水の重要性

 

〜自然科学の基礎をとっている生徒十人が吉野先生に頼まれ、ある高校のクラスに話しに行くことになった。テーマは当然「水」と言われた。私は高校2年生の女の子三人と一緒に円になり、話を始めた。〜

 

私:水は何年この地球とともに存在していると思う?

高校生三人(なつこ、あやこ、ななえ):さあ〜 わかんなあい。

私:答えは・・45億年です。水はね、雨となり、川となり、海となり、雲になりというサイクルを45億年も繰り返しているんだよ。そして、人類はいつ発生したかというと、なんと100万年前なんだよね。水は私達が誕生するはるか昔からもう存在していた。地球の七割をも示す水が存在していなかったら、私達は今この場に立っていない。むしろ、植物や他の生き物さえも存在していなかったであろう。水は人間にとって、そしてこの地球にすんでいる生命すべてにとって、言葉で表わせないほど大切なものなんだよ。

みんなは日々水のことなんて考えていないかもしれない。でもね、よーく考えてみると、顔を洗うのにも、お茶を作るのにも必要。体の中にも70%もの水が必要。私達が食べる野菜、たとえばトマトでも95%水でできているんだよ。色々な意味で私たちは日常生活、水を必要としているよね?私も一年前までは水のことなど気にもしていなかったし、はっきり言ってありふれているから存在を当たり前のように思っていた。だけど、授業で水のことについてもっと詳しく勉強をして、水は私達にとって欠かせないものであると同時にとんでもない力をひそかにもっているってことに気付いたの。

水は三体に変化できる事ができるよね?

なつこ:うん。液体、気体、固体。

私:そうそう。じゃー最初固体の氷について話してみようか。このジュースの中の氷は浮いているよね。氷は水の上に浮く。それはなぜかと言うと水が凍った時の体積は、液体の時よりも11%も増えているから。違う言葉で言うと、水が固体になると、密度が小さくなる。ほかの液体が固体になるときは、体積が増えるんじゃなくて、減るそして密度が大きくなる。ゆえに固体は沈む。自然の中でこの水の特別な性質はとても大切なんだ。なぜかというと、寒い日に大きめな池が凍っているとしよう。表面が凍っていて、底は水の場合が多い。池に氷が浮いている状態だよね。これがなぜ大切かというと、魚がいるからなんだ。もし氷が沈む性質だったら水が氷になったとたん、魚が氷につぶされて死んでしまうでしょ?だから水が氷になることによって魚の命が救われるんだ。すごいでしょ?

なつこ、あやこ、ななえ:初めて知ったー。感動!

なつこ:でもさ、池って全部凍らないの?

私:小さい池なら底も凍っている可能性はあるけど、魚が住んでいる池では全部凍るって事はないよ。

なつこ:そっか。自然ってよくできているね。

私:ね。でも、これだけじゃないよ。まだ水には様々な性質がある。じゃー今度は水が液体の時の話をしよう。液体の水は比熱が高い。だから水はある一定の温度を保ち、温まりにくく、なかなか冷えない性質なんだ。例えば風邪を引いたとき、おでこにお絞りを置くと、お絞りの冷たい水が熱を下げてくれる効果があるよね。同じく、足を捻挫したら一番効果的なのは、直後に捻挫した足をバケツ一杯の水につけること。大体20分ぐらいかな。そしたら、けがをして熱い足は冷たい水で冷やされることによって腫れずにすむんだよ。だから、へたにパテックスを貼るよりも、冷たい水につけるのが効果的。水が一番熱を足から吸収してくれる物質なんだよ。

あやこ:そっかあ。覚えとこう。

私:そして水は蒸発しにくい。水を蒸発させるには大きなエネルギーが必要である。公園を歩いていると、たまに水溜りとかあるじゃん?雨はもう二日前にやんだというのに、特に木の下みたいな太陽があまりあたらない所だと、蒸発するのに時間がかかる。他の物質と比べてみようか。例えば消毒。注射の前の消毒は数秒で蒸発する。水の蒸発のしにくさは何故人間や植物に大切かというと人間の体が例えばスポーツをして熱くなるとすると、汗が出る。その汗が早く蒸発をしたら体の熱を冷ませることはできない。もし体が40度以上の熱を出して汗が出ないゆえに体が冷えなかったら様々な酵素が死んでしまう。それを防ぐためにも汗は必要なんだ。

なつこ:温まりにくいって事は冷やす効果もあって蒸発しにくいってことは冷やす時間が長めだから汗は大切なんだね。

私:そのとおり。後、水は100度で沸騰するけど、これは非常に高い沸点だよ。水以外の水素化合物ではほとんどが0度以下で沸騰する。つまりね、常温では気体のまま。水は沸点が高いからこそ、蒸発をするときには多くの熱を奪ってくれる。汗をかいて体温調節をするってわけだ。

