1.研究対象を選ぶ変遷
まず私たちは「通る声」とは一体どんな声なのかを研究しようと試みた。
しかし「通る声」の定義を考えたとき、以下のような疑問が出てきた。
通る声は響く声と同じなのか?
みなが同じ声を通る声だと思っているのか?
通る声は距離が短いとわからないが、遠くから叫んだときに遠くまで聞こえる。
実験は距離をとってやるべきか?
また、インターネットでサーチすると
言語学の音響系の情報(舌の位置や言語自体の性質など)や、
音楽系(呼吸方法や、体のどこに響かせるか、など)の情報が多く、
私たちの一般的に使用する「通る声」の定義は
様々な側面をもっている、多義的な言葉だということが明らかになった。
そこで、アナウンサーやガイダンスなどで一定の指標があり、
より身近で、主観的な意見の一致を得る可能性が高いと思われる
「聞き取りやすい声」を対象に研究を行うことにした。
しかしあくまでもそれは推測に過ぎず
「聞き取りやすい声」の基準は一定であるかを確認する必要があった。
それに加え、聞き取りやすい声の成分として
何が共通であるのかということが全くわからない状態であり、
(先行研究で言われていることも、ある研究は大きさ、
他の研究ではHZ数が重要な要素であるとしていて一定ではなかった)
予備実験を行うことにした。
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