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水と環境ホルモンについて   

 

私たちは水を飲みます。当然ですが人間はもちろんすべての生物は生命を維持するために水を欠かす事はできません。しかし、私たちが毎日飲んでいる水は果たして完全に安全だと言えるのでしょうか。このレポートでは水と環境ホルモンについて取り上げ、普段口にする水の安全性について考えてみたいと思います。

 近頃テレビや新聞などで「環境ホルモン」という言葉を耳にするようになりました。しかし、実際にこれがどういうものなのかはあまりよく知られていません。むしろ、よく知っている人の方が少ないのでしょうか。そこでまず、環境ホルモンが生物におよぼす影響について触れたいと思います。

 環境ホルモンと呼ばれているものは正確には「外因性内分泌撹乱物質」といいます。これが体内に入るとどうなるか簡単に説明します。正常な場合、ホルモンは脳からの刺激により分泌され、子供の時の成長や生殖に関する器官に大きな影響を与えます。体内に入った環境ホルモンは脳からの刺激と同じような働きをし、ホルモンを過剰に分泌させ、その生体の成長や生殖に異常を生じさせます。

 では具体的に環境ホルモンが引き起こしたとされる害をとりあげてみましょう。ここではその一つであるノニフェノールについて述べる事にします。

 1985年、イギリスの河川で奇妙な魚が見つかりました。一見普通の魚なのですが、それは驚くべき事に両性具有の魚だったのです。調査の結果その近辺には生殖障害を持つ魚が多く、また、成熟するまでの時間が長い、生殖腺が小さい、精子や卵が少ないなどの異常も見られました。

 さらなる調査の結果、それら異常を持つ魚は川沿いにある汚水処理施設の周辺とその下流に集中している事がわかりました。そして実験を重ねた結果、洗剤の成分であり、処理施設の廃水に多量に含まれるノニフェノールを摂取することによりそれらの障害が引き起こされるということもわかりました。

 そしてこのノニフェノールが96年に名古屋の河川で大量に検出されました。西欧では1ppm以下に抑えるように指導されているこの化学物質が、その川辺の下水処場から出る放流水を調べたところ、最大で7.7ppm、平均で3.26ppmも含まれていると報告されました。さらにその河川の底泥からはなんと21000ppmものノニフェノールが検出されたのです。 

 確かに環境ホルモンは、有機水銀などによるかつての公害のように、人間に対し目に見える被害はまだありません。しかし、果たして完全に無害であると言い切れるでしょうか。私たちが今できることはもっと環境ホルモンに対する知識を得て、政府や行政、企業に対しそれらの化学物質の規制を厳しく要求することです。そして人類としてすべきことは次の世代、その次の子孫達に安全な地球をプレゼントすることです。

 

参考文献

http://ha2.seikyou.ne.jp/home/ikasas

http://members.aol.com/Eco88

http://www.mmjp.or.jp/musashi/97/food/kurita.html

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