普遍すぎて恐ろしい物質:水

061411   奥田 潤

 

こんにちは皆さん。今日は皆さんに水についてのレクチャーを行いに参りました。時間(と作者)の都合上あまり詳しくは話せませんが、皆さんもご存知のとおりの「水の普遍性」、についてだらだらと講義をしていきます。そしてもし最後に水ってスゲエと感心できたらしめたもんですので、講義代を徴収したいと思います。

さあ、まず水の普遍性についてですね。皆さんは水といえば何を思い浮かべますか?普段の飲料水、川や海、湖、そして雲や雪、雨といったところでしょうか。勿論、それだけではありません。水はその他にもいろんな物に溶け込んでいます。樹木の中にも存在しますし、野菜なんかは殆どが水分で、大体70〜90%が水です。また、驚くかも知れませんが人間もその七割が水分で構成されているんですよ。人間の七割がただ同然の物質だと考えると少し変な気もしますが。そしてそれから石にも含まれています。女の子達なら知ってるかもしれない、オパールって宝石の化学組成はSiO2・nH2Oで、やはり水が含まれているのです。水は全体の7〜10%にものぼるといわれています。

さて、水が身近なところに実はたくさん存在していた事に気が付いたところで今度はもっと大きな視野で見てみましょう。

みなさんは宇宙や他の惑星に水が存在している事を知っていますか。これは水という物質がどうやって生まれてきたのかという問題と深くかかわっているのですがそれはまあのちほどはなすとしまして、火星には水が存在しているといわれています。火星などの惑星だけではありません。宇宙空間にすら水分子は存在しているのです。

水の誕生についてですが、宇宙誕生の時、宇宙にはたくさんの素粒子があり、その素粒子の融合によりいちばん簡単な水素原子ができたのです。そしてこの水素原子から超高温状態での核融合反応によってヘリウム(He)がつくられ、さらにヘリウムから炭素(C)、酸素(O)が作られる。そしてこのOとHが結合して安定した物質の「水」がうまれたのです。少し難しいかもしれませんが理系の皆さんは理解できるのではないでしょうか。

宇宙に拡散した水は地球上で、生命を育む母体となりました。生物は海のおかげで紫外線などの危険から自らの身を守り、変化を遂げていったのです。そしてその生物達が進化して生まれた生物の一部が僕達人間です。海が無ければ一切の生物は生まれなかったのではないかとも言われています。

勿論、海に助けられたのは過去の生物だけではありません。現在の人間を含むたくさんの生物が海の恩恵を受けて生きています。地球上の七割を占める海は地上の温度差を緩和する役割を持っています。赤道域で太陽熱により暖まった海水は、海流に乗って中・高緯度域に熱を運びます。そして高緯度域で冷やされた海水は沈み込み、赤道域に冷たさを運びます。このような海流の循環があるおかげで、地球は生物にとって優しい気候を維持できるのです。もし海がなければ、赤道域はどんどん熱く、高緯度域はどんどん寒くなっていってしまいます。多分今頃アラビアの人々はまるで乾燥機の中にいるような暑さの中で苦しんでいて、アメリカの人々は寒すぎて凍えているかもしれません。イラクの人なんかはザマーミロってあざ笑っているかもしれませんね。

海は地球上の七割を覆っていますが、地球にある水の約96.5%が海水なんです。残り約3・5%が淡水として陸地に川、湖、地下水などの形で存在しています。しかしその3・5%のうちの大半は氷や地下水などで人間は利用できない。では、人間に利用可能な水の割合はいくらでしょう?実は1%に満たないんですね。(下図参照) 

僕達地上の生物は地球上の1%に満たない水に依存して日々の生活を送っているわけです。本当にその1%の水に感謝感謝です。でも、裏を返せばこれはあなたたちが「ありふれている」とした水、蛇口をひねれば出てくるあの水は実は地球上の1%未満の水だったのですね。僕達が普段使い慣れている水は地球に存在する水の総量から考えると全く言葉通り微々たるものです。宇宙にも水が存在している事を考慮すると、私達が身近に感じる事ができる水なんてものは本当にある一形態の一時的なものでしかないのですよ。

