―奇跡の物質―

11/18/1998

021514 山本絵里子

 

水は、確かに普通の物理・科学的な知識がない人たちにとってはなんの変哲もない、ありふれた物質である。江戸時代のように井戸で水をくむという重労働をしていた時代ならともかく、現代は水道の蛇口をひねれば簡単に手に入るものとなってしまったため、そのありがたみはなかなかわかりにくい。水道がなくても、雨や河などの形で水はいたるところに存在しているからである。

しかし考えなくてはいけないのは、その水という物質は広い宇宙の中で唯一この地球にしかないということである。それだけ恵まれた状況の星のうえに、日本は年間降水量も世界の平均よりもはるかに多い。水に対して無関心でいられるのは、水に不自由していないからであって、とても贅沢なことである。しかし、そのように水に恵まれた地球でも、砂漠のように水がほとんど存在しない地域もある。

また人口の増大と生活様式の変化により水不足の問題が発生してきている。将来的には水戦争の可能性までも指摘されている昨今、水に無関心でいることは難しくなってきている。

もしも水がなかったら、人間を含めてどんな生物も生きていくことはできない。さらにそもそも、水が存在しなかったら生物は何も生まれようがなかった。これが水(海)が生命の源といわれる由縁である。一般的な例でいうと、胎児が母親の胎内で羊水に漂っているように、生命は水の中から始まっている。アリストレテスの四元素仮説のほかの要素である土や火や空気からは、何も生命は生まれない。このことからも水の特殊性、必要性がわかる。

物理的・科学的にも水には実はいろいろな特性がある。そのひとつひとつが地球上で様々に生物を助け、育てている。高い木の上まで水が行き渡るのは水の特性による。ほかの液体ではこのようなことは起きない。生物の体の生命維持を初めとしたいろいろな働きも、水がなくてはできないものが沢山ある。

地球上の天気にも水は大きく関わっている。エルニーニョ現象やラニーニャ現象はその代表的な例である。天気の生物に及ぼす影響も絶対無視できない。大雨は洪水を起こし、たくさんの生命を絶つことになる。逆に適度の雨は植物の成長を促進するという効果がある。

このように、水は私たちの生活に非常に密着しており、決して無視できないものである。密着している以上、問題を抱えてもいるわけである。そのような問題の解決のためにも、高校生・大学生のようなこれからの未来を担う人たちが正しい水に関する知識をもつことが必要になってくる。


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