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私は雨が好きである。理由はまだない。なぜだか分からないが、雨の日には傘をささずに外へ出て、雨に打たれたいと思ってしまう。また雨の降り始めの、アスファルトの濡れる匂いと、濡れ初めの音が好きがである。このレポートの機会に雨について調べてみようと思った。
2001年12月28日の読売新聞によれば、地球フロンティア研究システムのコンピュータを使ったシミュレーション研究でタイ北部の常緑林は雨の少ない乾季に地面深部の水分を汲み上げて大気放出するポンプの役割を果たしていることが分かった。従来、常緑樹は乾季には植物体内の水分が失われないよう、葉から放出される水蒸気量を抑えていると考えられていたが、この研究により水蒸気の放出量が最大になるのは乾季の後半になることが分かった。大気への水分の供給は気候変化に大きく影響するため正確な予測をするためには、季節変動のメカニズムを把握することが必要である。
地球フロンティア研究システムによると、タイの森林には落葉林と常緑林があり、落葉林は乾季には葉を落とし葉からの蒸散がなくなりまた地表も乾いているため地表から水蒸気が大気に放出されことはない。一方、一年中葉をつけている常緑林は乾季に大気、土壌ともに乾燥している時、植物体内の水の損失を抑えるため気孔を閉じ、これにより水蒸気の放出が著しく低下すると考えられていた。この新しい研究成果によりアジアモンスーン地域における水循環の予測精度が向上すると考えられている。なぜならば植物による大気への水蒸気放出が予測の上で重要なファクターとなりえるからだ。また、この成果により森林が水資源に果たす役割を考える上でも重要な資料となりえるだろう。
太陽系の中で唯一の「水の星」である地球の70%を占める海を源として大気、陸地、動植物を始めとする生命体を貫いて大きく循環しているのが「水」である。水は河川、湖、沼、水田、地下水、海、雨また生命体内の水として一つの大きな地球水系といえる形で循環しており、環境や形態など分断できる物ではない。「水」、「大気」は地球の「動脈」、「静脈」に例えられる循環の二大系である。
46億年前、地球が生まれたばかりのころ熱いマグマから蒸発した水がやがて冷え、激しい雨となって地表に降り注ぎそれが数百年続き、様々な元素を溶かし込んでいた。このようにこの地球上では、はるか昔から水の循環が行なわれていたと考えられるだろう
この水の循環を森林の働きを通して見るのが、「森林水文学」である。森林水文学によると、水循環には蒸発散現象、土壌中の浸透現象が深く関わっている。これらのことから、今日の地球フロンティア研究システムの新しい観測結果は人類が水循環を考える上で非常に重要な成果となるであろう。なぜならば、森林による水循環の形が新しく示され、また森林伐採による全地球的規模へのダメージが考えられるからである。
また、私たちは常日頃から水とその循環、例えば川から海そして水蒸気、雨、森林という流れを意識しその流れを破壊しないために、今何ができるかを考えなければならないだろう。このうちの一つでも欠ければ全地球的規模で人類に対する水の復讐、例えば洪水や旱魃が始まるだろう。むしろ、既に始まっているといっても過言ではない。
最後にこの課題によって雨について考えてみようと思ったが、結果的に地球的規模での水循環にいついて、考えさせられてしまった。しかし、これにより地球の環境や循環について考えるとなると、局地的なものだけをみても答えが出ないであろうことも分かった。
参考資料