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水と人間 海洋汚染

 

バハ・カリフォルニア。メキシコ、カリフォルニア半島の沿岸はその恵みの豊かさから、「母なる海」と呼ばれている。実際に、沿岸部の海洋には様々な海の生物が生息し、絶滅寸前といわれている、ジュゴンもこの海で繁殖する。様々な海洋が重油や汚染物質によって汚染されている中、バハカリフォルニア沿岸部では、その恵みを生物に分け与え、生態系が保たれていた。しかし、その「母なる海」が現在人間が排出している汚染物質によって、危機に直面している。

タイムズ誌や、海外の新聞記事によると、現在、バハカリフォルニア沿岸部で多数のくじらの死骸が確認されている。これは人間のだす汚染物質に因るもので、その被害はくじらだけでなく他の海の生態系にも被害を及ぼしているという。また、バハカリフォルニアでは毎年海鳥が産卵の季節に訪れ、その半島で産卵をするという習性があったが、現在では、その海鳥の姿も見かけられなくなっている。これらのことから、現在、海洋汚染が重大さを増しているということが確認できる。

アメリカでは、最少でも年間4500万t以上の廃棄物が、直接海に投棄されると推定されている。このうちの約80%は、浚渫による廃棄物、10%は産業廃棄物、9%は下水汚泥である。有毒物質の存在、海洋生物による汚濁物質の急速なとりこみ、沿岸海域への大量の沈殿、のぞましくない生物の過剰な増殖など、海洋汚染のさまざまな要素がすべてくみあわさって、海洋に重大な影響をあたえる。バハカリフォルニアの場合、シアン化物の投棄によって海洋と生物に悪影響が及んでいると考えられている。

このように大量の生活排水や産業廃棄物などの汚染物質が海に流されてる。海に流されてくる汚水では、浄化されてきれいな水となったものもあるが、その量はわずかである。これら海に流れこんだ汚水は、バクテリアなどの微生物によって分解され、無害なものになる。しかし、バクテリアの処理できる範囲にも限界があり、多くの有害物質が分解されずに海に悪影響を及ぼしているのが現状である。

現在人類にできること。それは簡単にいってしまえば、産業廃棄物や汚染物質を海に投棄しないことであるが、それがいかに困難なことであるかというところでつまづいてしまう。海洋は、将来の食物の供給源として有望視されている。その抽出は容易ではないが、海洋における鉱物資源なども最近になって注目を集めている。また海水そのものを淡水化して利用することもあるため、海洋の保全に対する関心も大きくなってきている。しかし、先に述べたような海洋汚染がさらに進めば、その資源も使われずして死んでいってしまいかねない。世界中で様々なシンポジウムが開催され汚染物質の海への投棄への反対が唱えられているが、実際に改善されたのはひとにぎりであると考えた方がいい。高度成長が進み、科学技術が発展している中、それをとめるのは難しいことかも知れないが、その科学技術の発展をいかして、産業廃棄物や下水などの処理を改善できるのではないだろうか。実際に、汚水の浄化処理をする工場などがたてられているが、これには、莫大な資金が必要となる。とくに発展途上国には、設備の整った処理場を作るだけの資金が足りない状況が見られる。しかし、現在、これらの国に対して援助が行われるということはなされていない。

このような中私達が今いる場所でできることは非常に少ないかも知れない。しかし、今現在、国連環境計画がすすめている地域海計画では、海洋汚染に対して、その汚染から浄化へと導くために、様々な調査と援助がすすめられている。これらの援助に私達が少しでも手を差し伸べることはできないだろうか。先進国が処理場をもち汚水や汚染物質を浄化したとしても、発展途上国に設備が備わっていない限り、海洋汚染は徐々に進んでいくだろう。だが、私達民間人からの少しづつの援助でも、発展途上国への処理場建設への導きにはならないだろうか。少なくともなんらかの進展は見られるのではないだろうか。

最も重要なことは、私達が水に対する意識を高め、生活していく中で少しでも今より水を大切にしていくということである。水が供給されるのが当たり前となっている今、そのような意識改革が最も効果的であると言える。

 

Reference:

23. February 1999;  The Times;  P.15  メDrug Gang Link to Whale Deaths/Overseas Newsモ
13 March 1999;  The New York Times;  P.4  メ50 Whales Die Off Mexicoモ
http://www.education.ne.jp/gakkou/mitaka/schools/takayamasho-mi/kankyo/suisitu.htm
概要:水質汚染について。
  http://whale.wheelock.edu/archives/whalenet95/0088.html
概要:バハカリフォルニアでの海洋汚染によるくじらの死。
 テレビ朝日 たけしの万物創世記「バハ・カリフォルニア」午後8時放送
概要:バハカリフォルニアの生態系と、近年の海洋汚染状況。
水汚染 みずおせん Water Pollution 
 微生物、化学物質、産業その他の廃棄物、下水などの異物による水の汚濁。汚染によって水質は悪化し、本来の用途に
適さなくなる。


おもな汚染物質

  水を汚染する物質には次のようなものがある。
(1)下水など、酸素を要求する廃棄物:これらの大半は炭素をふくむ有機物質でこうした物質の分解によって酸素がうばわれる。
(2)伝染性の病原体。
(3)植物の栄養物質:水生植物の増殖をひきおこすことがあり、そのために水がつかえなくなる。
  また水生植物が腐敗すると、水中にとけている酸素をうばい、悪臭を発生する。
(4)外部から侵入した有機化学物質:殺虫剤
  さまざまな工業製品、合成洗剤の成分である界面活性剤、そのほかの有機化合物の分解物など。
(5)石油:とくに流出した原油。
(6)無機物および無機化合物。
(7)沈殿物:農地、むきだしの土壌、露天採鉱場、道路、ブルドーザーでほりかえされた市街地などから
  嵐や洪水によってはこばれた土や鉱物の粒子の沈殿物。
(8)放射性物質:ウランやトリウムの採鉱および精製からでる廃棄物、原子力発電所、あるいは工業でつかう放射性原料や
  医学、科学の実験材料を発生源とする。
  工場や発電所の冷却水の放流によって、水域の水温が上昇する場合には、熱も水の汚染物質とみなされる。

