061144 伊藤綾夏
「万物の根源は水である。」
これは、ターレスの言葉だけど、今では化学的にこれは間違いだっていうことが証明されているよね。全ては原子から成り立っているんだっていうのが今の常識。でもさ、私は、ターレスの主張はやっぱりあってたんじゃないかなぁって思うんだ。だって、やっぱり、水って特別だし、すごいもの。水は、私達の生活、生きていくということ全てでの基本のもの。そして、人間は、昔から水に特別な感情を抱いている。
ほら、みんなは、「水は無味、無臭、無色透明で、物理・化学的に特に注目すべき特徴もないし、この地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ。」とか思ってるみたいだけどさぁ、それって半分正解で半分間違ってる。例えば、地球上には、今、13億5600万立方キロメートル、東京ドームで言うと1兆935億4838万7000杯、の水が存在されているといわれている。そのうちの約97%は海水なんだけど、地球表面積の約70%は海なわけだから、まさしく地球は水の惑星っていうわけ。また、私達人間も含めた動植物の70%〜90%は水で出来ているのも事実。トマトの95%、クラゲの95%、それに人間の70%は水で構成されている。この水が、何億年もの間地球でグルグルと循環しているわけだから、水がありふれているものだって思うのは当然だよね。でも、その「ありふれてる」っていうことと、水が特徴がないとか、重要でないっていうのとは全然違う事なんだよ。だって、水が私達の周りにたくさんあるのは、どこにでもあるのは、それが「必要」だからなんだよ。水にしかできないこと、水だからできること、水の代わりはどこにもいないから、だからこんなにも私達の周りには水が存在している。
想像してみて。私達は、血管の血液の中に、色々な養分や水分や酸素を溶かして体中に運んでいるけど、もちろん、この血液は、水が主成分なんだ。その水の中に色々なものが溶け込んで血液となっているってわけ。そこでまず、この「何でも溶かし込んでしまう」っていう水の性質こそが特別なんだよ。水っていうのは、本当に色々なものを溶かそうとする性質を持っていて、例えば、1リットルの水でその約8倍の物質を溶かすこともできるんだ。今では、その性質をもっともっと強力にするために、ほとんど不純物を含まないハングリーウォーターっていうのが造られていて、それによって精密機械の清掃なんかも行っちゃってるんだって。この水の力が、現代の科学技術を支えてるっていっても過言ではないわけ。まぁ、とにかく、その水の性質を利用して私達は栄養分を体内に取り込んでるんだ。それから、この血液が私達の体中を駆け巡ることができるのも水のおかげなんだよ。もちろん、心臓がポンプの役割をして、血液を送り出しているんだけど、本当はそれだけじゃなくて,水にはさ、「毛細管現象」っていう性質があるんだ。これは、まぁ、水にたくさんの手が生えているようなもので、水は自分の力で、血管内を登っていくことができるんだ。それってすごいと思わない?まるで水には、意志があるようだよね。とにかく、水には、私達人間が生きていくのに絶対に絶対に必要な血液を構成するのにぴったりな性質を2つも持っているわけ。それってすごい事でしょ?これだけ見ても、私達は、水に生かされているんだよね。
でも、それだけじゃないんだよ。
想像してみて。たとえば、地球上の海水が「水」ではなくて「塩酸」だったとしたら。もちろん、海水が塩酸だったら、人間は生きていけないわけだけど、今ここで言いたいのはそういうことではなくて、もし、海水が塩酸だったら、地球の陸地はほとんどなくなってしまうっていう事に注目してほしいんだ。これは、水の特性の一つ「水の固体の体積は液体の体積よりも大きくなる」っていうことに関係がある。この性質は、みんなも知ってると思うけど、なんで氷は水に浮くんだろう?っていうやつ。この氷の中には、もちろん、北極の氷や流氷も含まれているんだ。流氷はもちろん海に浮いているわけで、地球温暖化現象のせいで、もしこの氷が解けてしまったら海水の量が増えて、地球上の陸地の多くが海に沈んでしまうっていうのは今問題になってるよね。でも、この問題は、もし海水が塩酸だったら問題にすらならないんだよ。つまり、何が言いたいかっていうと、固体の塩酸は液体の塩酸には浮かない。だから、海には流氷なんて存在しないわけだし、私達がお風呂に入るとお湯があふれるように、固体の塩酸の体積によって海もあふれてしまうんだ。こんな所に、こんな水の性質が役立ってるなんて、知らなかったでしょ?
