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水質浄化方法 その他

 

a.<資料>

1999年9月28日の朝日新聞より

@ 海水からウランを得るフィルターが開発された

(青森県むつ市日本原子力研究所)

A 流出した重油を、樹皮を利用して吸着する方法

(神奈川県横須賀市海上災害防止センター研究所)

B 丸太を利用した江戸時代の治水技術の復活

   湖沼・河川・排水路の水質浄化−千葉県の実施事例−より   

C 各種水質浄化方法の原理と主な特徴 

D 礫間接触酸化浄化法

 

b.<今、地球上に何が起こっているか・情報が伝えていることは何か>

(1)現在、地球上では、資源不足が深刻な問題の一つとなっている。

我々のエネルギー消費量はすさまじく、このまま使い続けていたならば、あと数十年で使い果たしてしまうともいわれている。

記事@によると、海水中に含まれるウランの量は45億トンと推定され、21世紀に向け、貴重な資源を海水から得ることになりそうである。

海が単に生命を育む存在としてのみでなく重要なエネルギー源となるようだ。

(2)近年、重油流出事故が相次ぎ、多量の重油の始末にさまざまな方法が考案されてきた。記事Aによると、従来はポリプロピレン繊維を利用した吸着剤を使用していたが、今回開発された、杉の樹皮を利用した吸着剤は、年間500,000Gも発生する樹皮の活用にもなり、吸着力も従来のものとほぼ同じ効果があり、低コスト、自然環境にもやさしいものである。

(3)江戸時代に発達した「聖牛」と呼ばれる治水技術が、大井川中流をはじめとする日本の河川に復活の兆しを見せている。「聖牛」は1994年台風後の大井川護岸復旧工事の際、40年ぶりに復活した。丸太を利用しているため、生物にやさしく、景観も損なわない、治水効果にも優れている。「生き物がすめる川づくり」を建設省が目指し始めたこともあり、木曽川や長良川をはじめとする日本各地の河川に「聖牛」がよみがえっている。

(4)(1)〜(3)をふまえて・・・

  海水は単に水としてのみでなく貴重なエネルギー庫としても我々人類に欠かすことのできない存在である。しかしながら、その海が人類の手によって汚されている事実も見逃すことはできない。現在我々は海を、水を守るため、そして水から我々自身を守るためにさまざまな方法を研究しており、少しずつ成果が出始めている。

 

c.<人間は/人類は 何をすべきか>

  まず何よりも大切なのは、これ以上自然を破壊しないことである。自然を守るために自然破壊をしていたのでは何の解決にもならない。そこで重要なのが、自然を利用して守っていくことである。

ここで、河川の水質浄化の具体例を千葉県の実施事例を参考にみてみる。

【水質汚濁の防止対策】 〜まずは汚さないこと〜

 生活系・・@

  ・汚濁発生源  産業系・・A     を削減する

 自然系・・B

  @・A・Bいずれも規制強化により一定の効果をあげている。

・水質直接浄化を行う

水質浄化方法 〜水をきれいにする〜

・直接浄化方式・・・水域内に直接浄化施設を設置し、水質浄化を図る

・分離浄化方式・・・水域から離れた場所に浄化施設を設置し、揚水ポンプやバイパス等を利用して施設に導水し水質浄化を図る

(資料C参照)

千葉県では・安全で治水機能がしっかりとした

・きれいな水が豊富で利水機能が損なわれない

・水質が良好な水辺は生活自然環境の重要な一部を担っているという認識の元に水辺に親しめる川とするために、河川が本来もっている自浄作用を人為的に高めるように努めている。

(例)[礫間接触酸化浄化法]

   礫を利用して、河床面を人為的に増大させ、汚濁物質を沈殿あるいは吸着させるとともに、礫の表面に形成される細菌、藻類、原生動物などを利用して有機物質の分解無機化を促進させる。

  (資料D参照)    

 千葉県では上記のように自然を利用した水質の浄化に向け努力しているが、コストやなかなか効果が現れないなどといった諸問題を抱えたいることも事実である。そこで問題になってくるのが、我々一人一人の認識と努力である。

 

d.<私たちは今いるところで何ができるか>

   我々一人一人が今なすべきこと、それは真剣に考えることである。「誰かがやってくれるだろう」、「自分ひとりに何ができる」といった考えを捨て、もっとも身近な、もっとも深刻な問題として、考えなければならない。さまざまな情報が飛び交う情報化社会の今だからこそ、誤った情報におどらされずに、自らの目で、耳で確かめ、頭で考える必要がある。資料Bにあるように、“先人の知恵”は時として最先端の技術より優れていることがある。科学の発達に伴い我々は、先人たちから受け継いできた貴重な遺産を見失ってしまっている。もう一度、伝統と呼ばれるものを見直し、自然と調和をとりながら水と付き合っていかなければならない。そのためには、便利さやコストといった目先の問題にばかりとらわれずに、長い目で物事を見ることが大切である。人間は自然の覇者でも、水の王でもなく、自然の一部にしか過ぎないことを自覚し、我々が今破壊しようとしている自然[地球]無くしては、我々は存在することができないのだということを常に心にとめていくべきである。

   具体的にできることとして、節水・生活廃水にできるだけ油や化学物質などが混入しないように努める・河川や海などにゴミを捨てないなどがあげられる。本当に小さな努力でも、大勢がやれば大きな効果を生み出す。逆に一人分はささいな汚れであっても、それが積もり積もれば、恐ろしい汚染になってしまうのである。今だからこそ一人一人の問題意識と努力が大切なのだ。

 

参考文献

朝日新聞
湖沼・河川・排水路の水質浄化−千葉県の実施事例−
   本橋 敬之助 ・ 立本 英機 著 海文堂出版株式会社 1997年6月30日
サイエンス・シリーズ きれいな水 池・水槽浄化の仕方
   村上 光正 著 パワー社 1995年9月30日
化学で探る飲料水の世界 松崎 昭二 著 化学工業日報社 1993年7月23日

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