自然科学VII 実験付き自然科学入門                2001.10.25

 

生物学分野(担当:加藤)

テーマ:昆虫の行動とフェロモンの働き

目的:観察と実験を通して生き物についての自然科学的なものの見方・考え方を学ぶ。

 

授業の進め方:

1)まずある条件のもとで。昆虫の行動を観察する。

2)その行動を説明するさまざまな仮説を立て、それを発表する。

3)次にその仮説の実証実験を行う。C最後に発展実験を行ない締めくくる。

 

-その1-

材料:ヤマトシロアリ

器具:採集用具(ポリバケツ、ドライバー、のこぎり、など)、プスチックタッパー、シャーレ、ろ紙、A4上質紙、ボールペン(パイロット製)、筆、ピンセットなど 

 

(10/25)

手順

1)配付資料を用いての講議により、シロアリについての簡単な理解をする。

2)野外(ICUキャンパス)でヤマトシロアリの観察と採集を行ない、ヤマトシロアリとそのすみか はいかなるものかを実感する。

3)ヤマトシロアリの社会構造を知るために、採集したシロアリの巣を壊して構成メンバーを取り出し階級ごとに仕分けをする。シロアリを扱うには、筆(またはろ紙片)を用 いて、同じ階級個体を一つの容  器(ろ紙を敷いたシャーレ)にまとめる。仕分けが終わったら、各階級ごとに個体数を数えてどの階級  の個体が多いかを調べる。

4)一番数の多い階級個体(職蟻)を用いて、行動を観察する。

 ・まず白い紙(A4コピー用紙)に、用意したボールペンでサークル(径15〜20cm位)を一筆書きで描く。

 ・そのサークルの中心にシロアリを一匹離し、サークルの線に対してどのような反応行動をするかを観察する。サークルだけでなく、いろいろな形を試してみる。一匹だけではなく数匹について実験する。色の異なるボールペンを用いてテストしてみる。(いろいろと遊ぶ!)

 

(10/25〜10/30) 

5)これらの観察をもとにして、シロアリはいかなる感覚刺激(例えば視覚など)を感受して、ボールペンで描いた線に反応行動しているのか、仮説をたてる。

6)次に、その仮説を実証するにはいかなる方法が可能か、具体的な実験プログラムを考える。実証する方法は一つではないので、できるだけたくさんの実験を立案する。

7)仮説とそれを証明するための方法について、各班ごとにOHPを用いてプレゼンテーションを行う。

 

(11/1)

7)それぞれの実験プログラムを実施に移し、仮説の正しさ・誤りを証明する。

8)最後に、シロアリのこの行動を裏打ちする仕組みと意味について発展実験を行い考察する。

 

注)

・日程はおおよその目安である。この授業の目的は行動の原因を知るだけではなく、仮説→証明実験を通してその原因をいかに考えるかにある。それゆえ、重要なのは大いに 頭脳を働かせることにある。

・最終的には、班ごとにレポートを課する。

・野外採集の際にはスズメバチに注意のこと。不用意にハチを驚かさないこと(石になる!)

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