過去約50年間で20%も弱くなった?
V5M3
北極の南側のノルウェー海から、北大西洋に流れ込む海水の流れの強さが、過去約50年間で20%も弱くなっていることを、北大西洋のデンマーク領フェロー諸島のフェロー漁業研究所などの研究グループが突き止め、21日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
二酸化炭素などの排出増加で地球の温暖化が進むと、地球上の巨大な熱のコンベヤーである海水の大循環が弱くなり、地球規模での異常気象を招くとの予測結果が報告されているが、今回のデータは、その指摘と一致する。
発表によると、英国北西部の北大西洋では、低温で高密度、高塩分濃度の海水ができて1000メートル以下の深海に沈んで「北大西洋深層水(NADW)」となり、地球規模で循環する。
この海水の大規模な循環は「海洋大循環」と呼ばれ、地球の気候に大きな影響を与えるが、ノルウェー海から流れ込む海水が主要な供給源になっている。
研究グループが調べたのは、深さ500メートル以下の海の中の水の流れ。95年から音波を使って水の流れを観測し、50年代からの記録と比較した結果、流れの強さが少なくとも20%は弱くなっていることが判明。海洋大循環が弱くなっている可能性が示された。
グループは「この傾向が今後も続くと、欧州周辺にさまざまな気候変動を引き起こす可能性がある」と指摘している。
海洋大循環 海水の塩分濃度や温度の差によって起こる海水の循環「熱塩循環」の一種。北大西洋で徐々に深部に沈んだ海水が、深層を流れて南下して東へ進み、遠く離れた北太平洋で表層に浮上。太平洋、インド洋を経て、再びグリーンランド沖で深層に潜る地球規模の海水の循環。欧州は大循環によって運ばれる熱のため、緯度の割には温暖だが、地球温暖化で大循環が弱くなると、寒冷化するとされる。地球温暖化が進むと大循環が止まり、地球上に破局的な気候変動をもたらすとの予測もある。(ワシントン共同)
[毎日新聞6月21日] ( 2001-06-21-14:59 )
いままで一定であった海水の量が変化している。これはエルニーニョ現象の影響もさることながら、地球温暖化が主な原因ではないかといわれている。温暖化により、熱循環がうまくいかなくなり、結果としていくつかの地域では気候変動がおこると考えられている。水の少ない地域でますます水が得にくくなったり、いままで温暖だった地域が寒冷化することも考えられる。
温暖化の原因として、石炭石油などの化石燃料の焼却が考えられる。地球上に眠っていた大昔からの資産ではあるが、温暖化に繋がる物質が含まれている。あと数十年ほどで化石燃料はなくなると見られているが、そのころには地球の温暖化がいまよりもはるかに進むと思われる。使用を今すぐやめるべきだという意見が出るかもしれない。しかし、発電のために化石燃料を使っている現状ではそれも難しいだろう。この問題を解決するには二つの方法がある。一つ目は新たな代替エネルギー源をみつけることであり、もう一つはリサイクルである。前者は風力発電、地熱発電、太陽光発電といったものに代表されてはいるものの、われわれの需要を満たすには十分ではない。近年、SPS(Solar Power Satelite)システムというものが開発されている。これは宇宙空間で太陽光をマイクロウエーブとして発電するもので、原子力発電の数倍の発電量が期待でき、原子力発電のように汚染を気にすることもないのである。
われわれに可能なのがリサイクルである。ごみを焼却するときの熱を暖房に使ったり、ペットボトルを集めたりすることで、物を生産するときに必要なエネルギーを減らすことができる。また、節約に努めることも重要である。消費電力を下げ、化石燃料の使用を少しでも避けるべきだろう。
【1】ノリ不作:
諌早湾の排水門長期開放による調査求める 検討委
2001.12.13
農水省の有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第三者委員会・清水誠委員長)は、国営諌早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防の排水門を長期間開放した調査実施を求める見解案をまとめた。19日の会合で決定し、武部勤農相に答申する見込み。事業の地元の長崎県は「調査のためでも排水門開放は容認しない」との立場で事業縮小案に同意しており、今後の曲折が予想される。
関係者によると、見解案は「干拓事業が有明海の潮位、流れの変化や負荷(汚染)を与えていると想定されている」と指摘。2カ月程度の第1段階に続けて、第2段階として約半年間、さらにその結果を踏まえて数年間と3段階にわたる開門調査の実施が望ましいとした。具体的な時期、方法には触れていない。
見解案は、有明海で起きている赤潮や貧酸素水塊の発生、干潟底質の変化、二枚貝減少などについて言及。その原因として指摘されている(1)干潟消失による水質浄化機能の喪失(2)調整池内での滞留による水質汚染(3)潮流、流速の変動__といった干拓事業の影響の解明には、短期調査では不十分と判断。実態解明のために水門を「できるだけ長い間、大きく」開放する必要があるとした。
また、開門に先立ち、早急に内部堤防の整備など防災対策を進めることを求めている。
[毎日新聞12月13日] ( 2001-12-13-13:20 )
有明海で諫早湾の水門を閉じたあと、海苔が不作に陥ったことは記憶に新しい。諫早湾にはムツゴロウなど有明海独特の生態系が存在していたにも関わらず、水門を閉じてしまった。影響が懸念されていたがそれは現実のものになった。海苔の不作である。プランクトンの発生により海苔が十分に育つことができなくなり、それが今回の結果に繋がった。そして、不作の原因が諫早湾の水門を閉じたことなのかを調査したのである。その見解は「干拓事業が有明海の潮位、流れの変化や負荷(汚染)を与えていると想定されている」とのことだった。そして、短期調査では不十分と判断。実態解明のために水門を「できるだけ長い間、大きく」開放する必要があるとした。
