ケンブリッジ大学受験生のためのHow to Choose Your College
 

稲葉祐之
 



 
 

このカレッジガイドを読んで是非ケンブリッジ大学を受験したくなった、という人はそんなにいないだろうけど、とりあえずケンブリッジ大学を受けることになった人にささげる、カレッジの選び方tips集。

対象となるのは、カレッジに所属することになる学部学生、大学院生、カレッジ所属のリサーチ・フェロー、ヴィジティング・フェロー出願者すべて。ただし、リサーチ・フェローとヴィジティング・フェローにはあまり選択の幅はないと思う。ケンブリッジ大学、学部、各種研究所のみに所属するポスト・ドック、ヴィジティング・スカラーなどは、カレッジには所属しないからカレッジ選びは不要。

オクスブリッジに出願する際には、所属学部を選択すると同時に所属カレッジを選ぶ必要がある。カレッジは学生生活の基盤であり、とても重要。そして一旦所属カレッジが決まると、基本的には学生の間はケンブリッジ大学内のほかのカレッジに移動できない。学部を卒業して大学院に進学するとき、あるいは修士課程を終えて博士過程に進学するときでも基本的には同じカレッジにとどまるよう圧力がはたらく。例外は、ほかのカレッジのフル・スカラーシップを得たときと、別のカレッジのリサーチ・フェローになったときくらい。だから後で「よく考えずにカレッジを選んでしまった云々」と後悔しないよう、カレッジ選びは慎重に考えて行うべし。

カレッジガイドからもわかる通り、カレッジは、その成り立ち・歴史・コミュニティとしての文化・得意な学問分野・構成メンバー(大学院生のみとか女子だけとか)にいたるまで、非常にバラエティに富んでいる。基本的には募集要項などの情報から判断して、自分の好みのカレッジを選ぶのが一番。各カレッジのウェブサイトでは、大抵そのカレッジのカレッジのヴァーチャル・ツアーのページがあるから、参照してみるといい。しかし、とくにそのようなこだわりがない場合は、以下のような選び方がおすすめ(国費や社費丸抱えで留学するのでない場合はとくに)。

まず注意を一つ。カレッジにも人気・不人気があって、人気のあるカレッジは5倍から10倍くらいの応募倍率になる。そこで当然のことながら、人気のあるカレッジは第1希望で出願してきた学生の中からしかメンバーを選抜しない(というか出来ない。時間的・労力的負担がすごいから)。カレッジに出願する際は第2希望まで選択できるけど、知らずに人気のあるカレッジを第2希望に書いたりすると、そこは間違いなく落とされる。人気のあるカレッジに出願する場合にはくれぐれも第1希望に入れること。応募倍率は、募集要項に資料として記載されているカレッジ出願者数と受入者数から割り出すことが出来る。

さて、オフィシャルな募集要項があまり触れないのは、各カレッジの財政的豊かさ。実はこれは非常に重要で、学生生活のありとあらゆる面に関わってくる。とくに自費または奨学金に頼って留学する学生の場合、財政的に豊かなカレッジに所属できるか否かで、留学にかかる費用がかなり変わる。これは各カレッジがそれぞれ独自の財源(不動産、有価証券、寄付金、営利事業体その他)を持っていて、その運用益をカレッジの運営費に当てているからだ。豊かな財源を持つカレッジは、その分学生から徴集する食費や住居費などを少なく抑えることが出来るし、メンバーのための奨学金やグラントを数多く用意している。それに図書館や、スポーツ施設等のファシリティから出される食事の内容にいたるまで相対的に充実している。ついでにそのような豊かなカレッジは優秀な学生や研究者を集めることが出来るから業績も立派で、たいてい名門としての評判までも確立している。カレッジの人気には、この豊かさの差が反映されているのだ。

そこで第1希望は、このような豊かなカレッジの中から一つ選ぶことをお奨めする。財政的に豊かなカレッジとは、ケンブリッジの場合、1.トリニティ、2.セント・ジョンズ、3.ゴンヴィル・アンド・キーズの順。これらのカレッジは、第1希望として出願しないとおそらく絶対に受からない。クライスト、エマニュエル、キングズあたりもこれに準ずるようだ。これらのカレッジの中から第1希望を選択したあとは、お好みで第2希望を選べば良い。

たとえば・・・
・歴史的な雰囲気でいかにもオクスブリッジなカレッジが良ければ17世紀までに設立されたカレッジを選ぶ。

・古い伝統・格式は大嫌いで、食事の時などにもフェローとも距離感なく話せるような環境がよければ、新しいカレッジを選ぶ。

・リスクを避けたければ第一・第二希望ともに新しい(=19世紀以降に設立された)カレッジを選ぶ(新しいカレッジはやはり人気的にはいま一つ。財政的にもあまり豊かではない。)。

・学部や大学図書館からの近さとか、シティ・センターへの距離とか、ケム川沿いの景色の良さそうなところ(モードリンからクイーンズにかけての部分)とかを募集要項についている地図を見ながら決めてみる。

・国際的な雰囲気が好きなら、大学院生専用のカレッジを選ぶ(留学生の比率が高いから)。留学経験が浅い場合、留学生とくに英語を母語としない学生の方が話のペースを合わせやすく友達も作りやすい、ような気がする。

・日本人が多いカレッジを選びたいなら、クレア・ホール、ダーウィン、セント・エドモンズ、ウルフソンあたりかな(わがセント・ジョンズにも6人います)。

・勉強や研究だけでなく、(文化系・運動系問わず)クラブ活動も積極的にやってみたい向き、またイベント好き・お祭り好きなら、学生数が多くアンダーグラデュエイトのいるカレッジを選ぶ(各種クラブ・ソサエティ、充実してます)。

・博士課程の場合、指導教官の所属するカレッジを選ぶべきか? 基本的にはまったくその必要はない。ただし指導教官の所属するカレッジを選ぶと、多少は受かりやすくなる。しかし一方では万が一指導教官との仲が悪くなった場合のリスクを考えて、別のカレッジを選ぶよう薦める教官もいる。

・カレッジの成績ランキング? 非公開ながら、学部学生の成績をもとにしたカレッジ・ランキングがある(たとえばこちらを参照。ちなみにクレア・ホール、ダーウィン、ヒューズ・ホールは大学院生専用カレッジなのでランキングには含まれない)。1998年のトライポスの結果に基づくものだと、人文系ではコーパス・クリスティ、クレア、トリニティ・ホール、クライスト、エマニュエル、科学系ではトリニティ、クライスト、セント・ジョンズ、クイーンズ、エマニュエルがトップを形成している。総合トップはクライスト。逆に下位にランクされているのは、人文系ではニューナム、ニュー・ホール、チャーチル、モードリン、ガートン。科学系では、モードリン、トリニティ・ホール、フィッツウィリアム、ニューナム、ガートン。ま、カレッジ全体よりも本人の成績のほうが大切で、いい成績を取るには頑張って勉強するしかないことはたしか。

こんなところかな。それでは、Good Luck!


 




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