DHMOとは?
@ このようにしてあなたが署名を求められた場合、あなたは直ちに応じますか(応じたと思いますか)?
⇒私はDHMOという化学物質の使用規制の署名には、直ちには応じない。なぜなら、DHMOがどのような組織・人が、どのような場所で、どのような場面で使用しているのかが明記されていないからである。また、具体的な数値を明示していない点や、「○○することがある」などの曖昧な表現が多いことも疑問要因である。7番には「大量に摂取すると痙攣、意識障害等の中毒症状を起こし、最悪の場合死に至る」と書いてあるが、「大量」とはどのくらいの量であるのか不明であることに加え、様々な物質に当てはまる内容である。例えばこれは、日本人の誰もが口にする醤油などにも当てはまる内容である。栄養があると言われている食物でも、過剰に摂取すると害があるのは当然のことと言える。さらに、DHMOがなぜ様々な場所・場面で使用されているのか、使用することによる利点が明記されていないことも疑問点の一つである。1番や7番、9番は、原子力にも当てはまる内容ではあるが、原子力発電はその危険性が指摘されているにも拘らず、完全に廃止するには至っていない。それは原子力発電が、エネルギーを作る上での利便性のためである。化学物質は、その存在自体に害があるのではなく、使い方によって、有害にも無害にも、もしくは利益にも成り得る。物質の有害な面だけ強調しているこの項目の数々は、それだけでは信頼性に欠けると言える。曖昧な表現や、視点の狭さの二点が改善されなければ、私はDHMOの使用規制署名には、直ちには応じない。
A DHMOとは一体何でしょう?
⇒DHMOとは水であると私は考える。DHMOが水ではないかと感じたきっかけは、一番の項目の「DHMOは無色、無臭、無味であるが、毎年無数の人々を死に至らしめている」という一文であった。まず、授業の中で、水は「無色、無臭、無味である」と先生がおっしゃっていたことを覚えていたことが大きな理由である。また、先回のレポートにおいて水についての新聞記事を集めた際に、水害についての記事を多く見かけたため、「毎年無数の人々を死に至らしめている」という内容にも当てはめられた。他の14項目も、DHMOが水であると想定した上で読み進めていくと、私の知識が及ぶ範囲においては全て納得がいった。ただ一項目、3番の「化学反応において、酸とアルカリを中和した際などに生じる副産物にも大量に含まれている」という一文においては、水がその性質に当てはまるか否か、不明であった。
B 謎が打ち明けられた時に、あなたは何を感じ、何を考えましたか?
⇒私はこの謎を、wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/DHMO)で検索した。Wikipediaの文を全て読み終え感じたのは、ネイサン・ゾナーというへの感心であった。14才の少年が、「人間はいかに騙されやすいか」の研究のためにこのような手法を用い、実際に多くの人の心を動かしたことに感服した。水の性質を極端ではあるが正確に捉え、人々の感情に訴え、水を恐ろしい物質であるかのように誤認させる手法は、そう容易に思いつく手法ではない。レポート課題においては、彼の挙げたDHMOの危険性は15項目である。しかし、実際には46項目もの水の性質が挙げられている。この全ての項目を読めば読むほど、ネイサン・ゾナー少年の、誤認への誘導方法が巧みであることに気付かされる。私自身、「水」をテーマにした授業を受けていなければ、DHMOが水であるということに気付かず、DHMOという架空の物質の脅威に憤りを感じていたかもしれない。
ネイサン・ゾナー少年の挙げた危険性を読み、使用規制を求める署名にサインをした43名は、「騙されやすい人間」ということになるだろう。しかしこの43名は、自分の健康、環境への汚染、軍事の行為などに、強い興味を持っている人々であるように私は考える。私自身それらのことに興味があり、メディアなどで取り上げられると必ず読んでしまう。また、読んだ内容に「○○してはいけない」だとか「○○するとよい」などの行為の推奨が含まれていれば、それを実践する。つまり、それらの項目に関心、興味がある人ほど、それらの事柄に関する情報に流されやすく、騙されやすいのではないだろうか。
ネイサン・ゾナー少年の46項目は、自分を含む多くの人が、どれだけ情報に流されやすいか、また、関心がある内容にはその傾向が強くなることに気付かせてくれた。