匿名希望
水は無味、無臭、無色透明、物理・化学的に特に注目すべき特徴もない。しかもこの地球上のどこにでもある最もありふれた物質だ。と思っている高校生は水の本質にふれていないからです。今日は水の重要性を不思議な世界を通して伝えたいと思います。私も大学の授業で水の授業をとるまでまったく水に興味がありませんでした。ぜひ話を聞くだけじゃなく感性を使って感じてください。ありふれたものとはいつまでも無限にあるわけではないのです。いきなりですが、あなたはけん玉の形や大きさがいろんな国で違うのを知っていますか?? きっと知らない人が多いと思います。このように私たちは水というものをありふれた無味なものだと決め付けてしまって他の側面をみつめてもいないのです! さてこれからあなたを水の不思議なワールドへお連れしましょう。
さて、まずは水の性質で一番身近なものである氷の不思議について話しましょう。氷が水に浮かぶなんて常識ですが物理化学の視点から見ると異常なのです。他の物質だと液体を冷ますと温度の低下に比例して液体の1ccあたりの重さ=比重は重くなっていきます。水も温度が下がっていくとともに比重は重くなりますが、4度を境目として軽くなり始めて、温度がじょじょに下がって氷になると比重は更に軽くなるのです。だから氷は水に浮かぶのです。他の物質の固体がもとの液体より軽くなる性質を持っているものはありません。この性質により水に地球が覆われているからこそ生命は誕生したのです。分かりやすく言えば、もしこの性質を持っていなければ氷は水底に沈んでしまい世界のさまざまな池や水たまり、海の入り江は底から水面へと凍ってしまいます。こうなると地球上の水は動かない氷になってしまうのです。そして空気はかわききってしまって水の循環がくずれ雨は一滴も降らなくなるでしょう。まさに命をつなぎとめている水なのです。ここまでですでに驚いた人もいるでしょう。これからも寝ないで聞いてくださいね。
水は無色透明なのは事実です。ではなぜ海や湖の水は青く見えるのでしょうか?それは太陽の光が関係しています。太陽の光の波長によって色が変わり、波長の短い光は青く、波長の長い光は赤く見えます。水の性質で赤色付近の波長の光を吸収するので海や湖に大量に集まると、残った青い光が水の中の小さなゴミなどの粒に当たって散らばり青く見えるのです。しかし水が赤い光を吸収するのは非常に弱い力なのでコップに水をくんで眺めてみても青くはなりません。水は他にも他の物質と違う特性を持っています。それは水は究極の溶剤ということです。水を注いだビーカーに注いだ蒸留水でさえ数秒もしないうちにガラス分子が水に混じってしまうのです。さまざまなものを濡らし、岩石の中に閉じ込められた元素を溶かし水の中にとりこんだりしています。このようにこの性質は生命の役にたっています。1リットルあたり元素を60種類以上も含んでおり、約35グラムの物質が海に溶けています。さらにこの性質は私たちの体にも多大な影響を及ぼしています。胃や腸で消化された栄養分は水に溶けることによって血液の流れに乗り体中に運ばれいらなくなった老廃物も水に溶けて運び出されるのです。つまり水なしに私達は生きていくことが持続できないのです。
ところで今日空を見上げて雲を見ましたか?素朴な疑問としてどうやって雲ができるのか不思議じゃありませんか?それでは雲の謎解きをはじめます。地面の近くの湿った空気のかたまりが空へ向かって上昇し、空の上で空気が冷えて温度が下がります。そして温度が下がると空気中の水蒸気が冷たい水を入れたコップの周りに水滴がつくように水になりあたりを漂っている小さなちりにくっついて水滴になるのです。この水滴は温度が低いと氷の粒になってしまいますが、これらはとても小さいので空を漂いたくさん集合して雲になります。そして雲を作っている水や氷の粒は互いに密集し結合し、しだいに巨大化して2ミリぐらいのおおきさになると地上に落ちて雨になります。上空では氷の粒でも地表の気温が高ければ途中でとけて雨として降ってくるという仕組みなのです。これから空を見上げて雲を眺めるとききっと今までと違う感性が湧いてくるはずですよ。
ここまで水の神秘について語ってみましたが少しは水の不思議な特性の虜になったでしょうか?アインシュタインは「大切なのは疑問を持ち続けること。」と言っていました。今日私が話したことにどれくらいの人が前から疑問を抱いていたのでしょうか?きっと少数だと思います。疑問を持つこと、つまり常に探究心を忘れてはいけないのです。小さな子供がよく母親にあれはなに?これはなに?と問いかけているのは単純にそのものに興味が湧き自分で答えを導きだそうとしているからなのです。われわれは成長するにつれてそれらの疑問は常識という枠に埋没していきすべての日常的なことをあたかも理解しているような錯覚に陥ってしまうのです。そしてそれが無関心という心を芽生えさせているのです。あなたは知っていますか?一年間のさまざまな物の水の消費量を・・。たとえばガソリンは22500リットル、プラスチックは85000リットル、新聞紙は250000リットル、そして最も消費しているのが自動車で450000リットルです。この莫大な数字にあまり実感が湧かないかもしれませんがこれが現実なのです。頭では水は大切だと分かっているかもしれませんが行動に移さないとそれは理解していないのとまったく変わらないことなのです。「水は大切だから節約しなくちゃ。」と言葉で発したとしましょう。言葉で言うのは誰にでもできます。でも重要なのはそこからどう自分がその言葉を活かすかです。ではなぜ水は大切なのだろう。節約はどうやればいいかな。この素朴な疑問こそが水の永遠なる持続の可能性につながっていくのです。つまり私が最後に言いたいことは常に水を感じ、自身で体感して疑問をなげかけて欲しいということです!!答えなんて見つからないかもしれないけどその心意気が水との共存への歩みの大きな一歩に踏み込むことは間違いないのですから。
今日は私の講義に来ていただきまことに感謝しております。私の講義をほんの少しでも水と接するときに覚えていてくれたら光栄です。ありがとうございました。また水の神秘についてふれたいときは私か吉野先生まで疑問を投げかけてください。いつでもお待ちしております。
参考文献