 

海洋汚染

アメリカでは、最少でも年間4500万t以上の廃棄物が、直接海に投棄されると推定されている。
このうちの約80%は、浚渫による廃棄物、10%は産業廃棄物、9%は下水汚泥である。有毒物質の存在、海洋生物による
汚濁物質の急速なとりこみ、沿岸海域への大量の沈殿、のぞましくない生物の過剰な増殖など、海洋汚染のさまざまな
要素がすべてくみあわさって、海洋に重大な影響をあたえる。

 

生命と水

水は生物の主要成分であり、生物の重さの60〜80%は水の重さである。
細胞の構成要素でもっとも大切なひとつ、原形質は、脂肪、炭水化物、タンパク質、塩およびそのほかいろいろな物質が
水にとけたもので、これらの物質の水溶液からできている。
水はこのように溶媒としてはたらいているが、さらに、これら物質の輸送、結合と分解にもかかわっている。
ほとんど水でできているといってもよい動物の血液や植物の樹液は、栄養物の運搬や老廃物の除去をおこなっている。
また、水はタンパク質や炭水化物のようなひじょうに重要な物質の代謝や分解の鍵(かぎ)となる物質でもある。
生きている細胞でつねにおこっているこの分解は加水分解とよばれる。

 

海洋 かいよう Ocean

海あるいは海洋とは、塩水でみたされた広大な凹地であり、地球の表面の約4分の3を占めている。
太陽系の惑星で海が存在するのは地球だけである。
海洋についての研究は、海洋学とよばれ、現在の海の物理的、化学的、生物的な性質について考究する。
海洋や海盆が地球の歴史の中で、地質学的にどのように変化してきたのかを理解することも、海洋学の主要な課題である。
さらに、そのような研究を通じて、気候変動にかかわる大気と海洋との間の相互作用を評価したり、海洋生物の生産性を
左右する要因についても考察がおこなわれる。

 

資源

海洋は、将来の食物の供給源として、有望視されている。生産性は海域によってことなり、高いところも低いところもある。
光合成生物は、無機的な炭素や栄養塩と太陽光をもとに、有機物をつくりだすが、海に生息する光合成生物によりつくられる
単位時間当たりの有機物の量を、その海域の生物生産という。
海洋ではこのような生産は、植物プランクトンがになっている。
植物プランクトンは動物プランクトンや魚類により捕食され、動物プランクトンや魚類のうちのあるものは別の捕食者により
たべられてしまう(→ 食物連鎖)。
こういった生物たちの体をつくっている有機物は分解されて炭素や栄養塩になり、はじめの光合成の材料へともどっていく。
海からえられる食物は、とくにタンパク質の供給源として重要で、藻類をふくめた1989年の世界の漁獲量は、約1億tであった。
海洋における鉱物資源が注目されはじめたのは、つい最近になってからである。
海水中にはさまざまの有用金属が多量にふくまれているが、海水の量は膨大であり、その中から金属を抽出することは容易では
ない。たとえば、海水中には全部で100億tもの金がふくまれていると推定されているが、濃度が低すぎて回収は無理である。
今日海水から採取されている鉱物の代表は、マグネシウム、臭素、塩(塩化ナトリウム)である。
海底の砂利や貝殻は建設材としてもちいられることがあり、海底の砂利には少量ではあるがダイヤモンドがみつかることがある。
リン灰石も海底でみつかり、リンをふくんだ鉱物であることから農業用の肥料として利用できる可能性がある。
最近注目をあつめている海底鉱物資源にマンガン団塊がある。
これは球形のかたまりであって、その中にマンガンを約20%、鉄を10%、銅、ニッケル、コバルトをそれぞれ約0.3%ずつ
ふくんでいる。これらはすべて有用鉱物であるが、商業的になりたつほどの採掘はまだおこなわれていない。
海底下にある油田やガス田は世界の産油量の約27%を産出している。
そのほとんどは浅い大陸棚にあるが、深海掘削技術をもちいて、もっと沖合いの油田を開発することも期待されている。
海底下の石油の貯留層は、商業的に利用できるほどの硫黄をふくむこともある。
硫黄は、深海の熱水噴出孔からでる熱水中にも豊富にふくまれている。
海洋は、重要な代替エネルギー源のひとつであり、海水が太陽光を吸収してえた熱エネルギーや、海流からえた熱エネルギーを
電気に変換する方法がある。この方法は海洋熱エネルギー変換法(OTEC)として知られている。

 

海洋汚染

海は将来的にもさまざまの資源の供給源として期待され、また海水そのものを淡水化して利用することもあるため
海洋の保全に対する関心も大きくなってきている。
工業や産業が発展するにつれて、産業廃棄物などが海洋へ投棄されることもふえ、沿岸の生態系が破壊されるほどになった。
原油や化学物質の漏出による海洋汚染や下水処理への関心も高まり、資源の有効利用や廃棄物の計画的な処分の必要性に
注意がむけられるようになってきている。殺虫剤の流入や発電所からの温排水による、海洋生物への悪影響も心配されている。

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