課題 3
松尾暁宏
水についての質問あれこれ
A.お風呂で髪の毛を洗った後よくふかずにいたところ、寒気をもよおし、かぜをひいてしまった。
水が蒸発するときに大量の熱を奪うので体が冷えかぜをひいたのだろう。
B.ジ-ンズに防水スプレーをかけたところ、雨に濡れてもしみこんで来なかった。
水が水同士でまとまろうとする力(表面張力)より布地と水が引き合う引力の方が強いとぬれてしまう。しかし引力の強くない物質(防水スプレー)で覆うと水をはじくことができる。
C.夏の真昼間、石べいのかげで日除けをしていた時よりも、木陰の方が涼しく感じられた。
木々は気孔から水分を蒸発させ、そのとき熱が奪われるので涼しくなる。
D.凍結した道路に塩化カルシウム(CaCl2)をまくと、雪や氷が早く解ける。
氷は零度でとけはじめるとされているが、塩化カルシウムなどの不純物が溶解すると融点が下がり。零度より冷たくても解け始める。
E.布にしみついた機械油の汚れを落とそうと水の中でゴシゴシこすったがどうしても落ちなかったが、洗剤を入れてもんだところ汚れが落ちた。
洗剤は水の表面張力を下げるので(B.参照)布地に水がしみこみやすくなる。
また、洗剤の分子は片方が水とよくなじみ(親水基)片方が油分とよくなじむ(親油基)性質をもっている。油汚れは水に溶けにくいので汚れが落ちにくいが、洗剤が親油基を内側、親水基を外側に汚れを包んでやることで汚れが水に溶け出すようになる。
F.富士山頂の山小屋で、普通の飯ごうでご飯を炊いたところ生煮え(芯いりのご飯)になってしまった。
高い山の上は気圧が低く、水は100度より低い温度で沸騰してしまう。このため十分な熱がご飯に伝わらず生煮えになった。
G.地球と月は太陽からの距離がほとんど同じであるにもかかわらず昼夜の温度差を比べると、月の温度差の方が圧倒的に大きい。
月と違い地球は大量の水蒸気で覆われている。水は熱を保つ力がとても強いので昼は日差しを和らげ、また夜の間も太陽熱を蓄えることができる。
H.ガラス板の上ではアイススケートはできないが、氷の上ならば快く滑ることができる。
スケートの歯で氷に圧力がかかり溶けると氷の上に薄い水の膜ができる。この状態が摩擦が非常に小さいためすべることができる。
I.水とベンゼンそれぞれ100mlをフラスコに入れ電子レンジにかけたところ、水はすぐに熱くなったが、ベンゼンはほとんどあたたかくならなかった。
電子レンジは周波数の高い電磁波(マイクロ波)を利用して食品の中の水分子を振動させ食品を均等に加熱することができる。しかし水分子と似た構造をもつ極性分子しか振動させることはできず、ベンゼンでは通過してしまう。
J.水とベンゼンをビ-カ-に入れて一晩冷凍室(-20℃)に放置したところ、両方とも凍ったが、水が入っていたビ-カ-の方は割れてしまった。
ベンゼンなど通常の物質は液体より固体の体積の方が小さいが、水だけは固体になると分子が規則正しく並ぶ特殊な構造をとるため体積が大きくなる。よってビーカーを割ってしまった。
K.雪の結晶をよく見たらどれも六方向に結晶が成長した美しい形をしていた。
氷の中の水分子の並びを見ると酸素原子が六角形を描く形をしている。これが成長して六方向に伸びる結晶となる。
L.氷点下の厳冬の湖の表面が完全に氷結していても湖水中には魚が生きていられる。
通常、液体は温度が低いほど重くなるが、水は4℃以下になると、氷と同じ分子の並びがその中に混じってくるので段々と軽くなる。つまりいちばん重いのは4℃のときの水である。このため湖の表面がどんなに寒くても湖水の底は4℃を下回ることは無いので生きていける。
M.氷山は,氷山の一角と言われるように水面の外に出ている部分はほんの一部分である。
氷と水の密度比は10:11である。したがって氷の11分の1の体積が氷山の一角として水面の外に出て、残り11分の10は水中にあることになる。
N.枯葉はすぐに折れてしまうが,緑の葉はしなやかだ。
枯れるということは細胞が死んで水分を失い乾燥するということ。水でつなぎとめられていた部分が隙間だらけになりすぐに折れてしまう。
O.赤いシロップ水を凍らせて赤い透明な氷塊をつくろうとしたが無色透明か赤いシャーベットになってしまった。
氷は規則正しく分子が並んでおりその間に色素を持った分子が割り込むことはできない。よって分離してしまう。しかしシャーベット状になっていればこまかな氷と色素をもった個体が均等に広がり赤く見せることは可能である。
P.コップの水は無色透明なのに,湖水(例えば,摩周湖)の色は青く澄んでいる。
太陽光を構成しているさまざまな色の光のうち、青以外の色が水に吸収されて青く見える。特に青の補色の赤が多く吸収されるため。空が映っているという理由もある。コップの水は吸収するには厚さが足りない。
創作問題
1.氷に触れたところ手にくっついてしまった。
手の暖かさで氷が少しとけるが、また次の瞬間に氷本体の冷たさで凍ってしまう。これが接着剤のような役割をする。
2.冷蔵庫の氷は白みがかかっているが、湖面の氷は透明
冷蔵庫のように急速に冷やされると氷の外側から固まっていき、最後に中心が固まる時に(J.のビーカーのように)氷に細かいヒビが入ってしまうそこに空気のあわが入り込んで白く見える。湖面の氷は逆にゆっくり氷の粒が成長していって凍るので空気が入り込まず透明。
3.水で焼くオーブンというのがあるらしい!?
あたためた空気の代わりに、高温の水蒸気で調理する。水蒸気は同じ温度でも大気よりたくさんの熱を蓄えることができるので調理の効率も良い。また300℃という高温の水蒸気なので多少冷えても液体に凝集せず、料理が湿っぽくなることはない。水蒸気を使うメリットは酸素の無い状態で調理できるので、ビタミン等が酸化されずヘルシーな料理ができる。