アジアにおける地下水汚染と飲料水

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  近年、世界各国において様々な飲料水の汚染が問題とされている。今回はその中でも、今アジアに広がっている地下水の汚染と飲料水について考えていきたい。

 

 氈@アジアでの地下水汚染の現状

 

A 砒素汚染

  現在、アジアにおける地下水の砒素汚染が広がっており、それを飲み水とする人間への悪影響が問題化している。飲料水中の砒素許容基準推奨値は0,01ppmである。これ以上の濃度の水を摂取し続けると、体に黒い斑点のような皮膚症状が出たり、もっと進行するとガンになるなど、人間の健康に深刻な害を与える。

   

  (1)バングラデシュ

      インドの東、ガンジス川の河口のデルタ地帯に発展した国である。64

     中61県の井戸において15年位前に砒素汚染が顕在化し、今も大問題と

     なっている。政府の公式発表によると、慢性の砒素中毒患者は1万554

     人にも及ぶ。砒素汚染の原因としては2つあげられる。1つ目は、地下水

     のくみ取り過剰である。緑の革命により米の生産を増やすために乾期にも

     稲作をするようになり、それに必要な水を大量に地下から汲み上げるよう

     になった。そのため、地下の水位が下がり、化学変化がおきて砒素が溶け

     出した。2つ目としては、チューブウエル(チューブ井戸)の普及である。

     バングラデシュ独立(1971年)以前は、掘り抜き井戸・池の水・川の

     水を利用していた。これらの水はほとんど砒素に汚染されてないが、病原

     菌に汚染されていたため、下痢・コレラ・赤痢などの要因となっていた。

     そこでユニセフやNGOなどが水系伝染病対策の一環としてチューブウエ

     ルを普及させた。しかし、その水が砒素に汚染されていたのである。

 

  (2)中国・内モンゴル自治区

      1989年以降、高濃度(最高は1,86ppm)の砒素を含んだ井戸

     水を飲用する村落は104カ所とされている。この水を飲み、何らかの影

     響をうけた人は30万人以上とされ、1638人の慢性砒素中毒患者が発

     見されている。この砒素汚染の原因は、地下水を利用した農業開発が進み

     井戸を深く掘ったためと考えられている。

 

  (3)インド・西ベンガル州

      汚染は1995年の段階で466の村落、汚染人口は167万人と推定

     されている。WHOのさだめた基準0,01ppm以上の濃度の井戸水を

     飲んでいる人の数は100万人で、その中で20万人の人に皮膚症状がで

     ている。ここは、世界最大の砒素被害である。ここでも原因は灌漑のため

     に大量の地下水を汲み上げたことによる砒素の溶出である。

 

  B 廃棄物汚染

     1994年バーゼル条約により、有害廃棄物を富める国から貧しい国に輸

    出することは禁止されている。しかし、アメリカ・ヨーロッパ・日本・韓国

    から、電子廃棄物が中国に輸出されているといわれている。アメリカでは、

    国内でのリサイクル用に集められた電子廃棄物の80%は、インド・パキス

    タン・中国などのアジア地域に輸出されているともいわれている。これらの

    有害廃棄物が田んぼ・川の土手・池の中等に廃棄されるため、中国広東省の

    チャオヤン区では井戸水が黄色く変色し、飲み水として用いられなくなった。

 

  地下水汚染への対策・課題(Think globally)

 

  A 砒素汚染への対策

 対策としては3つあげられる。1つ目は水の浄化である。PSF(ポンド

・サンド・フィルター)やASFにより池の水を浄化することで、砒素に汚

染されていない水がえられる。2つ目は他の水源の確保である。バングラデ

シュでは年間1800ミリ、インド・西ベンガル州では年間2000ミリの

雨が降るため、雨水を利用することが可能である。また、ベンガル州では泥

沢地が44万平方キロメートルあるため、その利用もできる。3つ目は栄養

の摂取である。動物性タンパク質とビタミンが砒素中毒予防に有効であると 

されている。特に動物性タンパク質はよいとされており、これを摂取するこ

とで砒素に強くなるといえる。

 これらの対策を実行し、成功させるためにも、汚染された水に直接関わる

人達(村人)の教育が必要である。バングラデシュにおける識字率は30%

である。識字率をあげることにより、より現状と問題点を理解し、対策に力

を入れてゆけると考えられる。また、砒素汚染についての知識の教育も必要

である。知識を与える啓発活動をすることで、村人が自発的に問題に取り組

むようになる。中国・内モンゴル自治区のように、政府の財政的困難で政府

がなかなか対策に取り組めない中、村人からのアプローチは大切であると考

えられている。また、正しい知識を身につけることで、砒素中毒患者に対す

る不信・差別もなくなってくると思われる。

 

  B 廃棄物汚染

     廃棄物を産出してしまっている先進諸国の意識を変えることが必要である。

    アジアなどの貧しい国々を有害廃棄物のゴミ捨て場として考えるのではなく、

    正しい方法で自国で処理をし、地下水を汚染から守ることが大切である。

 

 。 日本における地下水汚染(Act locally)

 

    日本において地下水の砒素汚染は近年なくなっている。高度成長期に、工業

   用水に大量の地下水を揚水したため地下水位が低下し、砒素がでたとされる事

   例は数多くあった。千葉県の佐原市や熊本県の富合町などである。こんな中、

   廃棄物や工場排水などによる地下水汚染はいまだに続いている。私たちは地下

   水を安全に飲料水として保つためにも、水の汚染を防止することが必要である。

   洗剤を流さないことや、環境ホルモンが出るゴミを出さないようにするなど、

   生活の中での対策が必要であると考える。

 

参考

 

バングラデシュの地下水ヒ素汚染

http://www.asahi.com/international/hiso/hiso00418.html (2002, 4, 18)

http://www.asahi.com/international/hiso/hiso0502.html (2002, 5, 2)

 アジアヒ素ネットワーク 報告講演 「ヒ素汚染村という援助の現場」(2003, 1 ,25)

 

中国・内モンゴル自治区の地下水ヒ素汚染

http://www.asia-arsenic.net/aannews/innermgj.htm (2001)

 

インド・西ベンガル州の地下水ヒ素汚染

http://www.asia-arsenic.net/aannews/wbengalj.htm (わからない)

 

中国の地下水廃棄物汚染

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_02/02_03/02_03_15_reuters.html

(World Environment News 2002, 3, 17)

 

日本の地下水ヒ素汚染と21世紀への提言

 http://www.asia-arsenic.net/hotta/hotta.htm (2001)

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