「水」

〜その特性と人類のつながり〜

061519 只野 紗也香

 

みなさんは「水」について考えてみたことがありますか?私達の生活に水は欠かせない存在だから、考えたことがないという人はいないと思います。でも、「水は無味、無臭、無色透明で、物理・化学的に特に注目すべき特徴もない。しかも、この地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ」と考えていることは、とても残念なことです。実は水ってすごい特徴をもっているんですよ。水は蛇口をひねればいつでも手に入れられると考えているかもしれないけれど、水は今危機的状況に陥っているんです。つまり、“ありふれたもの”ではなくなってしまっているんです。そこで、今日は水の持つ大変不思議な特徴についてを述べて、次にその貴重な水が現在おかれている状況についてを話していこうと思います。

 

1.水の特性

水には他の物資とは違った様々な特徴があります。まず、氷が水に浮くこと。これは当たり前だと思っているかもしれないけれど、すごいことなんです。水は固体になると密度が小さくなるんだけれど、水以外の他の物質の場合、固体はその物質の液体の中に入れると沈んでしまうんです。この、水の持つ特徴によって、私達はいろんな影響を与えられています。例えばどんなことがあるか、皆さんは思いつきますか?南極や北極にある氷を思い浮かべて見て下さい。もしも氷が水面に浮かばなかったら、海の水面は今よりももっと上昇し、陸地が水に浸かってしまいます。そうなると私達は今のように生活していけなくなりますね。また、水温が低下してしまい水中に住む魚などの生物は水が冷たすぎて生きていけなくなってしまいますね。“氷が水に浮く”という特殊性は、生物全体にとって重要なことだということが分かったと思います。

次に溶解能。水は様々な物質を溶かす能力が非常に大きいんです。この特性のおかげで植物は土からの栄養分を水分と共に吸収し、それを茎や葉へ運んでいるんです。私達人間や動物の場合も同じで、生体物質や栄養分が水に溶かされ、血液として体中に運搬されるのです。こう考えてみると、なるほど水ってすごい特徴をもっているって思えてきませんか?

水特有の性質として次に挙げるのは比熱。比熱とは、1gの物質の温度を1℃上げるのに必要なエネルギーのことなんだけれど、水はこの比熱が他の物質と比べて大きいんです。つまり、水は温まりにくく、冷めにくい液体であるという事です。比熱が大きいことにより、水は温度を一定に保つ効果があり、このおかげで人間の体温も一定に保つことができるんですよ。

更に蒸発熱と融解熱が大きいこと。これは水が蒸発するときには多くの熱を奪い、氷を溶かすには大きなエネルギーが必要になるということです。これもまた私達が生きる上で重要な役割を果たしているんです。蒸発熱が大きいために、人間は発汗による体温調節が可能であり、植物の葉の過熱も気候からの蒸散作用によって防ぐことが出来るんです。融解熱が大きいことは氷結しにくいということであり、身近なことで言うと、冬でも人の指はしもやけやあかぎれになりにくいようになっているのです。

他には液体の凝集力である表面張力が大きいことが特徴として挙げられるんだけれど、この作用によって、酸素や栄養分が含まれた血液を身体の末端まで行き渡らせることが出来るし、高い樹木だってちゃんとその頂にまで栄養が届くことが可能になります。熱を他のものに伝える熱伝導率も、水は全液体の中で最高で、生体内での発熱反応をすばやく周囲に伝えることが出来ます。

水の持ついくつかの変わった特性を挙げてみたけれど、水は「注目すべき特徴もない」という皆さんの考えは変化したでしょうか?水の持つ特徴のお陰で、私達はこうして毎日生きていられることを感謝すべきですね。

 

2.水問題の深刻化

地球は青い惑星と言われるように、水の豊富な星であると思われているけれど、一体どのくらいの水があるのか知っていますか?地球の表面の約7割が水(海)で、体積にすると約13.5億にもなるんです。でもこれはほとんど海水として存在していて、この全ての水が私達が直接利用できる量ではないのです。大半が海水で、飲み水などに使用できる水の量はごくわずかに過ぎず、風呂桶にいっぱいに張った水を地球上の水量に例えると、使えるのは両手ですくった量にも満たないほどになってしまいます。

人間は70%が水分で、そのうちのたった2%を失っただけでのどが渇き、5%で幻覚が見え始め、12%失うと死に至ります。人は水分を飲料から50%、食物から35%をとっていて、例えばトマトやスイカはそのうちの95%が水分であるといいます。私達はこのようにして日々水分を補っているけれど、その他にもお風呂やトイレなど、生活のためにも水を使用しますね。これらすべてを、全世界の人々がほんのわずかの使用可能な水を使って生きているわけです。ところが、その貴重な水は汚染され、水不足など、水に関する様々な問題が揚げられているんです。

毎日の水の使用量の大部分は家庭で使われ、その生活排水が水を汚染している大きな原因であると知っていたでしょうか?また、経済発展と人口の増加によって水の消費量は増え続け、世界的水不足が起きる恐れがあるんです。そうなると、豊かな水質源を持つ国と持たない国の間で紛争が起こることだって考えられます。日本は蛇口をひねれば当たり前に水を得ることができ、水問題といわれてもあまりピンと来ないかもしれないけれど、日本はこれにすごく関わっているんです。日本は水の輸入大国であり、世界の水問題は私達の問題であると言えます。

私達一人一人に出来ることはたくさんあるんです。普段何気なく使ってしまいがちな水だけれど、お風呂の残り湯を洗濯に利用したり、水を出しっぱなしにしないように気をつけたり。ちょっとした心がけが大きな節水につながるんです。また、ゴミを少なくすることや、資源の無駄使いからリサイクル生活への転換も大切ですね。みんなもどこかで聞いたことがあるかもしれないけれど、“Think globarly, act locally”の考え方が水を守る為にも必要だと思うんです。「地球的視野を持ってみんなで考え、行動は一人一人の足元から」が大切だと思います。

今度日本で水不足、水質汚染、供水、紛争など世界各地で起きている水問題を話し合う「第3回世界水フォーラム」が行なわれます。21世紀の水問題を解決する出発点であると同時に、地球の将来も考えていく上で重要な会議です。皆さんも水問題を自分の問題として捉えるために、是非このフォーラムに関心を持ってみて下さいね。

 

3.まとめ 〜水と生命〜

今まで水について話してきたけれど、水を考えることは生命の源、宇宙の始まりを考えることにつながります。宇宙が出来て、地球に水が誕生しました。そして、海に含まれるたくさんの物質が、化学反応によって生命を誕生させたのです。水は45億年も昔から今に至るまで、ずっと循環していて、まさに地球の血液とも言うべき存在です。この生命の根源的存在である水が、取り返しのつかない状態になってしまっていることを私達は深刻に受け止める必要があります。生命は常に水と共にあり、人間は水によって生かされていることを今回の話から学んでくれたら嬉しいです。人間中心の水の価値観を見直し、水の利用から共生へと考えを変えていくことを一人一人の課題として、今日の話を終わりにしたいと思います。

 

参考資料

 

授業での配布プリント

“ののちゃんの自由研究” 朝日新聞 2月20日(木)

 


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