19981019

「水と人間」

_美しい川_

 

K. H.

 私は、NS_IIIの授業を通して「水」、とくに「河川」について特に興味を示すようになった。以前から水には興味があった。なぜ水というのはこんなにも心休まる存在なのであろうか。美しい小川がさらさらと流れている、その光景を想像して気分が悪くなるという人は、めったにいないだろう。インターネット資料No.1によると、自分たちのコミュニティの中で川をどう守り、育てていくか考えて、ボランティアで活動している河川愛護会というものが6000ほどあるということから、日本の人たちには川に対する愛着が非常に強いのだろう。「美しい小川」というものはそこにあるだけで、人を安らかな気持ちにさせてくれるのだ。しかし、年々近代化が進む日本には、そういった小川があまり見受けられなくなってきている。

 東京に来て驚いた事の一つに、川の汚さがある。東京の川は青や緑ではない、黒である。私の故郷である広島の川も汚い汚いとは思っていたが、まだ緑色をしている。インターネット資料No.2によると、きれいな川には、流域の開発が進んでない川が上位を占めていて、汚れた川には、関東と関西の都市河川がランクされている。それでは、汚れた川を元の美しい川へ戻すには、流域を開発しなければ良いかと言うと、そういうわけにもいかないのである。それどこから、これからどんどん日本は開発されていき、日本のどこにも開発されてない地域は、なくなってしまうのではないだろうか。

 川を復元するにあたっての問題点は大きく3つあります。まずは川は、基本的に流水だということ。いかに水量を豊かに流すかということが、川を環境整備し守る上で一番の課題です。二つ目は生活汚水です。生活汚水を川に流すものですから、水は汚れて生物は死に絶え、魚や昆虫などがいなくなる。この汚水の流水抑止というものをどうするかということです。もう一つは、川をどのようにして守るのか、特に住民参加ということがもっと積極的に仕掛けられていくべきではないか、ということです。都市の河川は流水の確保と汚水の流水抑止、維持管理という、この3つの要素がうまくかみ合って、はじめて良くなっていくと思います(インターネット資料No.1)。

 ここでは問題点の二つ目と三つ目に注目したいと思う。まず生活汚水については、徹底して下水道などの浄化設備を整えていくことである。現代のように人口の集中化が進んでいないころは、「三尺流れれば水清し」のことわざが表すように、自然の働きが汚れた水をきれいな水に戻していたが、開発が進み人が集中して暮らすようになると自然界の浄化作用だけでは、追いつかなくなってきたのだ。「環境科学研究会」の酒巻弘講師によると「もともと排水は川の流れの中で徐々に浄化されるが、最近は、コンクリートで固められた直線コースを一気に流れ、排水の汚濁濃度が高すぎて微生物が分解しきれなくなっているという(朝日新聞1998年7月18日朝刊)。家庭や工場などからの排水が汚濁濃度の強いまま川に流れ込まないように、下水道などの浄化設備の向上が望まれる。

 また、家庭や工場だけでなく、私たちが普段口にしている米が作られている水田が、河川をよごす原因となることもわかった。愛媛大学農学部の脇本忠明教授らの研究によると猛毒のダイオキシン類による河川の汚染の主な原因が、水田で使われた除草剤であることがわかった。この問題は河川が汚染されるだけではなく、その汚染された土壌から生産される米や、汚染された川から採られる魚を食し私たち人にも確実に被害が及ぶ。脇本教授は「早急に全国調査をし、もし汚染度の高い地域があれば、そこでとれるものは出荷停止にするなど、きめ細かに対応するしかない」と話している(朝日新聞1998年10月9日夕刊)。

 川を復元するにあたっての三つめの課題、積極的な住民参加が必要だということ。まずは日本全国に6000あまりあるという河川愛護協会が中心となって住民に呼びかけていくことが必要である。都留市内の河川浄化運動に取り組んでいる「ホタルと自然を守る会」(中村邦彦代表)はこのほど、同市下谷の菅野川に、河川管理者である県の許可を受けてクレソンを定植した。「河川浄化と水質改善はクレソンが一番」と中村代表。...「クレソンがうまく根付けば、カワニナも育ち、ホタルも戻ってくる」と会員たちは交代でクレソンの手入れを続けている。(朝日新聞1998年6月18日朝刊)

 何も下水道設備強化のために寄付をしろなどというわけではない。個人個人がちょっとした努力でできることから始めればよいのである。たとえば、料理に使った油をそのまま排水溝にながさない。市販のものを使って、油をかためたり、新聞紙に染み込ませるなどしてから捨てる。排水溝に生ごみ等が流れていかないように、使い古しのストッキングなどで生ごみストッパーを作る。川にごみを投げ入れる人を見つけたときは、注意してやる。また、環境問題に無関心でおらず、常に新聞やテレビのニュースに目を向け、自分でもできるような環境改善に役立つことは進んで行うようでありたい。我々一人一人の努力によって我々一人一人が汚してしまった川を美しくもとの姿に戻していきたい。


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