課題「メディアから水情報を収集する」

水と環境問題

 

今、地球上に何が起こっているか(fact & problem

 

ここ数年、地球は甚大な自然災害に見舞われている。パキスタンやスマトラ島沖の大地震と津波、アメリカでのハリケーン、日本でも新潟や東北の記録的な大雪などは記憶に新しい。そのほかにも地球上では様々な環境問題が深刻化している。温暖化による北極の氷が解け、海面上昇で水没する危機にさらされているスバル諸島などはまさに事態を象徴している。

地球温暖化は人間が出す過剰なCO2排出量が原因であると言われているが、このCO2が地球環境を生物の住み良いように整えている様々な自然の仕組みに悪影響を与えている。その中でも気象は、温暖化による異常気象と叫ばれるほど環境破壊との関係性は深い。

気象とは、気温・気圧の変化などの大気の状態のことである。気象の具体的な現象として最も分かりやすいのが降水、つまり雨である。海から水蒸気が昇り雲を形成し、雨となって地上に降り海へと流れる。この水の循環は地球が誕生した50億年前からずっと繰り返されてきたものである。水の惑星とも呼ばれる地球は、まさに水が生命を育んでいるのである。

しかしこの自然のシステムがいま正常に機能しなくなってきている。気候が変わると、その場所の自然はすべて影響を受けることになる。北極の氷が解けて自然環境が変化し、そこに生息する動物や住民に影響している。遠く離れたベネチアやスバルにまで深刻な影響を受ける。日本近海でも海水の温度が上昇し赤潮などの被害が出ている。ヒマラヤなどでも気温の上昇で雪が解け、洪水となってふもとに流れる。気象が変化すると、あるところでは雨が全く降らなくなり砂漠化が進む一方、別のところでは大雨や大雪で多大な被害を及ぼす。

このように人間はもちろんのこと地球上の全ての生物にとって生きていく上でなくてはならない水が、人間の科学技術の発展と相反する形で牙を向き始めている。人間は科学技術で快適な生活を手に入れたが、自然を無視してきたその代償はとてつもなく大きなものになっている。

 

人間は/人類は何をすべきか?(Think globally

 

気象現象の変化は人間の生活環境を大きく左右する。降水量が足りなければ水不足になり、また多すぎれば洪水や大雨で農地や家を流してしまう。大雨や大雪、台風などで作物が育たないことが年々増えている。世界でも砂漠化で農地が減り、洪水で作物が流され、様々な気象の変化による影響を受けている。

CO2などの温室効果ガスが、地球温暖化を招いて気象の変化につながっているひとつの大きな要因であることは明らかである。本来地球はCO2によって適度な温室効果を得て、生物が住める環境に適した分だけの太陽熱を確保してきた。しかし人間が科学技術の発達とともに大量のCO2を排出し始めたことで、必要以上の温室効果を生み出すことになった。その結果地球上の温度が上昇し、それに最も影響されたのが水の循環によってなる気象現象であった。

地球上の温度の範囲内で状態を変化しながら循環する水は、わずかな温度変化でも大きな影響を受ける。温度の差で出来る気圧の等圧線はその違いが大きいほど天気は乱れ、降水となって現れる。台風やハリケーンは海水温度が極端に高いため大量の水蒸気が雲となり、それが雨となって地上に落ちてくることである。

30年以上も前から、地球環境問題は大きな関心をもって議論されてきた。それは人間が生活の便利さを追求するあまり自然を無視した行動をとってきたことに気付き、過失を取り戻そうとする現われである。しかし議論されているわりには具体的な解決策が講じられないまま月日だけが過ぎている。京都議定書に定められたCO2削減の目標に向けて努力がなされるどころか、その目標数値をますます達成不可能なものにとしている。

人間は自然災害による被害を克服することよりも、自然災害の要因となっている温室効果ガスの削減に努力しなければ、根本的な問題解決には至らない。そのためには世界の国家が足並みを揃え、一致団結してこの問題に取り組まなければならない。しかし現状では先進国と発展途上国で意見の隔たりが大きい。また先進国の間でも、考え方の違いから足並みが揃わず、京都議定書から脱退する国家が現れるほどである。

人間は結局のところ、今の生活の快適さだけを追い求め、地球環境問題は解決しきれずに終わるのだろうかと、そんな疑問が浮かんでくる。しかし、人間は水の惑星「地球」のおかげで生かされているということをもっと知るべきである。地球はまさに Mother Earth であるということを人間が理解すれば、現状を変えることは出来る。そおためには、水の循環や気象の仕組みを分かりやすく説明できることが必要である。環境問題とはあまりにも複雑で大きな問題であるため、一般の人々は国際会議で解決されるものだと思い、またその国際会議に参加する人々も、自分たちが不利益を被らないようにと逃げ道を探すだけになっている。

まずは世界の国々が環境問題に対して共通の知識・理解をもち、どうすれば人間生活と自然環境を両立させることができるかを考えなければならない。当然それは国や地域によって状況は変わるし、また新しい技術開発が必要になるかもしれない。しかしCO2削減というマイナスのことばかり考えるより、プラス思考で考えなければこの問題は解決できない。

 

私たちは、今いるところで何ができるか?(Act Locally

 

水を大切に使いましょう、電気をこまめに消しましょう、冷暖房の温度を高めに設定しましょう、といったことは普段の生活の中でも最近は特に言われるようになった。しかしそのような取り組みはどうしても怠けてしまいがちである。また一人当たりの環境問題解決に対する貢献度というものが低く、なかなか達成感のないものである。

先日テレビで紹介されていた解決策が、連帯責任という方法である。町内会や企業内でチームを組み、全員で節電に取り組んで競う仕組みだ。チームであれば他のメンバーの足を引っ張らないようにと努めるし、また競って報酬がもらえればやる気も出るという、人間の本性を突く実に素晴らしいアイディアだ。

このようにエサを与えて環境問題の解決を図るという方法も効果的であるが、やはり最も大切なことは環境教育であると私は考える。環境教育も立派な環境問題への取り組みであるといわれるほど、人の意識改革は今後の課題である。人が環境のことをもっとよく知れば、必然と環境対策は進む。環境問題の原因と気象への影響、地球の自然の仕組みを分かりやすく教える、とくにこれからの世界を担う子供や若い人たちへの教育が重要である。また高校生や大学生レベルであれば、討論会などを開催して環境問題について話し合い、解決策を考える機会の提供も大きな方法である。自分たちで解決策を見つけて実行するほうが、行政や他人から押し付けられるよりも効果があると思う。

国際会議で話し合われる環境問題を、もっと身近な問題として取り上げることで、人々の意識は変わる。私たちは、もっと地球のことを知ることから、環境問題を考えたい。

 

 

参考資料

 

週間アエラ 2005年10月10日 77頁

地球温暖化の娘なのか 米国襲ったハリケーン「カトリーナ」と「リタ」

 

朝日新聞 2005年5月13日 1面総合

干ばつ・洪水、水の世紀末 温暖化2.7度、大河流量激変の予測

 

朝日新聞

アラスカ温暖化 先住民の暮らし深刻(世界発2005)

 

朝日新聞 2005年2月16日 32面

カギ握る森、海、雲 予測精度、向上へ 京都議定書、きょう発効

 

朝日新聞 2005年12月17日 1

ヒマラヤ氷河湖、温暖化で決壊危機 24カ所、対策遅れ ブータン 【名古屋】

 

読売新聞 2005年9月15日 23面

「UNDESD」環境教育プロジェクト第2弾 「命の水」考えよう=特集