中国における水質汚染

匿名希望

Abstract

 今急速に発展している中国ではたくさんの水質汚染が発生している。例えば、湖北(こほく)省を流れている長江上流では、数年にわたって、排水溝から墨のような化学汚染物質が排出されている。河南(かなん)省にある養殖池では製粉工場から流れる汚水によって2006年の後半の半年間だけで何千匹もの鯉が死んでしまった。また、環境保護総局局長は昨年の12月に、農村部に住む3億人の飲み水には安全性で問題があるとのべた。さらに、2005年に起きた吉林石化分公司の石油化学工場爆発の流域への多大な影響を考え、昨年、国家環境保護総局は会社に100万元(約1563万円)の罰金を課すことを決定した。同じく昨年暮れには環境保護総局と国家統計局、発展改革委員会が水質汚染と大気汚染が中国で特に悪化していると発表した。最後に、NHKのガイアの夜明けによれば、複数の日本企業が中国の水質改善に乗り出している。

 

考えられる対応策

 中国は今急速に発展しており、いわば、日本の高度経済成長期のような状況にある。わたしは実際に上海を何度か訪ねたことがあるが、行く度に街の様子は変わっている。しかし、日本でも高度成長期に工場からの排水などによって河川や海が汚染されたように、中国はあまりの急激な成長に環境の保全や整備が追いついていない。だが、中国では日本で起こった水俣病やイタイイタイ病などの公害病がまだ発生、もしくはあまり公にされていない。また、これらの資料で紹介されている中国の現在の水質汚染の状況は決して日本とは無関係ではない。なぜなら、現在日本は中国から多くの野菜を輸入しており、日本国民は中国産の食品を日々口にしているからだ。

 

 これらの水質汚染には次のような対策が考えられる。第一に、現在、環境のことよりも経済発展を重要視してしまっている実業家や一般の人々に環境保全についての知識を教えることである。経済が急成長しており、お金に目がくらんでしまっている人が多いだろうが、環境が破壊され水も汚染されてしまったら、会社の発展の妨げにもなる。なぜなら、工場では多量の水を使っているため、汚染された水で何度も洗浄されてしまった製品の質は低いからである。しかし、中国政府は確かに水質汚染などの環境破壊が起こっていることを認めているが、実際のところ、環境よりも経済発展やお金が入る事を優先しているとも考えられる。これは、九寨溝を観光地とする動きからも見られる。したがって、中国の多くの人に環境保全と経済発展のバランスをとることを知ってもらう必要がある。そのためには、日本や世界の企業、または団体がまだ中国には広まっていない水質改善や環境保全の方法を中国の多くの実業家に教えることが何よりも大切である。また、企業や団体の人が直接現地に行かなくても、インターネットなどを利用すればいろいろな最先端の知識を教えることもできる。さらに、大きな団体でなくても、個人がそのようなホームページを作成して情報を提供することも可能である。もちろん、多くの中国人が環境問題に取り組んでいると思うが、我々日本人も見ているだけでなく、持っている情報や技術を提供することはとても重要である。

 

 日本の企業が中国の水質改善に乗り出している例としてまず挙げられるのが高度な汚水・排水処理技術を持った化学繊維メーカー旭化成である。化学物質で汚染されてしまった下水を飲めるようにする特別な水処理膜を売り込むために、旭化成は2006年から社員を中国に派遣している。次に熊本のベンチャー企業「ビッグバイオ」と福岡のコンクリートブロック会社が共同して、有機物やアンモニアを分解する納豆菌を中に閉じ込めたコンクリートブロックを開発した。わたしはこのNHKの番組を実際に見たが、そこで紹介された湖の汚染は大きく改善されていた。また、このコンクリートブロックは大掛かりな機械を必要としないことから、使いやすいとされている。さらに、このブロックはマレーシアの国家プロジェクトで採用された実績を持つ。以上のように、水質改善に関する技術を持つ海外の企業が中国に協力することは比較的に経済発展に集中してしまっている中国にとって必要だと考えられる。

 

 次の対策として考えられることは、石油化学工場の爆発の件のようにその会社に多額の罰金を払わせることだ。ビジネスを成長させようとしている会社にとって罰金は大きな痛手になるため、水質汚染などをしなくても済む方法をその会社は考え出すほかに選択肢がなくなってしまう。しかし、罰金として徴収したものを、国家環境保護総局が必ず水質改善の為に使うことが必須である。

 

 現在わたしがいるところで中国の水質改善のためにできることはあまりないが、水質改善に関する情報を収集して知識を増やすことは誰にでもできることであり、何よりも重要なことだとわたしは考える。

 


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