* * ある卒業生からの便り * *
From: "K Y" #hotmail.com
To: momomomo#icu.ac.jp
Subject: 卒業式の写真です。
Date: Thu, 31 Mar 2005 08:40:46 +0900
森本あんり先生

 先日、卒業式で写真をご一緒に撮らせていただいた05NSの --KY-- です。お約束通り写真を送らせていただきます。引っ越し時期できちんとしたメールアカウントが使えませんので、フリーメールで失礼いたします。

 私が先生の授業を受けたのはたった一学期間だけ、私が一年生の時の春のインクリでした。ただ、大学で一番はじめに受けた先生の授業は衝撃でした。厳粛な雰囲気に、「これが大学の授業か!」と、毎回楽しみに受けておりました(ただ、ああいった雰囲気の授業をそれ以来受けていないのでその後少し失望することになるのですが)。

 その時の授業は(今でも続けておられるのでしょうか?)小さなコメント用紙が配られ、授業についてのコメントを求められ、それを先生が発表されるスタイルでした。当時キリスト教に強い疑問を持っていたこともあり、私は夢中になってコメントを書き、壇上の先生からそれをボロクソに、もとい辛辣に批判され、なんだか悔しくてまた返事のコメントを授業中にひたすら書いておりました。失礼ながら多少授業を犠牲にしていたように思います。

 先日引っ越しのために荷物を整理していますと、当時のコメント用紙が出てきて、内容の幼稚さ、青さに独り赤面していました。同時に、自分も多少は成長したのかという感覚も得ました。正直なところ、(先生の授業に限った話ではありませんが)授業の内容を今話してみろと言われればほとんど出てきません。忘れてしまっています。しかし、昔の自分を見て赤面したぶんの思考の差を生んだ原因の一つには必ずなっていると思います。

   私は今後大学院に進み、学部とは全く別の分野に取り組みます。学部では化学を学びましたが、大学院では海運を学ぼうと思っています。これが本当に正しい道なのか未だわかりませんが、とりあえず前に進もうと思っています。

 それでは、先生の今後のご活躍と、あの授業の雰囲気が今後も保たれることをお祈りしております。ありがとうございました。

05**** K. Y.

* * お返事の一部 * *
From: momomomo#icu.ac.jp
To: "K Y" #hotmail.com
Subject: Re: 卒業式の写真です。
Date: Thu, 31 Mar 2005 17:13:34 +0900 (JST)
K. Y. 君

 写真と心のこもったメールをありがとう。

   授業は今も同じように心がけていますが、いつも新たな苦労の連続です。それだけに、一度しか取らなかった授業で、受け止めてくれたものが大きかった学生がいることを知るのは、とても嬉しいことです。ICUのNS学生は、特にNS以外のところで学ぶことが大きいのかもしれません。

  * * *

 新しい勉強に進んでどのような道を拓くにせよ、君のような熱心を内にもつ人は、必ず成功すると思う。そういう学生を卒業生に持つのは、大学としてとても誇らしく思います。がんばれ。

森本あんり

* * 追伸 コメント * *
 大学の履修ガイドラインには、「このクラスはなるべく早く取った方がよい」と書いてあるらしい。その後の大学生活の基礎となるように、という理由からだろうが、わたしは、自分自身の感触からしても、また受講学生たちの反応からしても、上級生になってから取った方が得るものは大きいのではないか、と思っている。――とはいえ、学ぼうとする学生は、1年生も上級生でも、またその時に納得しても反発しても、やっぱりよく学んでいますね。後で記録を確認したら、彼の成績は文句なしのAでした。

   彼は、このクラスの実態を良い点も悪い点も率直に捉えていると思います。「コメントシート」は今でも同じように使っていますが、わたしのキツイお返事にめげた、という学生の声がときどき伝わってきます。みなさんめげないで、彼のように書き続けてくださいね。わたしも毎日何十枚と書きますので、いつも配慮のゆきとどいた文章を返せるわけではありません。そのうちいくつかを授業の冒頭で取り上げるために、本来のシラバス内容が消化できなくなる、というのも悩みのひとつです。

   でもそういう授業は、学生への語りかけにおいては、予定通り消化される内容よりも適切なことがあるでしょう。教師は、自分が教えていることがらの内容的な重要さについて、しばしば肥大した誤解を抱きがちです。しかし、彼も書いている通り、大学の授業の内容など、卒業してしまえばほとんど覚えていない、というのが本当のところでしょう。真摯に学び問うことの醍醐味を学べれば、それでよいのだと思います。

   とまれ、4年前を振り返って、自分の成長ぶりを思わぬところで確かめることができた彼の喜びが、わたしにもよく伝わってきて、嬉しくなりました。 K. Y. 君ありがとう。今後の活躍を祈ります。


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