部の長さをLとする。単位面積あたりの光量を1とした場合、-90°<θ<-θ1のとき光量は0となり、図10bのように-θ1<θ< 0のとき光量はL+htanθとなり、図10cのように0<θ<θ1 のとき光量はrh sinθ+Lcosθとなり、図10dのようにθ1<θ<90°のとき光量は(1+r)Lc osθとなる。ここで、θ1は衝立に反射した光がちょうど受光部全面にあたるような状態でのθでありtanθ1=L/hである。

θ

左右の出力の比

左右の出力の和