でも、水の力はそれだけじゃない。
想像してみて。この地球が、どのように生きているのかを。さっき、水には、あらゆるものを溶かし込んでしまう性質があるって言ったよね?それは、地球規模でも行われている。つまり、海が何であんなにも豊なのか?それはこの性質のおかげ。海はあらゆるものを溶かし込んで、その栄養のおかげで、海の生き物たちは豊に生きていける。また、そもそもの、私達生命の誕生も、この海の中で起きたことなんだ。原始、海のなかには、たくさんの泡が存在していた。その泡の中で、たくさんの化学反応が起こって、そのうちに、私達の素となるDNAが生まれたんだ。そこから、生命は出発した。そして、水が地球に影響を与えているのは、海の中だけではない。地球の上空を取り巻く雲、これも、水の独特の性質のおかげで存在している。水は、「熱しやすく冷めにくい」っていう性質を持っているんだけど、これによって雲が生まれるんだ。そして、その雲が、地球の気候を安定化させている。バランスを取っているんだよ。
これ以外にも、水の素晴らしさを挙げていったら、きりがないんだけど、君達もこういう化学的な事意外に、水の素晴らしさを実感する事ってあるんじゃない?
想像してみて。たとえば、山の中のきれいな水の流れる渓流に行ったとき、湖に行ったとき、海岸で打ち寄せる波を見つめているとき。何故だろう?私達は何だか、落ち着いた気分になるよね?きれいな水が私達の心を癒していくのは、やっぱり、水が私達生命の源だからなのかな?水は、私達を物理的に生かしてくれるけど、それだけじゃなく、心にも潤いを与えてくれる。人は、みな、水に恋焦がれてるんじゃないか。おかしいよね。人間は、海から陸地にわざわざあがってきた生き物なんだからさ。でもやっぱり、人が故郷を想うように、人類はかつての祖先が生まれた海に想いを馳せるようにできているのかもしれないね。
これには、何か、神秘的なものを感じてしまう。「生命が誕生したのは、地球に水が存在したから。数々の素晴らしい偶然から、生命は誕生したのだ」というようなことを誰かが言っているのを聞いたことがあるけど、わたしはそうは思わないんだ。むしろ私はこう思う。「もし、この世に、天地創造の神というものが存在するのなら、きっと彼女は私達生命を生み出すために水を生み出したのだ。」と。これは、あまりにも、エゴイスティックな意見なんだけど、どうしても私にはそう思えてならないんだ。だって、水の性質は、本当に、本当に、私達が生きていく上でどう考えたって必要不可なものだから。
そして、最後に、水は私達のこれからを大きく左右する役割を担っている。そういう気がする。それはね、海はつながっているっていうこと。水は、1つのネットワークであるということ。つまりね、この地球上の、どこかの誰かが水を汚したら、それは、地球上全ての水を汚染した事になるんだよ。水には、全てを伝えてしまう性質があるから。これは、これからの地球での、私達人類の協力関係の中で大きな役割を果たすと思うんだ。だって、もしどこかの国が水を汚したら、他の国にも被害が出る。これによって、もしかしたら、戦争がおきてしまう可能性もある。だって、水は、私達の生命にかかわる問題だから。でも逆に、この水問題を国際的に協力して解決しようとすれば、少なくとも私達人類は一つになれるような気がする。つまり、水は、今、私達人間を試そうとしているんじゃないかって、そう思うんだ。
何だか、最後のほうは、私の持論になっちゃったけどさ、言いたかったのはつまり、水はやっぱり特別だってこと。そして、特別で、大事過ぎて、だから、いつも身近にあるから、私達はついついその存在の重要さを忘れてしまうんだ。ダメだよねぇ。人間って。大切なものは失ってみてから初めて大切だって気づくって言うけど、そうなってからじゃ遅いんだから。ほらたとえば、若いってことはいかに素晴らしいかってことをみんな、年とってから気づくでしょ?でもそれじゃあ遅いよね。そういうこと。しかも、人が年をとるとよく、みずみずしくなくなるとか言うけど、あれって本当なんだって。人の老化は、体内の水分が失われていく事なんだって。ほら、やっぱり、水を失ってからでは遅いんだよ。
みんなも今回、私の話を聞いて、水がいかに特別かってことがよ〜くわかったでしょ?そして、やっぱり、自分でも考えてみて欲しいな。水のこと。自分で考えてこそ、本質がわかるって言うもんだしね。自分なりに、いろいろと考えてみてください。
そして、本当の最後の最後に、わたしはみんなにもう一度だけ言っておきたい。
ターレスの「万物の根源は水である」っていうのは、間違いなんかじゃない。だって、私達は、水から生まれ、水に生かされているんだから。水は、私達の命の源であり、私達は水があるからこそ生きていける。やっぱり、水は私にとっては憧れで、懐かしい感じがして、そして特別なもの。
水はかけがえのない地球の命の源なんだ。