NSIII 「水」に関するレポート
「水の融点から見る環境異変」
ID:041270 村戸康人
- 1.今、地球に何が起こっているか
- 現在、地球上では大気の温暖化が進んでいると言われている。私のように、雪や厚い
- 氷に囲まれて暮らしていない人間は、温暖化、と耳にしても、思い当たるところもな
- い。しかしながら、雪や厚い氷に覆われたところに暮らしたり、もしくは、そこを観
- 測しつづけている人々にとっては、大気の上昇と言うものが顕著に見受けられるよう
- である。
-
- 南極では、南極大陸の氷床が海に張り出した「棚氷」が割れて、氷山が生み出されて
- いる。近年、この氷山をつくりだす棚氷の崩壊が異常に増えており、うみだされる氷
- 山の規模も非常に大きいものになっている。たとえば、南極半島東岸のラルセン棚氷
- で、1998年4月に、長さ約40キロ、幅約5キロの巨大氷山が、また同年10月
- には、長さやく150キロ、幅約35キロもの巨大氷山が、それぞれ確認されてい
- る。これらの直接の原因はこの約50年間に同半島の平均気温が約2.5度上昇した
- ことによる、とされている。しかしながら、なぜ2.5度もの気温上昇が起こったの
- か、その原因は特定できないようだ。
-
- 同じく南極で、氷の成分調査により地球環境の変化が調べられている。南極で降り積
- もった氷は自重で押し固められ、その時代の大気を含んだまま氷になっていく。そこ
- で、氷を採取し、そこに含まれる過去の大気の成分を調べる、という手法をとってい
- る。それによると、35万年間、大気中の二酸化炭素濃度は増減を繰り返していたも
- のの、最高でも300ppm前後にとどまっていたようだが、現在は360ppmである。
- これは、人類の活動、とくに化石燃料の使用によるものであるところが大きいと考え
- られる。また、氷自体を構成する酸素を分析することにより、質量の異なる同位体が
- あることがわかり、それの比較により、過去約35万年間で3回の氷期と現在を含む
- 4回の間氷期があったことがわかっている。現在は間氷期、つまり次の氷期に向かっ
- ているが、同時に大気の温暖化も進んでいる。この相反する二つの大気の温度変化が
- 同時に起こることによって、なにが起こるのかは見当もつかない。しかし、今のとこ
- ろ、地球上の大気は温暖化に向けて進んでいる、と考えてよいのではないか。
-
- 水質保全の観点からも、やはり氷は一つの指標になる。山梨県河口湖では、水深の浅
- さ(15メートル前後)もあってか、湖自身の自浄作用が弱い。しかも、生活廃水の
- 流入により、湖が富栄養化しプランクトンの大量発生を引き起こし、それによって水
- 温があがってしまった。昔は、冬になると湖が全面凍結しその上を軽トラックで走る
- ことも可能だったようだが、現在は―18℃まで下がっても全面凍結することはな
- く、人が一人乗っただけできしみだす程度にしかならないようだ。
-
- 水は強力な物質で、金でさえ長期間水中に放置されていると、融解していく。しか
- し、融点が0℃、沸点が100℃と、美しく決まっており、0℃から1℃でも温度上
- 昇があると、がらりと姿を変えてしまう、繊細で不思議な物質でもある。今回は、こ
- の水の融点に関した資料を集めて環境問題に絡めてみた。
-
- 2.人間は何をすべきか
- 人間は好奇心旺盛な生物で、新しい発見があると、そのリスクをあまり考えずに行動
- してしまう、という面があるように思う。20世紀初頭から、科学技術は加速しなが
- ら進歩し、太古から人類を脅かしつづける自然を支配しようと、やっきになってい
- た。
- しかし、その結果は惨たるもので、人間は天災に加え、自ら引き起こした自然環境破
- 壊による被害に悩まされている。現在地球環境破壊を食い止めようと様々な試みがな
- されているものの、各国の利害関係などもあいまって、効果をあげているとはいいが
- たい。さらに、まだ人間は、自然を支配したいとは思わないまでも、どこか自分の都
- 合のいいように見た目を美しく管理したいという欲求を抱いているようである。私
- は、この欲こそが自然保護の歯車をきしませる原因になっているような気がしてなら
- ない。ダム建設などはその顕著な例である。
- 水に関しては、さらに問題が深刻である。地球上の水の総量は、地球上に水が誕生し
- てから変わっていない。様々に姿を変えながら、水は地球を大循環しているわけであ
- る。循環と言うことは、閉じた回路の中を延々と回りつづけると言うことであり、そ
- の途中に水を汚す因子が存在すれば、一体どうなるかは火を見るより明らかである。
- もちろん、自然は自浄作用というすばらしい機能を持つものの、私たちはその能力を
- 超えて無思慮に水を汚しつづけている。ひとつには、人間が自らのからだの70パー
- セントもの比率を水が占めているということを、頭にとめて生活していない、という
- ことによるかもしれない。そうすれば、自分達の心無い行為が、自らを汚染するとい
- う、単純な事実に気がつくはずだ。
- 人間は、より考えて行動しなければならない。自らの心に潜む欲と、自然は支配する
- 対象でも、支配できる対象でもないことを、はっきりと認識しなければならない。自
- 分について考えてみる、これが自分の外で起きていることに対する解決策を、素直に
- 示してくれるはずである。
-
-
- 3.私たちに何ができるか
- 今人類が直面している深刻な問題は、地球規模のマクロな問題である。しかし、その
- 解決策は、ミクロなことで十分に実行できる。つまるところ、一人一人の少しずつの
- 努力で、おどろくほど自然の自浄作用にかかる負担を減らすことが出来るということ
- である。私の考える最も効果的なものは、節約、である。いくら、リサイクルという
- システムがあっても、そこには大量消費、というものが存在する。そのような後手に
- 回るようなものに重点をおかずとも、まず、消費量を減らせば、効果は多大なものに
- なる。私たちは、数ある資源の中で、水をもっとも軽視しがちで、それゆえ夏場以外
- は意識して節水しようとも考えない。歯を磨くときに水を出したままにする、頭を洗
- いながらシャワーを出したままにする、など、よく考えればいかに無駄かは自明であ
- る。
- 難しく考える必要はないはずである。気がついたそのときから、小さいことを一人一
- 人が実行すれば十分である。それで快適な生活を送ることが出来なくなる、というこ
- とはまずないはずだ。国民がそうした簡単なことをできれば、国が実行する環境保護
- 対策も、簡単なことであることが分かるはずだ。空き缶を投げ捨てない。これのどこ
- が難しいか。これほどのことで、地球規模の問題への解決を進めることになるのであ
- る。難しく考える必要はまったくないのである。自分を見つめてみる。そこで気がつ
- いたことを、素直に実行する。私は、これによって地球環境を守ることができると確
- 信している。
---------------------------------------------------------------------
▲レポートリストに戻る
▲講義資料リストに戻る