自然:
1)人の手を加えない、物のありのままの状態。 2)この世のあらゆるものの総称。 イ)人間の社会から離れた立場で考えた(ありのままの)天地万物。 ロ)人間を含めて因果的必然の世界。物体界。
自然界: 自然の世界
イ)天地万物が存在する範囲。 ロ)人間以外の、人間を取り巻く世界。 ハ)人間界・生物界以外の世界。 岩波 国語辞典より
私の「自然」観
- 人間は自然界の中に置かれている存在の一つである。
- まず、この厳粛な事実の前に謙虚であるべきではないか?
「主(神)を恐れることは知識のはじめである。」 旧約聖書・箴言 1:7
=> 科学する者の原点
自然界の中に置かれた人間の特徴:
- 人間は考える“葦”である(パスカル)
- 1)自分は何者か?
- 2)相手(自分以外)=自然界は何者か?
私の“自然科学”の定義
「自然の中に現存する人間が、自然界という相手を認識する営みである」
それは人間の本来的欲求に基ずく行為だ。
自然科学という学問は、狭義には人間が自然界における未知の現象を解き明かし、既知の自然像をより鮮明に、より精密に、より広くする人間の営み。
本来は全ての人間の業だ。
* 科学技術とは、自然のしくみを利用して人間の生活に役立てる方法。
元はSurvial → Necessity → Better life → ?
自然科学の方法=相手(自然界)を正しく認識する方法
17世紀頃その基礎が確立された(化学の世界ではBoyleが)
- 観察:あるがままの自然現象(事実)を正確に見る。
- 実験:人の手で自然現象を一定条件下で再現させ事実をより正確に観察する。
- 仮説:共通要素を整理し(規則性などに着目して)仮の説明を付けてみる。
- 仮説に基づいて思考実験を組み立て結果を予想し、
- 実験を行って仮説の正しさを証明する。
- これを繰り返し、より一般性のある仮説に仕上げる。
- 新しい事実の発見に有効な仮説をアイデアという。
- 法則:仮説が発展したもの=近似的(相対的)真理
- 特徴:再現性、客観性
- 理論:仮説、法則を体系化したもの
§2. 化学とは何か?
化学:物質の性質、および変化を探求する自然科学の一分野。
物質科学、物質の変化学。
化学の命題:物質とは何か?
物質とは何か?
具体的には、物質の構造、性質、物質変化、エネルギー変化等を研究する。
物質変化とは何か?
5W1H法を当てはめると、
何を探求するのか? 化学の中の研究分野
- Who(→Whom) 何が何に物質変化するのか? ---------------物質の同定、構造論
- What どんな型の物質変化か? --------------------------反応論、化学合成
- Where どのような条件で起こる物質変化か? ---------------エネルギー論(化学熱力学)
- When どのような速さで起こる物質変化か? ----------------反応速度論
- How どのような経路で起こる物質変化か? -----------------反応機構論
- Why なぜそのような物質変化が起こるのか?----------------反応の理論(量子化学)
- How muchどれだけの量変化を伴う物質変化か? ------------化学量論
水(H2O)の生成反応に当てはめると、
H2 + 1/2 O2 -----> H2O + 58 kcal/mol(発熱量)
(29 kcal/g of hydrogen)
- Who(→Whom) 水素(H2) が 酸素(O2) と反応し新たに水(H2O)を生成
- 生成物の組成は、H2O
- 構造は H-O-H
- What 燃焼(slow change) 爆発(rapid change)
- Where 発熱量 Q=29 kcal/g (11リットルの水素ガス) 反応によって29 kcal だけ安定化する。
- When この化学変化の速度 V=物質量変化/時間
- V 大ならば:爆発
- V 小ならば:燃焼 Qの大きさは同じ
- How 反応経路
- 可能な経路2つ
- 1) H2 -------> H + H
- O2 -------> O + O
- H + O + H -------> H2O
- 2) H2 -------> H + H
- H + O2-------> H O2
- H O2 + H2 -------> H 2 O2 + H
- H 2 O2-------> H2O + 1/2 O2
- Why 電子の運動方程式(量子力学)によってこの化学変化の必然性(エネルギーの安定化など)を説明する。
- How much (体積変化)2リットルの水素ガスと1リットルの酸素ガスが反応(消失)すると、2リットルの水蒸気を生じる。
- (重量変化)2gの水素と16gの酸素が反応(消失))すると、18gの水を生じる。
- まとめて、エネルギー図で示すと