水は異常な物質か?

 A. 比熱(Specific heat)または熱容量(Heat capacity)

  比熱: 1gの物質の温度を1 ℃上げるに必要な熱量 (cal/g)

  熱容量:1molの物質の温度を1 ℃上げるに必要な熱量 (cal/mol)

    熱容量 = 比熱x分子量

  ・比熱/熱容量の大きな物質ほど温まりにくく冷めにくい。

 

  Q: 地球上の最高気温、最低気温は?

  Q: 海水の最高、最低温度は?

  Q: 地球の平均気温・緯度による違いは?

比熱

熱伝導率 (ワット/cm・s・deg)

海水
0.94

  1400

陸地(砂)
0.23

   780

空気
0.24

    57

1.00

  1430

熱伝導率:物質内 での熱の伝わりやすさ(速さ)

    物質内 で1cm離れたところの温度が1 ℃上がる速さ(熱量/時間)

     (ワット/s・cm・deg)、 但し、1ワット=109cal

 

B. 密度

   密度:物質1cm3(単位体積)あたりの重さ(g/cm3)

  比重:同じ定義(無単位)

 

  その逆数(単位重量あたりの体積)・比容積(cm3/g)またはモル容積(cm3/mol)もよく使われる。

【例】水の密度は1 g/cm3, 比容積は1 cm3/g, モル容積は18 cm3/mol

  温度による物質の密度変化:一般に温度が高くなればなるほど密度が小さくなる。

               (分子間のすき間が大きくなる)

  水の場合は、0 - 4 ℃では逆の傾向を示す。なぜ?

   4 ℃で密度が最大(1 g/cm3)となり、それよりも高温では通常の物質と同様に密度が小さくなる。

     

   Q・この異常性は地球環境にどのような影響を与えるか?

  

  氷の密度 = 0.92 g/cm3  なぜ?(一般に固体の方が液体の密度よりも大きい)

       氷は水に浮く。通常の物質ではこのような事はない。

 

   Q・この異常性は地球環境や人間生活にどのような影響を与えるか?

 

C. 蒸発熱(Heat of vaporization)

 

    液体 ← → 気体

 

蒸発熱:1gの液体を完全に気体に変えるに必要な熱量 (cal/g)

    分子間力をふり切って自由に運動するためのエネルギーと考えることもできる。

    水の蒸発熱 = 540 cal/g or 9720 cal/mol

 

・蒸発熱が大きいほど蒸発しにくい = 蒸発の際に多くの熱をうばう。

  逆に、気体が液体になる時に大きな熱量を放出する。

・蒸発熱が大きいな物質ほど分子間力(凝集力)が大きい。

・蒸発熱が大きいな物質ほど沸点(bp)が高い。沸点は分子間力の大きさを示す尺度。

 

D. 融解熱(Heat of fusion)

 

     固体 ← → 液体

    

   融解熱:1gの固体を完全に液体に変えるために必要な熱量 (cal/g)

    融けにくい = 固体状態における分子間力が大きい → 融点(mp)が高い

  氷の 融解熱 =80 cal/g or 1440 cal/mol

      1gの氷を1gの水に変えるために必要な熱量

     氷ほど大きな融解熱をもつ物質は少ない = 氷は優れた冷却剤

 

【比 較】

 a. 水(H2O)と水の仲間 (H2X, X= S, Se, Te)と比較する。

    mp, bp, 蒸発熱 (配布したグラフに記入せよ)

 

 b. 水(H2O)と水の類縁化合物 (CH4, BH3, NH3, H2S, HCl)のbpを比較する。

H2O

CH4

BH3

NH3

H2S

HCl

メタン

ボラン

アンモニア

硫化水素

塩化水素

分子量

18

16

14

17

34

36.5

沸点 bp (℃)

100

-162

-92.5

-33

-60

-84

Water is abnormal indeed !

なぜか?  Why? どうして?

 

 Q・この異常性は地球環境や人間生活にどのような影響を与えるか?

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