一般教育科目 NS
III「自然の化学的基礎」 2009-10
●ク
ラス・オリエンテーション
1.自然および人工的世界を化学的基礎から理解すること。
2.現代化学および化学技術の発展と問題点を認識する。
3.民主的社会において、将来、一市民として、化学・技術行政に関し、知的な判断力と適切な影響力を
持ち、かつ、行使しうるように備えること。
<- 水を通して人間と自然環境について考える->
1. 「水」を中心とした化学の歴史:万物の根源を水と考えたターレス以来、水の本性を探り続けた人間
の歴史は、そのまま化学(物質学)の歴史でもある。古代ギリシャから17世紀の自然科学方法論確立
期を経て、近代化学の基礎が確立されるまでの人間のあくなき物質(水)探求史をたどる。
2. 水の自然科学:水は簡単な構造でありながら極めて特異な性質をもち、それが日常見なれている現象
にも反映されている。「仮説実験授業」方式によって水の特異性を科学的に理解する。
3. 自然環境における水:植物・動物の生存に水がいかに深くかかわっているかを学び、さらに地球上の
水の循環と自然環境との関係、人間の水利用とその結果起きている地球環境汚染の問題を考える。
4. 水の起源:水はどこから来たのか? この問は宇宙のはじまりと元素の起源をたずねることであり、
また、水惑星・地球の特異性、生命発生の謎を解く鍵でもある。このような時と空間の限界に関わる
問題をVTRを見ながら考える。
まとめとして、水なしでは一日たりとも存続不可能な地球生命の危機と人間の課題について考える。
クラスの中でいくつかのレポート課題を出す。レポートの発表と討論の時間もつくる。
●このクラスの使命は「水を通して人間を考える」こと |
私の理解:「一般教育とは人間学である。」
化学を通して「人間と自然について考える」のがこのクラスの使命と考えている。
1. 水問題を通して21世紀の人間社会について考える。
2. 水という物質は何ものなのか(万物は何からできているのか)という人間の究極を知りたいという欲求を
もった歴史をたどることによって自然を知るという人間の営み(自然科学)の成立と特徴について考える。
3. 水の科学的性質を知ることによって、自然のしくみの不思議さ、水を利用する人間生活との関係について
考える。
4. 水(川、海、湖)が汚れている、水を安心して飲めないと言われているが、水の存在と深い関わりのある
自然環境の実態を見ることによって、人間活動(生活、産業、農業)との関係を考え、その原因と対策を考える。
5. 水はどこから来たのか、なぜこの地球上には豊富に存在するのかを知ることによって、人間(生物)がなぜ
この宇宙に、地球に存在するのか/できるのかを考える。
6. 水の美しさ、心を安らかにす不思議な力がどこから来るのかを考え、人間の心情と水との関係について考える。
● 講義内容の説明/情報の提供
- ●PC --- スクリーンへの映写
- ●プリント配付
- ●Web-page, Moodleの利用
- ●VTR/ CD/DVD
- ●デモ実験
● 双方向クラスを目指す
- ●コメント用紙
●質問/応答
● 学生の主体的学習を期待する
- ●VTRへのコメント
●テーマ指定レポート
●自由テーマ・レポート
-
- Key words of this course
-
- ● Scientific thinking
- ● Current issues
- ● Interactive class
- ● Sharing
- ● Open
-
(2008年度の場合)
- ・レポート 「川と人間生活」 (20%)
- ・中間レポート(課題2) (20%)
- ・最終試験 (20%)
- ・VTR(「たけしの万物創世記」,「九寨溝」,)
- 「150億年の遺産」「琵琶湖の里山」についてのコメント (20%)
- ・野川訪問レポート (5%)
- ・クラスへの積極的関与(Active participation)
- (コメント用紙の提出数/質の高いコメント, 発表/討論への参加
- などの要素の合計を10%とし、著しい場合にはボーナス点を加える) (10%)
- ・仮説実験授業への参加度/記入 < option点(5%)>
- *「地球カレンダー」「コメントへのコメント」(option/ボーナス点(5%))
- ・クラスについての総合コメント (5%)
合計:100%
レポート提出は、遅くとも〆切日の1週間後まで(〆
切日を1日過ぎる毎に配点
の1/7づつ減点する)。
●クラスカレンダー NS3Calendar2009.html
●講義資料へ NS3ClassInfo.html
○1. 高木貞恵『水を主題とする一般化学』化学同人 1973 435 Ta29m
○2. 米山正信『水―このふしぎなもの』化学のドレミファ第 7 黎明書房 1974 430.8 Y84k v.7
○3. プラット, R 『水=生命をはぐくむもの』紀伊国屋書店 1975 452 P717wJ
・ Platt, Rutherford Hayes "Water: the wonder of life" Prentice-Hall 1971 452/P717w
4. 『いのちの水』(読売科学選書)中西準子 , 読売新聞社 1990 519.1/N38i
5. セーガン, C『Cosmos』朝日新聞社 1980 440Sa15cJk
○6. 半谷高久『地球・水・思う』化学同人 1982 519H307c
○7. 半谷高久編『水とつきあう』化学同人 1983 517Mi97
○8. ワトソン, L『水の惑星』河出書房新社 1988 452W483wJ
・ Watson, Lyall "The water planet : a celebration of the wonder of water" Crown Publishers 1988 452/W483W
9. 富山和子『水の文化史』文芸春秋 1980 517To59m
○10. 小倉紀雄『調べる・身近な水』講談社ブルーバックス 1987 080.1B 696
- 11. 井上靖編『水』日本の名随筆33 作品社 1985 914.608
N77
- 12. 中村運『水の生物学』培風館 1992 452 N37m
- ○13. 宇井純『日本の水を考える』NHK人間大学日本放送出版協会 1994 519.1 U56n
- ○14. 日本生態系協会編著『環境を守る最新知識』信山社 サイテック 1998 468/N772k
- 15. 岩波講座地球環境学(7) 『水循環と流域環境』高橋 裕編 岩波書店 1998 519.08/Iw95/v.7
- 16. 岩波講座地球環境学(4) 『水・物質循環系の変化』高橋裕 岩波書店 1999 519.08/Iw95/v.4
- 17. (平成15年版総説/各論)『環境白書』 環境庁 ぎょうせい 519/Ko244/?
