水のふしぎ
匿名希望
「水は無味、無臭、無色透明で、物理・化学的に注目すべき特徴もない。しかも、この地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ。」
高校生にこう言われたら、まず私は正直に「私もそう思っていた」と伝えなければならないだろう。蛇口をひねれば出てくる水。しかし、今ではその水が極めて珍しい特徴を持った、地球上にあるということが奇跡的な物質であると確信を持っている。私は自分の水をおもしろく思っている点を、壮大なスケールからはじめ、最も身近な水の存在を話し、終えたいと思う。
「宇宙を想像しよう。」
宇宙には地球のほかにも数々の惑星がある。しかし、水が惑星を覆っているのは地球だけだ。太陽系には他に水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星がある。水は0度から100度の間でないと「水」という液体状の形態を維持出来ないという特徴がある。この条件に当てはまるのは地球だけなのだ。金星は太陽に近すぎ、火星は太陽から遠すぎる。また、太陽から地球までの距離と太陽から月までの距離は同じだが、月にも水は存在しない。それはサイズの問題である。月は重力が地球より少なく、そのため水を地上に引き止めるだけの引力がない。それゆえ月は太陽からの距離が地球と同じだけ離れているにも関わらず、水が存在しないのである。
つまり、数ある惑星の中で地球だけが「水がどこにでもある」のであり、それは宇宙の中で地球だけが奇跡的に条件を揃えているからなのだ。水がどこにでもあるのは地球だけであり、宇宙規模で考えると「水がどこにでもある惑星」は非常に珍しいということが言えよう。
「水の色は何色?」
確かに、水は無味、無臭、無色透明である。しかし、湖や海の水は青くは見えないだろうか。水が青く見える場合もあるのは、水の特徴によって可能となることなのである。
水は本来透明である。海や湖で水が青く見えるのは、太陽の光が波長によって色が変わるからである。波長の短い光は青く見え、波長の長い光は赤く見える。しかし、水には赤色に見える長さの波長の光を吸収する性質があるのである。これにより、残った青い光のみが水中の異物に当たって散乱し、水を青くしているのである。しかし、水が赤色の波長の光を吸収する度合いは弱く、湖は海など、大量に水が集まるところでしか青く見えないのである。
このように、水は無色ながら、その特別な性質のため、青く見える場合もある。このような「無色透明だけど、時々青色にもなる」不思議な物質をありふれた物質と言い切れるだろうか。
「水にあるおもしろい特徴」
他にも水には特徴が多々ある。氷は水に浮く。当たり前のことのように知っていることだが、この現象が起こるのは水だけである。他には固体が液体より軽い物質は無い。この性質により、氷河や氷塊が出来るのである。
また、水には1番重くなるのは温度が4度の時というおもしろい特徴がある。湖の表面が凍っても魚が生きていられるのはこの性質のためである。湖の水面が冷やされて水の温度が下がってきた場合、冷たくなった水は下に沈み、温かい水は浮かんで対流が起こり、水温は下がっていく。しかし、4度以下になると対流が起こらなくなり、水面から少しずつ冷えていくが、水は熱を伝えにくいので底の方は4度のままである。もっと冷えて水面が凍った時は、氷は水に浮かぶため氷は少しずつ厚くなっていくが、底は4度を保っているのである。そのため、魚は凍ることなく生きていられて、私たちは氷に穴をあけて魚を釣る事ができるのである。
「水と人間の関係は?」
私たちが水によって生きているということを忘れてはいけない。人間の体の約60%は水である。私たちは常に水を抱え生きているのだ。体の中の水は細胞や血液などを動かしている。また、水は蒸発によって体温の調節をする。他にも尿を作ることで体の中の不純物や老廃物を追い出すという役割も持っている。私たちが毎日を健康的に過ごす事が出来るのは水のおかげでもあるのだ。水が無かったら私たちは正常に生きていけない。老いていくということは、体から水が減っていくということ。体から水が無くなるということは、死ぬことなのである。数字で言うと、体から12%の水分がなくなると死んでしまうのだ。
このように、水は私たちの体の中に常にある、もっとも身近な物質だと言えよう。
以上の点を述べた上でまだ「水は無味、無臭、無色透明で、物理・化学的に特に注目すべき特徴もない。しかも、この地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ」と言うことが出来るであろうか。水が近くにあることさえ、他の惑星では叶わない。しかし、私たちは生まれながらに水を体の中に抱えているのである。そして私たちの中にある水と同じ水がすばらしい特徴を持っている。だからこそ、私たちは水をありふれたものを考えずに大事にしていかなければならないのである。