人類は昔から自分自身の利益のために様々なことを行ってきた。いくつもの種を絶滅させてきた。今回の出来事も自らのエゴで行われたことであろう。人間が本来の生態系のサイクルに介入したことによって起こってしまったといっても過言ではない。人類は自らの持つ影響力をもっと自覚するべきだろう。歴史を振り返ってみても人類の他の種に与えてきた影響というのは小さくない。今、絶滅の危機に瀕している生物はたくさんいる。人間がそれらの生物を守ろうとしても、人間は化石燃料の使用などで環境に悪影響を与えているため、結果的に環境を通じて生物を更なる危機に追い込んでしまっていると言えるかもしれない。
私たちは、目先の情報に流されないようにするのが重要ではないだろうか。一時的な利益を求めることによって、長期的に見たときには損害を出すといったことも考えられる。今回も、干拓という一時的な利益を求めた結果、有明海の生態系の破壊という事態を招いてしまった。私たちはこのことを教訓にしなければならない。自分の生活の便利さのために環境に悪影響を及ぼす。そうではなく、自然と共に生きることを心がけなければならないのではないだろうか。
【2】有明海:
貧酸素水塊の発生確認 国に調査要請 自然保護協会
2001.08.23
日本自然保護協会は23日、養殖ノリの不作が問題になっている有明海で、水中に溶けている酸素量が極端に減る「貧酸素水塊」が発生しているとして、環境、農水両省に緊急調査を要請した。
調査は同協会が8月5〜7日、有明海の38地点で、水面から水底までの海水を採取し、酸素濃度を測定した。水面では1リットル当たり6ミリグラムとほぼ飽和状態だったが、中層から底層にかけて急激に減っていた。特に底層では、諌早湾の湾口全域を覆う形で同2ミリグラム以下の大規模な貧酸素水塊の発生を確認した。最も低かったのは、諌早湾奥部の同0・53ミリグラムで、飽和濃度の約8%だった。
貧酸素水塊は海底の有機物をバクテリアが分解するときに大量の酸素を消費するために発生するとされる。同協会はアサリの大量死や赤潮発生の原因は貧酸素水塊であるとして、両省に原因調査や改善策をとることを求めた。
会見した吉田正人常務理事は「2ミリグラム以下の状態が続くとアサリなどは死滅してしまう。ノリ養殖は9月からタネ付け作業が始まるので、早急な調査が必要だ」と話した。 【吉川学】
[毎日新聞8月23日] ( 2001-08-23-18:53 )
【3】特報・深層水:
血圧を下げる効果 農水省など研究チーム調査
2000.11.10
海面下200メートル以上の深海にある「深層水」に人の血圧を下げる効果があることが、海水化学会社「赤穂化成」(兵庫県赤穂市)や農水省食品総合研究所などによる研究チームの調査で分かった。神戸市で9日開かれた第4回海洋深層水利用研究会全国集会で、チームが発表した。ミネラル栄養分が好影響を与えているとみられ、最大血圧が10〜20ミリHg(ミリメートル水銀柱)下がり、とくに高血圧の人に著しい効果が表れた。深層水の新たな効能として注目されそうだ。
深層水は高い水圧を受けているため細菌が少なく、低温で安定している。マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが豊富で、飲料水のほか化粧水などにも使われ、アトピー性皮膚炎にも効果があるとされる。
研究チームが30〜50代の男女31人に、深層水を原料にした赤穂化成製のミネラル飲料水を7カ月間、毎日500ミリリットル飲んでもらったところ、約1カ月で最大血圧が10〜20ミリHg、最小血圧が5〜10ミリHg下がり、飲み続けると効果は持続した。最大血圧160ミリHgの人が140ミリHgまで下がるなど、高血圧の人の方が下がる率が大きかった。白血球や赤血球などの数に変化は見られず、安全性も確認されたという。
研究チームは「深層水のミネラル分が、循環器系に好ましい効果をもたらしていると考えられる」としており、血圧降下のメカニズム解明を目指す。 【辻 加奈子】
有明湾に起こっている問題は、私たちの「食」の部分を脅かす政府のエゴである。
だが、東京に住む私たちにとって対岸の火事になってはいないだろうか?有明湾に限らず、環境汚染、破壊は私たち自身の自然への無関心・限りある資源への依存・甘えの結果に他ならない。特に第二次世界大戦後、急速に発展を遂げた日本経済のみならず、世界の主要国は自国の利益のみを追求した結果、50年を経て世界レベルの危機に直面している。戦前の素朴の生活、機械に依存していない時代のままだったら、地球の危機もほど遠いものであったに違いない。
人間の探求心は破壊するだけでなく、新しい発見も見逃さない。深層水に関しては数年前から取り沙汰されてきているが、地球の持つ底力を見たような気がする。まだまだ私たちが知らないエネルギーを見つけ活かす事こそが、私たち人間の使命である。またモラルある生活を送ることも又重要であると思う。
地球の破壊を止めるために私たちはまず、身の周りの事に取り組まなければいけない。先進国と言われている日本において、環境問題については、ゴミ1つを取ってみても全くの後進国である。ドイツでは「リサイクル」が徹底して行われている。(日本でも名古屋などではゴミの出し方は5種類に分かれ評価すべきことである。)各自が資源ゴミか否かに分別するだけでも、大きな前進と言えるだろう。無駄な衝動買いをしないようする事は不況の世の中に逆行することだが、ゴミの増加を考えると望ましいと言えよう。