選択課題 5
匿名希望
DHMO- 危険性と真実
「DHMOとは一体何なのだろう?」危険性についてのリストを読んで、私はその物質に対しての疑問を抱いた。まず、リストを読んだ限りではとても危険なものに感じた。しかし、最初に気にかかったのは3番の、「化学反応において、酸とアルカリを中和した際などに生じる副産物にも大量に含まれている」という議論である。酸とアルカリを中和した際に生じる物質は塩類と水である。では、どちらがそのDHMOなのか。1番の「無色・無臭・無味」という点を考慮すると、調味料として使われる、塩類はDHMOではないということに気付いた。その結果、残るのは水である。そして、再度リストを読んでみたところ水そのものが書かれているような害を及ぼすわけではないが、確かにさまざまな物質と化学反応を起こすことによって、また混ざることによって、人体に害を及ぼす特性は持っていることに気づいた。
このように、今回はウェブサイトに行く前にDHMOが水を指していることを知った。しかし、DHMOがdihydrogen monoxide の略語だったということには気が付かなかった。Dihydrogen monoxideはH2Oと同じことであるがために、この名前を聞いたとしたら、水だということはすぐに分かったはずだ。そのことから、物質の名前がどれほど重要であるかということに気付かされた。水だと言わずにDHMOだということには捉え方の大きな違いがある。それは、聞いたこともない名前であるがために、人々を不安に陥れ、与えられた情報を信じやすくなるということだ。水だということをあらかじめ知っていれば、いくらそれが危険な物質だといわれても、信じることはできないであろう。
また、DHMOについてのリストでは意図的に危なそうな事柄だけを取り出している。勿論、危険性のみを主張すれば、どのような物質でさえも危険な化学物質に思えてくるものだ。これは、何に対してもそうだと思う。最近の日本では「除菌」という言葉が流行語大賞をとってしまうのではないかというぐらい多く聞かれる。菌は悪いものであるため、地球上に菌はあってはいけないかのように、人々は敏感になっているのではないだろうか。結果的に洗濯洗剤、食器洗い洗剤、手洗い石鹸など、全てにおいて除菌が必要であるかのように言われている。では、本当にそうなのだろうか。確かに、体に悪影響を及ぼす菌は多く存在しており、そのため私達は手を洗ったり、うがいをしたり、洗濯をすることによって、それらの菌と戦わなければならない。しかし、除菌をしすぎることによって私達の体は免疫力が落ち、アトピー性皮膚炎などにかかりやすくなったり、胃腸内での免疫力が弱くなってしまうため食中毒を頻繁に起こしてしまうなど、新たな危険性が生まれてしまうのだ。インドの川沿いに住んでいる人々の肌を見たことがあるだろうか。決して衛生的とはいえない生活をしている中で、とてもつややかな肌を持っている。また、大人になればほとんど風邪などはひかないという。だからといってインドの川沿いに住む人々のように、全く除菌をすべきではないといっているわけではない。除菌をどの程度までするかによって、私達体への影響は大きく変わってくるということを主張したいのである。
DHMOについても同じことである。水は使い方を一歩間違えれば、人は溺れ死ぬかもしれない。人体へ害を与えかねない危険な水溶液になってしまうかもしれない。しかし、それを言い出せばきりがない。地球上に存在するどんな物質にせよ同じことなのではないだろうか。使い方を間違えれば、酸素でさえ人間の生命を左右する武器になってしまうのだ。だからといって、私達は呼吸をすることを諦めることはできないし、酸素に変わる物質を見つける、また開発することはできないのだ。
今回の課題で環境問題には科学的で定量的な論議が不可欠であり、印象や感情に頼った判断は危険だということを教えられた。既に述べたように何についても、使い方一つで凶器に変わってしまう危険性がある。だからといって、その物質の規制をすべきかといったらそうではないと思う。使うのは自由。しかし、使うことによって汚染してしまったものを自然に返すときの配慮は各自で努力すべきだと思う。また、企業の場合は既に規制されているところが過半数だと思うが、その強化は随時行うべきであると思う。
署名を求められたときに、DHMOが水だということに気付いた場合もちろん署名は行わないだろう。今回は授業の課題のため真剣に考えた結果、DHMOが水だということに気が付いたので署名はしない。しかし、実際この授業の課題としてではなく、回覧板などでリストが回って来た場合、私は署名をしてしまうと思う。人間は単純な生き物なのである。動物と同じく生き延びることに関してとても敏感である。そのため、DHMOが「無数の人を死に至らしめる」という作用や「急性呼吸不全」「嘔気、嘔吐、電解質異常、悪心、下痢、腹痛、頭痛」などを引き起こす作用があり、人体に害を与えるものだということを知ると、早期規制を願うものが過半数であろう。事実、「50人の大人に署名を求め、うち43名のサインを得た」という結果まで出ている。おそらく私はその43名のうちの1人になっていたに違いない。また、請願書が回ってきても、読まずに署名してしまう場合もある。何かにたいする、請願書が存在するということは、誰かがその問題について大きな関心を持っているためだと思う。すなわち、誰かにとって大きな問題であることは私自身にとっても大きな問題であるかもしれない、という勘違いから署名をしてしまうと思う。簡単に騙されていたと思うと自分が恥ずかしい。しかし、今回の経験から、請願書の内容にはより注意深くなると思う。