東京が沈んでいる

匿名希望

 

*記事の要約(Abstract)

東京都内の多くの地域で、現在もわずかではあるが地盤沈下が観測されていることが、都環境局の地下水対策検討委員会によって明らかにされた。都内に設置の観測井で記録された地盤変動と地下水位のデータにより、2000年からの5年間で、地盤沈下は沈静化傾向にあることが分かった。しかし、多摩地区では5年間の平均で最大約4ミリメートル沈下した。沈下の原因は地下水汲み上げにある。都が60年以降、法律や条例などで地下水揚水を規制した結果、汲み上げ量の削減に伴って地盤沈下は沈静化した。しかし、現在も、上水道の水源として、多摩地区などで1日約50万トンの地下水が汲み上げられている。また、同地区では工業用水として工場での揚水量も多く、地盤沈下につながっていると同委員会は分析している。地盤は、一度沈下すると元の地盤高には戻らず、年間の沈下量がわずかであっても、長期的に見れば、累積的に沈下が進行する特徴があるといわれる。このため、同委員会は、継続的な揚水規制と監視体制の重要性を提唱している。

 

(ライブドアニュース、 2006.5.25)

*現状及び対応策

@地盤変動と地下水位の現状検証

東京都が、都内42地点に設置した92本の観測井で記録された地盤変動と地下水位のデータを検証した結果を以下の表に示している。

[資料]:平成12年〜16年の地盤沈下の状況(報道発表資料)

検証してみると、地盤沈下は沈静化傾向にあるが、「区部低地部」の一部を除いて、都内の多くの地域において、年間0〜3.9ミリメートルの沈下が継続している。地下水位は、一部の地域で着実に増加しているが、全般的に微増〜横這いの状況となっている。

[資料]:地下水位の経年変化(報道発表資料)

 

A地盤沈下のメカニズム

地下深くにある地下水の多くは、地盤の圧力を受け、一方では地盤を支えている。そのため、地表から浸透してくる水の量以上に汲み上げると地盤の沈下を引き起こす。地盤沈下の原因は、雨水や河川水が地下に浸透する量以上に汲み上げられると、帯水層に含まれる地下水が減って、その上下にある粘土層が収縮するため起こる。

[資料]地盤沈下のメカニズム(報道発表資料)

地盤沈下は起きてしまうと元に戻すことはできない。また沈下は長期的に見ると累積的に進行するので、わずかな年間の沈下量もばかにはできないのだ。都心部に工場などが集中していた昭和40年代までは、大量の地下水が汲み上げられ、68年には江戸川区西葛西で、1年間に最大23.89センチメートルも地盤が沈下した記録が残っている。

 

B対応策

都が60年以降、法律や条例などで地下水揚水を規制し、その結果、汲み上げ量の削減に伴って地下水位が上昇、地盤沈下は沈静化した。しかし、現在も上水道の水源として、多摩地区などで1日約50万トンの地下水が汲み上げられている。また、同地区では工業用水として工場での揚水量も多く、これがわずかでも地盤沈下につながっていると予想される。

今後地盤沈下の安定を図るために、以下のような対応策が考えられる。まず、地盤沈下を再発させないためには、今後も工業用水や建築物用地下水に関する地下水の汲み上げ規制を継続し、汲み上げ量を現状程度に維持することが必要である。なぜなら、現行の揚水規制を緩和すれば、地盤沈下が再発するおそれがあるからだ。これと同時に、観測井と水準測量による地盤沈下と地下水位の監視を継続することが必要とされている。一方、水源の表流水への転換を図るため、代替水源の確保及び代替水の供給にかかる事業を推進することも沈下の防止につながると考えられる。また、地下水採取者に対し適切な指導を行うことによって、節水、水使用の合理化及び地下水再利用施設の設置を促進することも地盤沈下に貢献できるだろう。

 

*私たちができること

日常生活の中で、蛇口を回せば大量の水が自然と流れてくるし、シャワーやお風呂では好きなだけお湯が使えるために、水をありふれた物質と見なして無駄に使用しがちである。しかし、水は無限にあるわけではない。水を大切に使っていかないといつか地下水がなくなり、地盤沈下も収拾がつかないだろう。このような危機を避けるために、私たちの身近なことからやり始めることが重要だと思う。トイレ、入浴、洗濯など主な生活用水をできるだけ節約し、水の存在意識を高めていかなければならない。例えば、お風呂の水を洗濯に回したり、食器洗いをするときに水を流しっぱなしにしないなど、工夫すればするほど水を節約することができるのだ。小さなことからでもその工夫が重要であると思う。また、子どもたちの、水を含めての環境教育にしっかりと力を入れて、環境問題への関心を育てるだけでなく、問題に対する解決策を考えさせるなど、少しずつ意識を高めていくことが必要だ。なぜなら、幼い頃から教育することが地球の将来につながるのだと考えられるからだ。さらに、地域ごとの激しい地盤沈下を緩和するために、揚水量のバランスをとることが大事だろう。工場や人口の密度を分散させることによって、一つの地域に集中した工業用水や生活用水が減らされ、したがって地域ごとの地盤沈下の速度が緩やかになることが考えられる。集中した地下揚水を避け、地盤沈下の進行を遅らせるために、工場などの分散も有用であろう。このように、地盤沈下を抑制する対策として、節水、環境教育、工場の分散などが挙げられる。

私たちは、水という与えられた貴重な資源を自分達の手によって守らなければならない。私もこの課題を通して、普段何気なく使っている水のありがたさを再認識し、もっと大事にしなければと反省した。人間もこの地球の自然の一部であるため、自然が破壊されると同時に人間もこの世から滅びてしまう。この自然界の原則を常にしっかりと心に刻みつけ、日々の生活で水を有限なものと自覚し、大事に使うことが必要である。

 

[参考文献]


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