「
トランプ後の共生作法」という題がついています。紙面だけでなくウェブでも全文が読めますので、どうぞ覗いてみてください(
「著書」ページ)。新型コロナ禍で、日本の大学教員が政府の自粛要請にいとも従順に従っている、という足元の観察から始まり、単なる「信念の欠如」の寛容が容易に「非国民め」という不寛容な糾弾へと転化する可能性を示唆しています。ロジャー・ウィリアムズという偏屈なピューリタンが、みずからも悩み悩まされつつ寛容を実践したこと、リベラルの理想郷はあらかじめ選別済みの「好ましい他者」だけで出来上がっていることなど、実に与那覇潤さんらしい切り口でありがたい。最近出て小林秀雄賞を受賞した与那覇さんの対談集『
心を病んだらいけないの?』(実は同じ編集者)には、日本では対話というと「俺もお前も同じ人間。平場で語り合えばわかりあえるはず」という同調圧力がかかるけれど、同じであることを前提にするのではなく、むしろお互いが決定的に異なることを前提にするから対話する意味がある、とあります。これは、書かれるべくして書かれた書評です。