ネット講座 識字問題研究入門
千葉杲弘
はじめに
ICUリテラシー研究会は、 1993年10月より週1度定期的に研究会を開催して来た。研究会は、「リテ研」の名で親しまれ、過去15年間多くのICUや他大学の学生、また一般社会人が参加し、ここからこの分野で国際協力に携わる専門家も誕生した。現在相当数のリテ研出身者が識字やノンーフォーマル教育の国際協力の最前線で活躍している。
研究会の中心であった筆者が2004年3月に大学院教授を引退した後も学生達の手でリテ研は続けられて来た。ところが、2007年3月に現役の学生メンバーが卒業するので、リテ研はこれまでの形式では継続することが困難になってきた。
多くの卒業生はリテ研が継続することを希望し、これまでのように、同じ分野に関心のある者が幅広く、世代を超えて参加できるような場が引き続き存在し、これまで通りの出会いや交流が続けられることを要望した。そこで現役の学生に今後も働きかけることと同時に、2007年よりネットを通した新しい研究会の活動を行うことが決まった。吉田先生と鈴木先生のご努力で、ICU のホームページのサブサイトとしてネット・リテ研が継続されることになった。
かって、学部や大学院の授業で聴講した講義を懐かしがるメンバーもおり、またこれまで接触のなかった外部の学生や関心のある人たちに内容を紹介するために、過去の授業の一部をネットで公開することにした。
識字問題に関した一般的な日本語の入門書は見当たらないので関心のある人には役立つことと思われる。もちろん専門的にさらに研究したい人もネット上で多くメンバーに問いかけ指導をあおぐことも可能である。
またメンバーのなかには理論研究だけではなく実践的経験の豊かな専門家も大勢いるので、実践を通したアドバイスを受けることも可能である。しかもメンバーは全世界でひろく活躍しているので、地球の反対側とも交流することが可能である。このネット講座が一方通行に終らないように多くのメンバーの積極的にネット参加・発信をすることを希望する。
筆者ももう73歳になったので、これまでのようなペースで講義の原稿を書き上げることはできないが、せめて2ヶ月に1度は新しい講義の主なアウトラインやレジメを加えていきたいと思う。
幸い、この今年は8名の新しいメンバーが加わり、熱心に秋のカンボジャへのスタディツアーの準備をしている。自主的な勉強も大切であるが、やはり講義を通した基礎的な勉強も大切なので、このメンバーに対して5日間の集中講義を行い、かって「国際教育研究」のコースで教えた内容を講義したところ、皆熱心に受講し、大きな成果が上がったように思われる。このコースアウトラインも近くネットで公開する予定である。昔このコースを受講した人には、楽しかった学生時代を思い出すためにもう一度目を通して下さい。
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