水と人間 講義計画

              021478 上杉 俊介

 

導入 ありふれた水

  日常、どこにでもありふれている水。蛇口をひねれば簡単に飲むことができ、浴槽にはなみなみとお湯をたたえ、天からは雨が降り、付近には川が流れ、海にはそれこそ多量の水が波打つ。これほど身近であるが故に我々日本人は、空気のごとく水の恩恵をそれとは知らずに享受している。しかし、水は我々の生活に欠かすことのできないものであり、我々の生そのものが水なしには成り立たないことに人々が気づことはなかなかない。

 

水の効用

  人間にとって水とはなくてはならないものである。生命の身体の60〜80%は水から成り立っている。人間もその例に漏れず、水を摂取せずに生きていることは不可能である。人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかく。有名なスポーツ飲料の売り文句だ。失われた水分はどこかでまた新しく吸収される。すなわち人間の体内の水分量は常に一定に保たれている。常識として我々が知る範囲の「水」の効用ですら枚挙に暇がない。

  さらに驚くことに、生命の維持という根源的な作用にとどまらず、水は我々の文化的な生活にも深く密着しているのである。水は、我々の知らぬところでストレスをも解消させることができるのである。

 

マイナスイオンの効用

  都会を離れて大自然の中に赴いて「やっぱり田舎は空気がうまい」と感じることはないだろうか。そんな空気を腹いっぱい吸い込むと、我々はすぐにリフレッシュした気分になる。排気ガスや工場の煤煙にみまわれない空気はさぞかしまいのだろう。

  しかし、そのうまさは空気の汚れ具合だけが原因ではない。空気中に含まれるマイナスイオンの濃度が濃い空気に我々はストレスを癒され、うまいと感じるのである。下はあるテレビ番組の調査による、マイナスイオンの数の対比である。

マイナスイオン

プラスイオン

都会の空気

約80

約1200

大自然の空気

約2500

約50

        単位:個/立方cm

  体内の不安定な物質は、マイナスイオンを補給することによって安定化する。マイナスイオンには呼吸器機能向上、精神安定、疲労感の軽減、老廃物の排出などの効果がある。一方プラスイオンは集中力の低下やイライラをひきおこし、全身を疲労させる。都会に多い排気ガスや煙草、さらに電化製品などはプラスイオンを発生させやすいため、現代人の生活にはもともと、不安定要因であるプラスイオンがあふれている。そこでマイオスイオンを摂取し、体内のイオンバランスを正常化させることによって、我々はリラックスできるのだ。

 

水とマイナスイオン

  そして、このマイナスイオン「水」のそばに多く発生しているのである。特に水と水がぶつかり合うとき、その衝撃でマイナスイオンが飛び出すのだ。そのため、渓流には1立方cmあたり約3、000個のマイナスイオンが存在する。水分子が激しくぶつかり合う滝のそばでは、高さ10メートルの滝の場合、マイナスイオンの数は約15,000にのぼる。都会の中ですら、水しぶきの上がる噴水の付近には10,000個のマイナスイオンが存在するのだ。噴水のそばにいると落ち着くという経験は誰にでもあるだろう。実はそのリラクゼーション効果は、単にその景観や音に拠るものだけではないのだ。さらに、軒先に水をまくだけでも、1、000〜3、000個ものマイナスイオンを増やすことができる。このように水は、水の存在という精神的リラクゼーションだけではなく、水が発生させるマイナスイオンがさらに、身体的物理的にも我々を癒してくれるのである。

  また、気晴らしに最適な森林浴にもマイナスイオンは存在する。水分を多く含む森林の地面から常に水分が蒸発しており、約2,800個のマイナスイオンが存在している。森林での深呼吸でリラックスできるのは、科学的な裏付けがあるのだ。ちなみに、煙草を一本吸うと約3,000から5,000のプラスイオンが発生する。森の中で煙草を吸うCMがあったが、それはイオン摂取の観点から見るとむしろマイナス行為であり、リラックス効果は単なる本人の自己満足に過ぎない。

 

まとめ 水の神秘

  我々の大部分にとって水は、飲用としてあるいは農業・工業用としてのものでしかなかった。もちろんそういった側面で存在する水も、人間の営みにとって不可欠であることは言うまでもない。しかし、我々は自分たちの知らないところでも、水の隠れた恩恵に預かっているのだ。水の、目に付きやすい、いわば当たり前といってもいいくらい実利に即した存在意義のみに我々は注目し、水を知ったつもりになっている。しかし水はそういった表層レベルにとどまらず、思わぬところでも我々の生活に深く根ざしているのだ。あまりにも身近にありすぎるため、我々はあたりまえのものとして水を扱うことが多いように思われる。しかしそこには、むしろ神秘的ともいえる、我々の気づかない隠れた水の効用も存在しているのである。地球上に大量に存在する水。しかしこんなにも身近にあるからこそ我々は水なしには生きられない。人間の存在と切っても切れない水、その恩恵を数知れず享受して人間が生きていることを知っておく事は我々にとって決して悪いことではないだろう。

 

参考文献

発掘!あるある大辞典  第141回「休息」 フジテレビ 1999年7月25日放送  
URL  http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arurest/rest1.htm
発掘!あるある大辞典  第128回「_8cト吸」 フジテレビ 1999年4月2T日放送
URL  http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arubreath/breath1.htm


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