西脇 一穂
酸性雨と聞くとヨーロッパやアメリカを思い浮かべがちですが、近年の中国の産業発展に伴う大気汚染が日本でも問題になりはじめています。このレポートでは、日本で行われている酸性雨の調査、新聞からの酸性雨に関連した記事、世界で行われている酸性雨対策、そして個人こじんが行える酸性雨対策を紹介します。
●資料1 気象庁 酸性雨;降水の酸性度(2005)
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/acidhp/acid_rain.htm気象庁で毎年行われている降水のpH観測の結果報告です。
観測地である岩手県大船渡市綾里と東京都南鳥島の降水pH値が、綾里は1976年から、南鳥島は1996年から2005年までのものが報告されています。
●資料2 朝日新聞
http://database.asahi.com/library/main/
- ●2006年 11月29日 朝刊 愛媛全県 2地方
- 伊予鉄道、天然ガスのバス導入
- 伊予鉄道の天然ガスを燃料として走るバスの導入が報道されています。酸性雨の原因の窒素酸化物を招く、炭化水素の排出量を減らせるそうです。
- ●2006年 12月12日 朝刊 2経済
- (越境する環境問題 Asia:上)隣の汚染、空に海に 被害者で加害者 【西部】
- 九州で観測された硫黄酸化物と光化学オキシダントに関する記事です。
- ●2006年 12月15日 朝刊 2外報
- 楽山大仏、酸性雨で「黒い涙」 中国・四川省
- 中国四川省の楽山大仏の、酸性雨の被害の報道です。
- ●2007年 1月18日 朝刊 山形・1地方
- 樹氷汚染 季節風に中国の排出物 「酸性雪」懸念の声
- 柳沢文孝・山形大学理学部助教授(環境化学)が樹氷から採取した雪を調べた結果、雪の酸性化が進んでいるということの報道です。さらに雪に含まれていた硫酸イオンを分析した結果、中国山西省で採れる石炭の成分と一致するとのいったことも載せられています。
●資料3 酸性雨改善に向けた国政的取り組み 酸性雨研究センターホームページより
http://www.adorc.gr.jp/adorcjp/acid_environment/l4intl/lesson4-1.htmヨーロッパ、北米、東アジアにおける取り組みが紹介されています。
資料3に掲載されている酸性雨への対応策
- ヨーロッパでの対策
- 1972年 経済協力機構(OECD)が大気汚染物質のモニタリング計画を発足させる
- 1977年 欧州監視評価計画(EMEP)が発足
- 1979年 国連欧州経済委員会(UNECE)において長距離越境大気汚染条約(CLRTAPが採択され、1983年3月に同条約が発効
現在 大気汚染物質のSO2、NOx、アンモニア、発性炭化水素、(VOCs)、のモニタリング、そしてそれらに対してのより効果的な対策を検討中
- 北米での対策
- カナダ
- 1976年 カナダ降水採水網(CANSAP:現CAPMoN)が発足
- 1985年 ヘルシンキ議定書に参加
- アメリカ合衆国
- 1978年 国設大気沈着計画(NADP)が発足
- 1980年 米国酸性降水評価計画(NAPAP)が発足
- 酸性降下物法制定
- 1990年 大気清浄化法改正
- 両国共同
- 1979年 両国共に長距離越境大気汚染条約に加盟
- 1980年 越境大気汚染に関する合意覚書を交わす
- 酸性雨モニタリングネットワーク等調査研究を開始
- 東アジア
- 1998年 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)に関する第一回政府間会合が開催され、EANETの試行稼動が開始される
- 2000年 第二回会合を開催
- 2001年 EANET、本格稼動
- 日本
- 1983年 環境省による酸性雨対策調査開始
今私のいるところでできること
今回レポートを書くにあたって、酸性雨について調べたわけですが、自分の酸性雨についての知識の少なさに驚かされました。例えば、新しく知ったこととして、酸性雨は酸性沈着物と呼ばれる用になり、酸性雨は酸性雪や酸性霧と共に湿性沈着と呼ばれるということです(参考文献1)。また日本での酸性雨つらら(酸性雨がコンクリートのカルシウム分を溶かし、それがつららのように垂れ下がったもの)現象のことや、スウェーデンで酸性雨によって溶かされた金属の含まれた水で洗ったために、髪の毛が緑色になってしまうといった被害のことも知りませんでした(同上)。
さて酸性雨対策として私にできることは、まずはそれについて知ることです。その原因、被害、どのような対策がなされているのか、といったことをです。そしてその知ったことを人にも伝えることも必要です。例えば全く不十分なものですが、このレポートを公開OKにすることです。
酸性雨の原因となる物質は日本では主に石油の燃焼によって発生します(参考文献2)。参考文献2では石油を使用する暖房や自動車の使用、主に火力発電によって生産される電気の使用、また製品の運搬に使われる輸送トラック、船、飛行機にまで言及しています。また、ここで述べられている、石油、電気の消費を抑えること、製造、販売の段階で大量のエネルギーが消費されているので無駄なものは買わない。さらに廃棄物の処理にもエネルギーがいるので、まだ使える製品を捨てないなどの対策に私も賛成します。
私個人としてできることは、買うものを減らす、ゴミの分別、電化製品の待機電源にまで気を使う、また、電化製品の効率のよい使い方をするといったことが考えられます。
参考までにテレビ、エアコン、冷蔵庫、選択機の省エネ法を紹介します(参考文献4)。
テレビ
- 1 見ていない時は電源を切る
- 2 寝るときは主電源を切る
- 3 音量、明るさは控えめに
- 4 画面をこまめに掃除する
エアコン
- 1 カーテンをして外気と部屋の熱移動を減らす
- 2 2週に一度はフィルターを掃除する
- 3 温度設定は適温に(夏 28度以上 冬 20度以下)
- 4 扇風機を併用する
- 5 長時間使わないときはプラグを抜く
冷蔵庫
- 1 冷蔵庫の背面側に壁との間隔を開けて設置する
- 2 ドアのパッキングの痛みに注意する
- 3 詰め込み過ぎない、整理して使う
- 4 直射日光、ガスコンロの近くに置かない
- 5 ドアの開閉は手早く
- 6 月に一度は掃除をする
- 7 熱いものは冷ましてから入れる
洗濯機
- 1 できるだけまとめ洗いをする
- 2 洗剤、服の量は適切に
上記の資料1〜3以外の参考文献
1)酸性雨コラム 北海道環境科学研究センターホームページーより
http://www.hokkaido-ies.go.jp/seisakuka/acid_rain/index.html
2)酸性雨の原因物質を発生させる人間活動
市民としてできる酸性雨対策(1)、(2)
酸性雨研究センターホームページより
http://www.adorc.gr.jp/adorcjp/acid_environment/l5life/lesson5-1.htm
3)財団法人 家電製品協会ホームページ