水不足の問題

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1. 今、地球上に何が起こっているか/情報が伝えている事は?

 現在、地球上では各地で水不足、水質汚染、洪水被害の増大などの水問題が発生しており、これに起因する食糧難、伝染病の発生などその影響はますます広がっている。この原因には、急激な人口増加や都市開発、産業発展などがあり、水をめぐる国際紛争が各地で発生している。今後も人口増加等は進むと考えられ、さらに深刻な事態が予想される。(川と水委員会の資料より)

 地球上にある水のうち淡水は2.8%。そのなかで、私達が飲料や工業用に使える水はわずか10%程度であり、全体のたった0.28%しか使用できない。これだけでも水は本当に貴重なのだということがわかる。そのような少ない水も異常気象や森林伐採でますます減ってきている。Stockholm Environment Instituteによる水不足危険度を示した地図を見ると、問題のない地域はカナダや北欧などわずかな地域だけで、日本も含めて水不足の危険があることを示している。このことからもわかるように、水不足の危険は我々日本人にとっても重要な問題である。これまでのように水は無料、あたりまえではなくなってきているのだ。人口の急増、産業の著しい発展によって水需要が増大しており、現在、アジア、アフリカなど31カ国が水の絶対的な不足に悩んでいる。また、今後の人口増加に伴い、2025年には48カ国で水が不足すると見込まれ、食糧難の増加など非常に深刻な問題となっているのだ。

 水質汚染も深刻な問題である。急激な人口増加や工業等の発展に伴い、下水道等の施設整備が追いつかない途上国を中心に著しい水質汚染が進んでいる。この事態について国連は1998年に以下のような報告をしている。

・ 水関係の病気で、子供たちが8秒に1人ずつ死亡

・ 途上国における病気の80%の原因は汚水

・ 世界人口の50%には、下水施設が未整備

・ 淡水魚の20%の種は、水質汚染により絶滅の危機

・ 地下水の過剰汲み上げにより、砒素汚染が増加

 

 水不足の問題がある一方で、洪水被害の拡大という問題もある。都市化による急激な土地利用の変化や森林の伐採により、洪水時の流出量が増大し、その被害が大きくなっているのだ。原因として考えられている森林伐採は、水不足の原因でもある。山に木がなくなると、雨が降っても40%はすぐに蒸発し、55%は地面の表面をすぐに流れ出してしまい、土の中に入るのはたったの5%である。ところが森があると、枝や葉や幹に25%たまり、地面の中には35%入って、合計60%もたまるのだ。このような緑のダムが近年ますます伐採によりなくなっている。

 

2. 人間は/人類は何をすべきか?

 人類は今、真剣に水問題に取り組む必要がある。水問題の原因の多くは人類が作ってしまったものだ。私達は今まで行ってきたことを反省し、また未来に向けて新しくこの問題に向かっていかなければならない。

 水問題を解決するためには、ただ水を守っていくだけではいけない。それを引き起こした原因を解決しなくてはならない。水というひとつの問題で捉えるのではなく地球規模の環境に対する問題として考えた方がよいだろう。

 水が不足するのは人口が急激に増加したからというひとつの理由がある。これを解決していくためには人口増加の抑制が必要で、そのためには途上国などで、教育を充実させ女性の地位の向上や雇用の確保などを達成することが求められる。これはその国自身が努力することももちろん必要だが、先進国の援助が不可欠である。現在NGO、国連等が開発・援助を行っているが、もっと充実させ、広範囲にわたる援助が必要であろう。

 また都市開発、産業発展などにおいても、経済的な利益のみを追い求めるのではなく、環境に配慮した開発、発展をしていかなくてはならない。廃棄物に対する基準を高くしたり、リサイクルを義務づけたりすることも有効だろう。また企業はゼロエミッションなど環境に優しい経営戦略を行うことが必要だ。そして森林伐採は減らさなければならない。京都議定書が2001年7月23日に採決されたが、これは温暖化防止だけでなく水を守ることにもなる。なぜなら森林を守ることになるし、二酸化炭素を削減することにより異常気象を減らすことができるかもしれない。世界最大の消費国家アメリカ合衆国の参加が早急に求められる。

 また世界の水問題の専門家、学会、国際機関が中心となって、水に関する国際シンクタンクを目指し、世界水会議(WWC: World Water Council)が1996年に誕生した。このような水問題を取り扱う国際機関がこれから国際社会に対して意見や提案をし、話し合う場を提供していくことが求められる。第三回世界水フォーラムが2003年3月16日から23日まで日本で行われることもあるので、日本人にとって水問題に目を向けることができるよい機会になるのではないかと思う。まずは問題意識を持つことが必要なので、水問題についてもっと知らせていくことが重要だろう。

 

3. 私たちは、今いるところで何ができるか?

 まずは、日々の生活の中で水を大切にすることが重要だ。手洗いや歯磨きをしている時水を出しっぱなしにしていたのを止める等、節水をすること。これは誰にでもできるし、そうすることにより水の使用量を減らし、水を大切にしようという思いを育てることにもつながる。

 また水のことを知るということが必要だ。私達は水をあたりまえのように消費しているが、実際に水とは何かよく知らない。水を知り、今ある問題を知ることによって水を大切にしようという思いがでてくる。例えば、ミネラルウォーターのようなおいしい水はどこにあるのか。そしてその水はなぜおいしいのか。といったことから自然の大切さや力を知ることになり、それらを守っていこうという思いを持つことにつながるだろう。他にも世界の水に関する事件に注目することにより、世界には水問題で悩んでいる人々がたくさんいることを知り、問題意識を持つことができるだろう。

 木を植える活動に参加することも有意義だ。「ドングリの会」では、木の種を配って植木鉢やプランターで植えてもらい、苗にしてから苗床に移し、そして数年後に山へ植林するという運動を行っている。直接こういった会に参加し、森林を守り育てていくことは、水問題を解決する上で大きな力となる。また木を植える団体やその他の環境NGO等に寄付をするのも大きな助けになる。

 私達は、自分一人の力などたいしたものではないからやってもやらなくても同じだという考えに陥ることがよくある。しかし、皆がそのような考えであったら何も始まらない。一人一人の力は小さくても皆の力が集まれば、それは大きな力となる。森林を守り、水を守ることになるのだ。小さな一つ一つが重要なのだ。私達がこの水問題を自分の問題として受け止め、世界中の人々が協力して努力していくことがなにより必要とされているのだ。

 

<参考文献>

「川と水」委員会 URL:http://www.idi.or.jp/vision/indexj.htm  アクセス日 2002.1.25 10:41
 
安田火災エコクラシーの森 URL:http://www.yasuda-pavilion.com/top.html アクセス日 2002.1.25 11:05
 
水の資料館 URL:http://www.water.go.jp/referenc/kagaku/f_kagaku.html アクセス日 2002.1.25 11:09
 
ドングリの会 URL:http://www.oakv.co.jp/network/donguri.html アクセス日 2002.1.25 11:31
 
World Water Council URL:http://www.worldwatercouncil.org/ アクセス日 2002.1.25 12:32

 

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