「"ウソっぽいネタ"の拡散が気持ちいい理由――『正しさ』よりも『納得感』が重要」という題になっています(「論文」ページ)。内容は政治的な陰謀論で、ひとは正義を愉しむ、という話。『異端の時代』の延長線上で、先日の松山大学でした講演の一部を一般向けに書き直したものです。この PRESIDENT Online という雑誌・ウェブ媒体は、一応ビジネス系なのだろうけれど、何だかジャンルがいろいろ広がりすぎていて、対象となる読者層がいまひとつよくわかりませんでした。
先週10月6日に本学で「松浦武四郎生誕200年記念イベント」が開かれました。数奇な運命を辿った末に、ICUキャンパスの一部となった泰山荘。その貴重な文化財を発見した Henry Smith 教授(コロンビア大学)、松坂市の松浦武四郎記念館主任学芸員、そして北海道博物館学芸主幹という方々をお迎えして、密度の濃いシンポジウムになりました。北海道の名付け親である松浦が、札幌バンドの宮部金吾と親交があったとは知りませんでした。中島知久平さんありがとう。
ただし、単なるニュースの後追い記事ではありません(「論文」ページ)。司祭たちの性的堕落を批判したり嘆いたりする記事は他にたくさんあるし、逆にカトリック教会を擁護したり弁明したりする義理もわたしにはありません。わたしがしたのは、「ジェイ報告」に基づいて実態の概要を把握することと、いくつかの通俗的な誤解を避けること、そしてなぜ教会は対応を誤ったのかを説明することです。その中に、近著『異端の時代』で使った "illicita sed valida" という不思議な論理が出てきます。
ビル・クリントン大統領が書いた小説 The President is Missing を読みました。共著なので、どこまで彼が書いたのかわかりませんが、面白くて2日で読んでしまった。スパイ小説系で、サイバーテロ系で、ホワイトハウス系の話が好きな人にはお奨めです。でも、最後は説明が多すぎてアンチクリマクス、それに人間関係としてはちょっと残念で哀しい。
United Board の理事会でスリランカに来ています。緑豊かな美しい国ですが、首都の主要部分はオランダ統治とイギリス統治の名残が濃厚。26年も続いた民族間の内戦で、国は深く分断されたまま、何とか平静を保っている感じ。インドからほんの18キロしか離れていないのに、今そこには船もはしけも一切交通がない、という不思議も、ようやく理由がわかってきました。
『ポピュリズム』(白水社)が出ました。Oxford UP の "A Very Short Introduction" シリーズの一巻です。高山裕二先生の訳文も解説も適切だし、日英の類書の中でもいちばん深みがあってお勧めです。英語版からして小冊になるだろうと思い、「寸鉄の洞察力」と推薦文を書いたのだけれど、できあがってみると192頁もあって案外大きい。今まで英文から引用してきたのを、今後はここから引用し直さないと。
Net IB News というオンラインの経済情報誌に、拙著のインタビューが掲載されています(「その他」ページ)。5回連続とかで、編集者の意気込みが感じられます。実業家向けなので、「不識塾」の説明もていねいになされており、リベラルアーツを通して物事の本質を見極める力を養うことが、真に尊敬されるグローバル経営者に必要なのだ、とも語られています。