このように、私達の生活で利用する「水」というものは実際、非常に限られたものであります。この1%が人類の未来を左右するといってもいいほど、この1%の水がもたらす影響は計り知れません。ところが、現在、この利用可能な1%の水が人間の営みによって汚染されているのです。生活排水、農業排水、工業排水による汚染は深刻です。水は形態を変えながら川から海、海から雲、と日々移動していくので、一度汚染された水を回復するのは並大抵の事ではありませんし、気の遠くなるような年月がかかります。特に近年クローズアップされているのが環境ホルモンの問題です。 これは、排水やその他のプラスチックごみに含まれている物質が生物に入り込み、女性ホルモンのような働きをしてしまい、オスの雌化が起こってしまうという問題です。これにより生殖機能を著しく傷つけられた生物はその数を減らしていきます。これはもはや水のみの問題ではなく生態系全体の問題になってきています。これは早急に解決が望まれる問題であります。

また、とどまるところを知らない人口増加は世界中で慢性的な水不足を招いています。深刻な水不足はアフリカやアラブの国々に多いですね。しかし、下の図を見てもらえば分かる通り、人口増加に伴う水利用量の増加と共に、一人当たりの水使用量も近年伸びつづけています。

 

皆さんもこの数値をよく考えてください。利用可能な水はごく限られています。水は貴重な資源なのです。皆さんシャワーを毎日使っていると思いますが、シャワーを一分使用すると大体15Lの水を消費するといわれています。僕達は知らないうちに自分達を追い詰めていっているのです。河川の汚染の問題もそうです。お皿に残っているソースを新聞紙で拭いて生ごみに捨てるなどのちょっとした努力で、川の環境はだいぶ改善されるはずです。余談ですが皆さんは一本の川の上流から下流まで観察した事はありますか?上流では大抵綺麗な水も下流に行くに従いどんどん汚くなっていきます。人間が川を汚している事を直に感じ取れるかもしれませんので暇があればぜひやってみてください。

えー…本当に時間が限られていたので様様な問題を、深く考察することなく、紹介のような授業で終ってしまいましたが、いかがでしたか? 水に対する考えは変わりましたか?水は確かにありふれています。非常に普遍的な物質です。ところが、そのありふれている水の1%未満しか私達の使用可能な水はありません。僕は「ありふれた」という感覚は日ごろ慣れ親しんでいるところから来ると思うのですが、その慣れ親しんできた水は、実際のところ汚染や人口増加問題で深刻な状況に陥っているのです。近い将来、水はもはやありふれた物質ではなくなるかも知れません。確かに水分子それ自体には何ら変化は無いかもしれませんが、私達が水を通して自然から受ける恩恵は「多大」を通り越して、「すざまじい」ものがあります。その人間に対する影響力を考慮した場合、やはり私達は水の大切さ、貴重さを考えずにはおれません。環境問題は全般的にそうなのですが、地球上での水汚染はその循環性から後々まで尾をひきます。私達の後世に負の遺産は残したくないものです。そのためにも皆さん、もう一度水という物質をいろいろな角度から見つめなおしてください。それが将来の水問題解決につながる事を祈っております。ありがとうございました。

 

参考資料

川の情報誌 さらさ http://www.kkr.mlit.go.jp/river/sarasa.html

宇宙から見た地球環境 http://www.nasda.go.jp/lib/nasda-news/2001/09/tikyu_j.html

http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/30th/part2/page2.html

オパールの種類   http://www1.ocn.ne.jp/~skmax/o-opal-types.htm (消えました)

かつて火星は水の惑星だった

http://www.astroarts.co.jp/news/2001/12/10mars/index-j.shtml

環境ホルモンの影響 http://www.kankyo-web.net/new/backno/n_bd022.html

水の話       http://www.con-pro.net/readings/water/

吉野 輝雄教授のプリント

 


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