透過性防波堤

地球の温暖化

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 先日ICUの友人を連れ立って横浜の山下公園を訪れた。自分の地元が横浜であるということもあり、港湾の水の汚さには何も感じなかったが、一方田舎物の友は、都会の海は汚いと大層嘆いていた。私は友人の言葉に少しだけ故郷をバカにされた気になってしまった。しかし、横浜の環境破壊、特に水質汚濁を非難されてしまってはまったく反論の仕様がない。せっかくこんな楽しい都会を案内してやっているのにこいつは何をぬかすんだ、と心の中で友人を責めていたとき、数人の若人が私の横で防波堤の置き換え工事をしている姿が目に入った。一体何の目的でそのような作業をしているのか皆目つかず、帰宅するなり私はパソコンで調べてみることにした。

 私が港湾で目撃した工事は、たぶん、透過性防波堤の設置工事であったのではないだろうか。建設業者のホームページを見てみると透過性防波堤のメリットが記入されている。それは「従来の防波堤の内部にステップ型やスロープ方といった特徴的な通水路を設けることで、効果的に波を遮断しながら、海水の循環を促し適度な流れを生み出し、滞留めによる水質の悪化を防止する」ものである。なにやらすごい技術である。これほどのものはまだ友人の町にも取り入れられてはいないだろう、私は部屋で一人、ほくそ笑んでしまった。しかし、忘れてはいけない問題として、過度の水質汚濁がこのような技術を取り入れざるを得なくしてしまったということである。今、この海に潜む問題を見つめ直すには適切な時かもしれない。

昨今テレビや新聞などのメディアを通して、地球の温暖化が叫ばれている。温暖化の諸現象は、海面水位上昇や年間平均気温の上昇などによって身近な問題として多くの人に認知されてきている。しかし、地球の温暖化問題を我々日本人はどれくらい理解しているのであろうか。

このレポートでは、我々にはなじみの薄いが、日々水害の恐怖に追われている地域にスポットを当て、そこに存在する温暖化問題を紹介、検証する。

  南太平洋に浮かぶ島々、ツバル諸島は観光業も発達していない未開の孤島郡である。この国は10年程前に世界で最初に沈む国として突然有名になった。島の海抜が平均して1−2mのこの島は大潮時には道路が水浸しになるという怪現象まで起きている。現在、科学者の間で2100年までに88cm以上海面が上昇するといわれてるが、このままではツバル諸島は30年持たないであろうと推測されている。国民は突如、「難民」と指定されてしまった。(朝日新聞8月6日 朝刊) 地球規模の問題を論じるにあたり、我々が先ず念頭におかなければいけないのが、人類が犯してきた罪を認識し反省することである。人間は他者には批判的になれるのに、自分がしている悪には盲目に陥りやすい。よく言われることだが、省みることなしには変化を期待出来ないだろう。次に、先進国に住む我々がしなければならないのが、無駄な消費を減らすということである。しかし、この努力は目に見えづらいのも確かだ。「エネルギー利用にかかわる地球温暖化は、きわめて長期の複雑な減少だ。石炭、石油の消費を減らして二酸化炭素の排出量を抑えても、気温上昇が安定するまでに数百年、海面上昇が止まるまでさらに数百年を要する。」(朝日新聞3月13日 夕刊) 海の向こうの危機的な状況さえ思い浮かべることが出来ないのに、個人のレベルでこれからの地球環境に直接影響していこうとするのは、やはり難しいことであろう。しかし、何かをはじめなければどうしようもない危機的な状況が迫ってきているのも事実である。私が提案する今我々に出来ることは、問題に五感で直接触れるということである。これは環境問題を一人一人が身近なものとして感じることが出来る一番の近道であろう。

  環境問題を他人事として論じ合うにはもう遅すぎるであろう。

 

透過性防波堤  透過性防波堤の内容説明

  http://www.okumuragumi.co.jp/kankyou/gijutu/kankyou4.pdf

世界で最初に沈む国 ツバル

  ツバル諸島の簡単な紹介と環境難民に指定された住民の移住に対するツバル政府の政策の概要

  http://www.asahi.com/edu/nie/shasin/kiji102.html

諸学の融合

  エネルギー利用にかかわる温暖化の簡単説明とエネルギー学の基本課題の考察

  http://www.asahi.com/science/column/energy/020313a.html

 

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