§3 錬金術時代から純粋化学時代
(自然科学としての化学)の確立期まで
錬金術時代 (BC 100 - AD1650)
ref. The Alchemy Web-site: http://www.levity.com/alchemy/islam03.html
第I期:アレクサンドリア(エジプト)の錬金術
古代エジプトの優れた伝統的技術 と
古代ギリシャの物質哲学(アリストテレスの四元素仮説)が合体
《象徴的例》:ライデン/ストックホルム・パピルス
(世界最古の手跡文書)
内容:化学技術の写本 著者:僧侶
アレクサンドリアの衰退期(6世紀)に神秘思想、占星術がはびこり、錬金の技術が
秘技として存在すると信じられるようになっていった。
第II期:アラビア(サラセン帝国)の錬金術 - イスラム文化
ヘレニズムの化学技術・錬金術を吸収→記録 → 征服地に伝え広めた。
《象徴的例》:シャビールの「天秤の書」(実用的な化学知識の本)
Al chemy = アラビアの錬金術 (ヨーロッパ人の命名)
第III期:中世ヨーロッパのスコラ的の錬金術(1200 -1400)
12世紀:スペインの大図書館を通じてアラビアの錬金術が伝わった。
13世紀:商業の発達により貨幣(金、銀)の必要が大きくなった。
《象徴的例》:賢者の石(Philospherユs stone)を求めて人々が奔走
卑金属(水銀, 鉛, 鉄)を貴金属(金, 銀)に変える力をもつ石探しが盛んになされた。
ありとあらゆる所が探されあらゆる物が試みられた。
しかし、錬金の試みは全て失敗におわった。
all in vain! ?
*F. Bacon(1620)イギリスの経験哲学者の評価
ref. Model of an alchemical laboratory: http://www.levity.com/alchemy/alchlab.html
第IV期:イアトロ(medical)化学時代、鉱山時代 (1500 - 1600)
・ルネッサンス以後、観念的錬金術の全盛期に職人的(実用的)化学技術は軽視され、仕事場(修道院)を追われた。
・追われた人の流れた先 → 医薬品製造 例・パラケルスス(1530)
(post 錬金術) 鉱山業 例・グラウベル(1630)
・新しい物質観(四元素仮説がぐらつく)が出現→ ヘルモント(1600)
●パラケルスス Paracelsus(1530) スイス人
Philippus Aureolus Paracelsus
(1493-1541)
Die SCHWEIZERISCHE
PARACELSUS-GESELLSCHAFT
「Alchemyの目的は、金、銀をつくることではなく、効き目のある医薬品をつくることにある。」
三元素仮説を提唱:
全ての物質を構成する要素= 水銀 + 硫黄 + 塩
(植物も人間も)
病気は、三要素の混合の割合が乱れたことが原因している、と考え、様々な医薬品(水銀塩など)を試用した。
●グラウベルGrauber(1630)
ドイツ人 ドイツ化学工業の元祖 from
Encyclopセdia Britannica
Johann Rudol Glauber(1604-1668)
・鉱石(緑磐)から硫酸(Vitriol)を製造。
(FeSO4 → SO3 → H2SO4 )
・硫酸 + 食塩 -----> 塩酸 + グラウベル塩
( H2SO4 + NaCl → HCl + Na2SO4)
・硫酸 + 硝石 --------> 硝酸 + 硫酸カリ)
( H2SO4 + KNO3 → HNO3 + K2SO4)
●ヘルモント van Helmont(1579 - 1644)
http://mattson.creighton.edu/History_Gas_Chemistry/vanHelmont.html
新しい物質観:
・物質は化学的変化において、他の物質に変化することはない。
(元素の転換に疑問をなげかける)
・「万物の根源は水である」ターレスの説を支持
実験的裏付け:柳の木の実験(プリント参照)
水 → 木 → 土 を重量変化を根拠に証明?
・Geist(Gas)の存在を証明
木炭 62ポンド → 灰1ポンド + 61ポンドのGeist