- 18. Dojlido, Jan "Chemistry of water and water pollution"
E. Horwood 1993 435/D83c
- 19. Goldberg, Eduard "Water management : performance and
challenges in OECD countries"
Organisation for Economic
Co-operation and Development 1998 Em97/wat/ma/pe
- 20. Van der Leeden Frits "Water encyclopedia" Lewis
Publishers 1990 452/V284W
- 21. 日経サイエンス社編集部 『新時代に挑むエコサイエンス』 日経サイエンス社 2000 519/Sh63
- ○22. 小倉紀雄 『市民環境科学への招待』 裳華房 2003 519.1/Og26s
- 23. 安藤 毅&小林 勇 『水問題 一問一答』
合同出版 2000
- 24. 湯浅赳男 『文明の中の水』新評論 2004 517/Y96b
- 25. 中西準子 『環境リスク学』 日本評論社 2004 519/N38ka
- 26. 国土交通省 『平成13, 14, 15年版 日本の水資源』 国土交
通省 602.9/Ko45n/2005
○27. Fred Pearce 「水の未来」 日経BP社
2006.
28. 「海外における水ビジネス最前線 :
水関連産業の動向・海水淡水化技術・水の循環および排水再利用技術」
2009. 519/Ka213
○29. 左巻健男 「水は何にも知らないよ」 Discover携書 2007.
30.
中西準子 「水の環境戦略」 岩波新書 1994/2003
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- (1)半谷高久「地球,水,思う」化学同人(1982)
- 水汚染の問題を考える時の基本姿勢となるべき「水とのつきあい方」が自然(地球)科学の立
場から説得力をもって語られている。
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- (2)梶谷善久「水は生きている」恒和出版(1981)
- 水の不思議さに魅せられた筆者(新聞記者)がその感動に押し出され,水について自ら調べた
ことをやさしく解説した本。
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- (3)富山和子「水の文化史」文藝春秋(1980)
- 川と川沿の人々が、生活の中で水をどのように利用して来たかという歴史と,水とのかかわり
の中で築かれ来た文化について書かれた本(毎日出版文化賞を受賞している)。
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- (4)米山正信,化学のドレミファ第七・「水ーこのふしぎなもの」黎明書房
(1979)
- ありふれた物質に思える水が実は極めて特異な物質であることを中高生向きにやさしく書いた
本。米山氏の本を読んで理科系に進んだ中高生が多いと聞いている。
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- (5)井上靖編「水」(日本の名随筆・33)作品社(1985)
- 著名な文学者による水に関する珠玉のエッセー集。人の心をひきつけてやまない水の;力;文
学者の筆によって見事に証しされている。
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- (6)福岡県自治体問題研究会「水の博物誌」合同出版(1979)
- 1年近くの間,時には20時間に及ぶ断水を経験し,文字通り深刻な水不足を味わった福岡市
の人々は,様々な知恵をしぼって生活を支えて来た。その間,都市の「水問題」について学び,自治体として具体的に取りくんで来た課題を総括的にまとめた
本。
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- (7)ライアル・ワトソン「水の惑星」-地球と水の精霊たちへの讃歌-河出書房新社
(1988)
- 「水」のもつ様々な姿(=地球と生命の不思議)を写した写真集であり,かつ心に響くスケー
ルの大きな水についてのエッセー。その一部を引用すると,「水はわれわれ自身,いやあわれわれの人生そのものに染みわたっている。それほど満ち溢れていな
がら,水はまたひどく珍しい物質である。水と生命このふたつは切り離せない関係にあるらしい。われわれは水より生まれ,水によって活かされている。太古の
海のにどこかで,生きた細胞が自分用の小さな水ためをもって誕生して以来,この関系は変わっていない。霊妙にして素晴しいもの,それは水」
List of Reserved books NS3ReservedBooks.html
講義資料 NS3ClassInfo.html
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