NS−_ 自然の化学的基礎
レポート:水と人間
 
『水の脅威』と人間の意識
 
#031394 人文科学科 佐藤順真

 

今日、我々人類はさまざまな自然環境の問題と共に生活している。

それはときに地震、台風、火山噴火や干ばつといった天災であり、また環境ホルモンや酸性雨、大気汚染のような自らの引き起こした問題でもある。

なかでも、水に関わる問題は、水質汚染による生活水の問題や、干ばつのように農業(=食物)に大きな被害が出るものなど直接的に生命維持に関わるものが多く深刻な問題となっている。

しかし、その生命にかかせない水は時として大雨や洪水となって動植物にとって大きな脅威となる。今、人間にとっての「水の脅威」とはどのようなものなのだろうか?

 

大雨・洪水の被害

1998年には日本各地で観測史上最高となる降雨が記録され大きな水害をもたらし、中国でも揚子江の反乱により2億4千万人もの人々が被害にあった。

また、翌年の1999年8月には、神奈川県山北町の玄倉川における水難事故によってキャンプ客が犠牲になる事故があった(資料1)。

 

このように、普段は飲み水のような生活水としてであったり、川や海などの「レジャー」であったりする水は、場合によってはその圧倒的な量によって人間の生活を脅かす災害となっている。

では、なぜそのような「水害」がおこるのだろうか。

その原因の中でも、人間が引き起こしている問題の大きな一つに、地球温暖化現象が挙げられるのではないだろうか。

 

地球温暖化現象と水害

温暖化現象の直接的な被害の一つとして、まず南北両極の氷の融解による海面上昇が挙げられる。もっとも、北極の場合は海水が凍結しているだけなので、それが融解しても海水の量にはほとんど変化がないといわれている。しかし南極の場合は大陸の上にある氷が溶けて海に流れ込むため、世界規模での海面上昇がおこるであろう。

それによって、最終的には「ノアの方舟」の逸話において描かれるような世界的大洪水も考えられる。特に日本のような島国にとってはこれは深刻である。実際、今現在においても日本の砂浜は徐々に侵食されつつあり、海岸線が内陸部へ移動してることが観測されている(資料2)。

また、地表が温暖化する(大気中の炭酸ガス:CO2濃度が上がる)ことによって、地域によっては降雨量が著しく変化するという研究結果もある。地域によっては、現在の大気状態においては生じないほどの多雨が頻繁に降ることになる可能性が高いという(資料3)。異常な降雨によって、河川の氾濫などの水害が起こることは容易に予想できる。

では水害に対して我々は何が出来るのだろうか?

 

水害・水難事故に対する個人としての意識

建設省の水難事故の資料(資料4:警察白書より作成)によれば、水難事故の発生件数自体は現在のところ減少傾向にあるが、その内訳を見ると、釣り・水泳・水遊び・ボート遊びなどの娯楽における事故が過半数を占めている。

この事からわかるように、一般的な水難事故は、先の玄倉川における事故のように水害に対する認識不足や油断からおこることが多い。こういった事故のほとんどは、自然に対する認識と注意深い行動によって未然に防げるはずである。

 

結論:我々人間はどうするべきか 

このように、人間はさまざまなレベルにおいて水害と隣り合わせに生きている。

では我々に今できる事とはなんだろうか?

 それは水害対策を推進するための行政への働きかけであり、地球温暖化現象を食い止めるための生活改善(自動車の排気ガスを抑制する行動や化石燃料への依存の見直し)であり、日々の水害に対する認識と警戒である。しかし、もっとも重要なのは、自分達を取り巻く自然環境に対する敬意と危機意識ではないだろうか。

 

参考資料

資料1・建設省ホームページ:水害レポート 

http://www.moc.go.jp/river/suigai98/sekai.html

資料2・個人ホームページ

http://www.city.isigaki.okinawa.jp/%7Etakao/earth4.htm

資料3・防災科学技術研究所ホームページ

http://www.bosai.go.jp/ahsd/yosoku/saikin.html

資料4・建設省ホームページ:河川の自然性を踏まえた河川利用及び安全確保のあり方に関する研究会

http://www.moc.go.jp/river/anzen/siryou1.html

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