温暖化により水に何が起こっているか
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参考資料
1.独立行政法人 環境再生保全機構HP
2006年2月1日<http://www.erca.go.jp/ondanka/>
2.環境省 HP
2006年2月1日<http://www.env.go.jp/index.html>
3.地球温暖化解説 6.地球温暖化による生態系への影響
2006年2月1日
<http://www.env.go.jp/earth/cop3/kanren/kaisetu/6.html>
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今、地球上に何が起こっているのか
現在地球規模で、温暖化が進んでいる。その主な原因は、二酸化炭素(CO2)
などの温室効果ガスである。温室効果ガスの濃度が上昇すると、温められた熱を宇宙空間に放出する運動が妨げられ、地球が温室バリアーで包まれた状態になり、地表の温度が必要以上に上昇してしまう。これが温暖化のメカニズムである。
この温暖化が原因として水と関係する以下のようなことが起こっている。
まずあげられるのは、氷河の後退や永久凍土の融解である。特に、アラスカやカナダ西部では、この50年で気温が3〜4℃も上昇し、積雪期間の短縮、氷河の後退、永久凍土の融解などが生じている。また、これに加えて、海水の膨張もあり、海面が上昇し、海抜の低い地域では浸水などによる大きな被害が出るものと予想されている。実際に、1970〜2003年において、日本沿岸でも年間2 mm程度海面水位が上昇している上に。
他に、異常気象が発生しており。アメリカでのハリケーン被害や2004年に中南米やブラジル、インドなどで起きた大雨・洪水被害が実際に起きている。日本でも、20世紀の100年間(1901〜2000年)で、平均気温は約1 ℃上昇しているし、特に都市部ではヒートアイランドの影響も追加され、東京では約2.9 ℃上昇したらしい。また、真夏日、熱帯夜の日数も都市部を中心に増加しており、真冬日の日数は減少した。
さらに、海温上昇による水域生態系へ影響が出ている。世界最大のサンゴ礁であるオーストラリアのグレート・バリア・リーフの一部で、高水温によりサンゴの白化現象が発生し、同リーフ全体に広がる恐れがあると専門家が警告している。2001〜02年の水温変化の際にはサンゴ礁の6割以上が白化し、最大5%が深刻なダメージを受けており、今回どこまで白化が広がるか懸念されているという。ちなみに、サンゴは水温が1℃でも上昇すると影響を受けてしまう。クインズランド大の研究者らによると、同リーフのケッペル諸島付近でサンゴの白化が見つかった。白化とは、サンゴを構成する植物有機体が失われ、白い石灰の骨格が残るもので、研究者らは今回の白化は南半球における夏季の海水温が通常より高くなっているのが原因とみている。米国の海洋学者は衛星画像の分析から、同リーフの南端でも近く白化が発生する恐れがあると指摘している。クインズランド大によれば、昨年10月にはカリブ海で過去最悪のサンゴの白化が起きている。日本でも沖縄県本部町の近海などでサンゴの白化現象が発生した。さらに、水辺の生態系にも影響が出ている。ウミガメの産卵・ふ化場が北上し、屋久島が北限の種であるアオウミガメは、宮崎県、鹿児島県で産卵・ふ化が確認された。南方系のタコ、カニ、魚類なども北上した。また、エンタクミドリイシは生息域を北方へ拡大し、天草で確認された。
最後に温暖化による水温の上昇に伴って、湖沼などの富栄養化が進行している。温暖化によって湖沼などの平均水温が上昇し、湖沼中の生態系のバランスに変化が起き、湖沼などの富栄養化が進行するのである。その影響は、生物多様性が減少するなど、生態系への影響が大きくなるとともに、水産業、水利用など人間活動に影響を与えると考えられる。日本では実際に琵琶湖の湖底水温の上昇し、溶存酸素濃度が低下傾向にある。
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人類は何をすべきか(Think globally)
次に、全世界規模で何ができるか考えてみたい。
人類の経済活動が生み出してきた温室効果ガスが主たる原因として起こっているのが、この温暖化である。この環境問題に関して人類は、ここで再び森林の機能について考え直すべきではなかろうか。
森林は、周知の通り光合成により二酸化炭素を吸収してくれる。これは、起業が環境活動として植林をする理由の一つでもある。この森林の能力は、温室効果ガスを削減することに直結している。また、若い木の方が炭素の固定率がよい(多くの二酸化炭素をすうということ)ので、多くの植林を行っていくべきである。
また、二酸化炭素を排出するといったことを考えた場合、エネルギーとして森林を再考することも必要だと思われる。なぜかというと、もし化石燃料を燃焼してエネルギーを得ようとした場合、地下から現在の空気中に存在しない炭素を掘り起こし、燃焼させ、余分な二酸化炭素を生み出していることになるのである。しかしながら、森林つまり木を燃焼させた場合はこれとは違う。先にも述べたことであるが、森林は二酸化炭素を吸収して、空気中の炭素を固定している。したがって、森林を燃焼させたとしても今ある二酸化炭素の量を増加させるといったことはないのである。実際に、スウェーデンやドイツでは森林のバイオマスエネルギーの利用が進んでいる。現実問題として、燃焼させたときのエネルギーの大きさなどで及ばない部分はあるかもしれないが、持続可能な社会を作っていくうえでも、森林のエネルギー源としての利用は考えられていくべきだと思われる。
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我々は、今いる場所で何ができるか(Act locally)
更にここで、我々が今住んでいるこの場から何ができるか考えてみたい。
私が考えるその解決策というのが、『打ち水』である。現代においては消えかかっている日本の伝統的習慣である『打ち水』が、地球規模の温暖化に何ができるかここで検証してみたい。
そもそも『打ち水』は、江戸の庶民が炊事などに使った水を、朝夕に家や店の前でまいて、空気を涼しくさせていた生活の智恵なのである。なぜ水を撒いただけで、空気が涼しくなったように感じられるのかというと、気化熱を利用しているからである。気化熱とは、水が蒸発する度に周りから奪う熱量のことである。水の場合100℃の水が1g蒸発するのに539calの熱量を必要とする。打ち水の場合、水の温度は30度ぐらいだと考えられる。したがって、さらに多くの熱を周りから奪うことになるであろう。
生活で使った水を、再利用して撒くだけ、たったそれだけのことで、真夏の気温を下げられる。たったそれだけのことで、ヒートアイランド対策に効果がある。たったそれだけのことで、真夏の電力エネルギーの節約になる。電力不足の心配と深刻化するヒートアイランド現象に対抗するため、我々自らの手で都会の気温を2℃下げられるのである。郊外に比べると港区などの都会は、暑い。それは、単純に都会は緑や水辺が少ないからなのである。さらに、地表面はアスファルトやコンクリートでおおわれてしまっている。アスファルトの道路は土の公園よりずっと熱くなるし、重ねて、家庭、ビル、工場、クルマなどのエアコンから出てくる人工排熱が増えたことで、その地表面がさらに熱くなる。それならば、水を撒けばよいではないか。日本の伝統文化を再考する契機にもなるであろうし、環境問題に対する意識の向上(環境意識の啓発)にも寄与することが考えられる。以上の点から『打ち水』の推進を提唱したいと考える。