3. 地球の温度
3a. 地球の温度を決めている要因(太陽系第三惑星、地球温暖化)
地球は惑星の一つとして宇宙空間とたえず熱交換している。熱エネルギーの供給源の大部分は太陽熱であり、地表を覆う海水と陸地と大気が太陽熱を吸収・保持するが、その熱はやがて冷たい宇宙空間(平均温度: 3K)との熱交換により放射熱として逃げてゆく。地球は太陽系惑星の中で特異な条件を満たしているために平均気温が15℃に保たれている:太陽からの距離が金星と同じであれば灼熱状態(200℃)、火星と同じであると平均気温は-50℃位になる。また、地球が土星、木星のように大きかったとしたら大気は水素、ヘリウムが主成分であったろう。月のように小さな星では水分子を引力圏内に留めておくことができない。地球上に水が液体として存在できるのは、宇宙的には実に狭い温度条件を満足しているからである。また、比熱の大きな海が地表の70%を覆っているために太陽熱をゆっくり吸収・放熱することにより急激な温度変化を防いでいる。
地球の気温は、誕生以来45億年間に大きく変動してきたに違いない。人類が地球に現れた最近数百万年間では何が原因となって気温変化が起きたか調べる。今問題となっている地球温暖化が200年前の産業革命以後の化石燃料の消費によるのかを、地球温暖化の原因と機構を調べながら考察する。
3b. 地球の気温と人間生活
温暖な気候は多種多様な生物の生存を可能とし、人間生活をも可能とさせている。もしも地球規模の温度変化が起きると気候異変が起きるだろう。エルニーニョや大規模な火山爆発と気象との関係を考える。地球における四季の変化が太陽熱の供給量と関係することはすでに常識であるが、それが多種多様な動植物の生存を可能にしていることを見直す。また、人間は高温多湿な熱帯、灼熱の砂漠地帯、極寒地帯にも生活している事に目をとめ、温度変化への適応の知恵に学ぶ。
3c. 生命活動が可能な温度範囲(生体反応と温度)
ミクロな視点での生命体の生存条件は、多種多様な酵素反応と生体分子間の相互作用によって営まれている生体反応が止むことなく続くことである。生体反応という一種の化学反応は、太陽から供給される熱と光エネルギーによって支えられている。光合成によって有機化合物(ブドウ糖)と酸素がつくられ、ブドウ糖からさらに物質代謝によって生体が必要とする物質とエネルギーがつくりだされ、生命活動を可能にしている。人間以外の一般的な動植物は適度な熱と光に恵まれる春や夏の季節には生命活動が活発となり、乏しい冬は活動を抑える。マクロな目でいえば、成長開花・繁殖時期と落葉・冬眠がそれにあたる。
このように温度が生物に与える影響をミクロとマクロな視点で考える。