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水と人間 9つの記事から

 

資料@ 素早い避難 鍵は情報

人間は自分たちが水を支配したと思い、水の威力を忘れがちな傾向にあるということをよくあらわしている記事だといえる。神奈川県玄倉川でのキャンプの事故でも表れていたように、大洪水などの際の軽微な経験はあの時は大丈夫だったから、といった気持ちを生まれさせ、かえって非難を阻害していることがわかった。

   自然の威力を知る教育を

治水が進むと人間は「絶対大丈夫」という安心感を持ち、治水整備に限界があることを忘れてしまう。人間は本当の自然(水、濁流の威力など)を理解することを忘れてしまっている。

資料A し尿海洋投棄続く

厚生省によると日本では総人口の77.2%が水洗化したが、何も処理されずに海洋投棄されているし尿が212万リットルののぼるという。(1996年)国際的にも廃棄物の海洋投棄処理物を規制するべきだ、という流れの中で、早く解決するべき事態である。

資料B 土中の水量で災害予知

気象庁は「土壌中に蓄積されている水分量」によって土砂災害を予測する「土壌雨量指数」を災害防止に役立てたいとしている。6月29,30日の大雨の際は指数の利用は初めてで、情報を出すのが遅れ、被害のもっとも大きかった広島には間に合わなかった。

資料C 湖の浄化へ新手法

湖の浄化の新しい方法が開発された。水質汚濁の主な原因はリンや窒素である。それらを超伝導磁石を使った磁気フィルターとアシなどの植栽を組み合わせて取り除く。植生の浄化作用を加えることで水中のリンは80%以上、窒素は70%程度取り除ける。

資料D コンクリ落下。漏水で劣化進む

山陽新幹線北九州トンネル内で、約220kのコンクリート塊が落下した。現場付近では、トンネル上部から地下水が漏れていることが確認され、ひび割れが漏水の集まってくる通り道となり、コンクリートの劣化が進んだといえる。

資料E (写真)

台湾の地震被災地では水道施設も打撃をうけ、水は非常に貴重だ。普段は気にもとめないテントにたまった水も大切に集められる。

資料F 木とふれあう場を広げよう

日本には、恵まれた森林資源がある。水を蓄えて浄化し、巨大なエネルギーの貯蔵庫になっている。森林とうまく付き合うことは水とうまく付き合うこと、といえるのではないだろうか。

資料G 早朝水くみのススメ

早起きをしてきれいな水を汲みに行く習慣を一年続けてアレルギーを直した人の投書。

水辺には体によいマイナスイオンも多く、東京都内にも、探せば涌き水はあるという。水の不思議な力を表している。

資料H 堰を開けて真の清流に

四万十川の上流に高さ8メートルの発電用の家地川堰があり、川の全体の水量の3割を奪っている。これによって最近水質の悪化や漁獲高の減少が目立ってきた。ここでの発電量は四国電力の送発電量の0.5%にも満たない。これにたいして、高知県内水面漁業協同組合連合会が中心となり、「21世紀四万十川を考える会」が設立され、土佐の清流をどう守り、どう復活させるかについて、専門家とともに考える。

 

<b、c、d> 今世界に何が起こっているか、また、人間はなにをするべきか。私たちは今いるところで、なにができるか。

人間と水との関係で言えることは、第一に、人間が水を支配してきた、そして同時に汚してきたということ。そしていまだにそれは続いているということである。人間は氾濫する川には堤防を作り、水をコントロールするためにダムや堰をつくった。廃棄物や汚染物質は海や川に投棄し、大切な飲み水さえも汚してきた。それは今でも続いていることをAの資料は示している。第二に、人間は水を支配したと思いこみ、水の脅威を忘れがちであり、その大切さをしばしば忘れている、ということ。玄倉川でのキャンプ中に大勢が濁流に飲み込まれた事件はその典型的な例だろう。コンクリートの落下の事件もあらためて水の力を示している。水道をひねれば水がでてくるのが当たり前な現代、テントにたまった水など普段は目にもとめない。しかし、それが当たり前でなくなって、ようやく水の貴重さに気づくのである。第三に、人間は、水との関係をもう一度見直す時期にきている、ということ。海や川の水が飲めなくなり、今までの水支配が自分たちに害をもたらし始めてようやく、人間は水の重要性や脅威に気づき始めている。高知県内水面漁業組合連合会による「21世紀の四万十川を考える会」はそれをよく表している。

 湖の浄化の新手法や土壌雨量指数など、水による被害を人間の技術によってカバーしようという動きがある。これも確かに人間のするべきことであるといえるだろう。しかし、もっとも現代の人間のするべきことは、自然を理解することであると思う。新手法を作らなくてすむように普段から川や海を大切にすること、また、自然の脅威を忘れないこと。

これらのことは、私たちが、どこにいてもできることである。 

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