あやこ:うんうん。

私:まだまだあるよ。水は酸でもアルカリ性でもないよね。水は非常に物質を溶かしやすい性質なんだ。この性質は人間や動物だけじゃなく、植物にとってもとても大切なんだ。植物は土壌から水を吸い込んで、その時に水と一緒に栄養分も吸い込んで、葉にと移動する。動物の中では、血液や体液が栄養を運ぶよね。血液は83%水でできている。だから栄養が体に回るためには水が必要だよね。後この溶解能を使って、様々な生体科学反応が起こる。例えば人間や動物は水なしでは消化ができない。ゆえに生物は水なしでは栄養補給も物質代謝もできない。他の物質を溶かすこの水の性質なしでは人間の体内での水の働きは語ることができない。これだけ大切な性質なんだ。

ななえ:そっかあ。

私:まだまだ水の異常性の事に付いて語れるよ。例えば葉っぱの上にある水滴が丸い粒になったりしたのを見て、なぜこうなるんだろうって思った事ない?その理由は水には表面張力があるからなんだ。GOOの国語辞典によると表面張力は“液体の表面が自ら収縮してできるだけ小さな表面積となろうとする”こと。それに、“液体分子間に働く引力によって起こる。”さっき話した溶解能と表面張力の力がなかったら、水は120kmの木の一番てっぺんまでたどり着けない。そのてっぺんにある葉はみな枯れてしまう。栄養も届かない。

なつこ:なんか段々水の大切さがわかってきたような気がする。

私:本当?水の大切さをわかってくれ始めたなら水との付き合い方を教えよう。

あやこ:うん。

私:人は乾きに弱い。若ければ若いほど水分がある、だから赤ちゃんが一番体内に水分がある。年をとればとるほど、水分は失われていく。赤ちゃんの時は80%、七十ぐらいになったら50から60%。それ以下の場合も多い。水分があるから小さいときは筋肉も柔らかい。 だから水分を補給するのもとても大切。ジュースをか好き?

なつこ:うん、いつもオレンジジュースを飲んでいる。

私:本当はジュースは糖分がありすぎるから、飲み過ぎるのは良くないんだよね。できれば毎日水をコップ五杯ほど飲むのが一番の理想。それ以上のめるならそれに越したことはないけどね。水をいっぱい飲むことによって、血液もきれいになるし、便秘も解消されるよ。後ひとつ意識をしてもらいたいのは、のどを乾いたと思ったときに水を飲むんじゃなくて、その前に飲む。乾いたって思う理由はもう2%も水分が足りていないからだよ。で、できればミネラルウオーターを飲むことだね。水道水は塩素などが含まれているからあまり体によくない。でももし水道水を飲むんだったら一回沸騰させてからか、浄水してからね。

ななえ:はーい。

私:後は自然と楽しむこと。海に行ったり川へ行ったり公園に行ったりしてそこにある自然を楽しむこと。生命は水なしでは生きていけないって思って公園を見回すと今まで気付かなかったことを気付くことができるかもしれない。私も高校生の時はカラオケに行ったり、とにかく町でしか遊んでいなかったけど、たまには公園や自然の場へ足を運んでみてもいいんじゃない?気持ちがいい空気も吸えるし、自然の美しさに感動するかもしれないよ。大切なことは(当たり前なことなんだけど)ポイ捨てなどをしないこと。水は私達人間や動物、植物、生命にとって必要な物質だということを頭にいれて、海や川などへ行こう。海にゴミを捨てるなどといった行為は自分で自分の首を絞めているようなことだって思ってくれればいい。とにかく水の大切さを頭に入れておいてほしい。

ななえ:はーい。

あやこ:なんか公園へ行きたくなってきちゃった。小学生以来行ってないし。

なつこ:そうだねー。水がこんなに自分にとって大切だって事、知らなかった。ありふれている気がするからかな。

私:特にここ、横浜、は港だし蛇口をひねればすぐに水がでてくるから水に対して無関心な人は多い。でも、自分の体にとって水がどれくらい大切かみんな知ったらもう少し自然を大切にしたり、水を大切にしたりすると思うんだよね。

なつこ:私達が大切さを広めてけばいいんだよー!

私:そう!それを言ってくれて本当にうれしいよ!こうやって人に話して水に対する意識を改善することは必要だね。だからみんなはいい見本になって、それで水の重要性を他人にも教えてあげるのも必要だと思う。

あやこ:そうだね。

ビンポンパンポンピンポンパンポン (ベルが鳴る)そして私の水の話もここで終わる。

 

参考文献

*クラスのハンドアウト

 

 


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