国際基督教大学 比較文化研究会

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30周年記念特別講演

ICU比較文化研究会の詳しい歴史については、並木浩一名誉教授による比較文化研究科30周年記念講演 [講演全文](並木浩一「《特別講演》比較文化の歩んだ30年と将来」)をご覧ください。

ICU比較文化研究会について

設立目的

「ICU比較文化研究会」は国際基督教大学(以下、ICU)を母体として、同大学の比較文化研究科に所属する教員・学生の共同イニシアティヴによって、会員相互の学問的触発を目的として発足された任意団体です。1980年の創設以来、比較文化研究科の学生・教員、修了・退学者に広く呼びかけ、学術会合を開催し、研究成果を発表しています。 学問から何かを受け取るだけでなく、新しい何かを加えることが研究者の仕事であり、この研究会はメンバーがその仕事を担うことを容易にするための組織です。 すなわち、同じ研究科に関わる者同士で、互いに学問的能力を引き出し高め合う趣旨の研究会であり、そのため会員にはまずお互いの研究分野を把握し、一致した関心領域を発見・発展させることが期待されます。 以上のような趣旨に基づき、新たに比較文化研究科に加わる方々には当研究会への入会を奨励しています。

主な性格

比較文化研究会は小規模な団体ではありますが、いくつもの顔を持っています。教育的性格をおびた学術団体であり、研究科学生を代表する組織であり、さらに教員学生一体の親睦団体でもあります。自己規定が曖昧であるとも言えますが、古典的な大学の名残を留めるものとも言えます。その主な性格は以下のように整理できるでしょう。

【教育的性格をおびた学術団体】特に学生会員に発表の機会を提供し、研究を奨励する場となっています。また、講演、論文報告会など様々な会合を主催し、学術誌『ICU比較文化』を発行し、すぐれた博士論文を『ICU比較文化叢書』として出版もしています。

【研究科学生の代表組織】比較文化研究科の学生が使用する院生研究室やセミナールームなどの大学施設の管理は、比較文化研究会の民主的な決定に委ねられます。大学からの助成金も、比較文化研究科の在籍者に相当する部分は、比較文化研究会が管理する予算会計に繰り入れられます。すでに述べた出版事業についても、費用の一部は大学からの支援によって支えられています。従って、大学から一定範囲の権利の配分を委ねられた自主管理団体とであると位置づけられます。

【親睦団体】比較文化研究会は学生・教員・OB / OGの親睦団体的な性格も帯びています。これは特に独自の同窓会などのない修了者や退職教員に当てはまります。広い研究領域に少数の研究者が分散していく研究科の特性を考慮すると、この性格の持つ意味は決して無視できるものではありません。

大学院比較文化研究科と比較文化研究会

比較文化研究会と比較文化研究科は、名称がたった一字の違いである通り、いくつかの本質において重なり合う組織です。それぞれ同じ教員と学生を主な構成員としており、研究会長職も研究科長が兼ねるのが従来の慣例です。

ただし研究科は大学院に属する公的な教育・研究機関ですが、比較文化研究会は独立した任意団体です。正確に言えば、研究会のメンバーは退職教員、修了者・退学者まで含みます。また研究科には教員会議という合議体があり、学生はその意志決定に与りませんが、研究会の執行機関である運営委員会は伝統的に修士課程学生を中心とする学生により構成されます。研究会の意志決定機関である総会には教員も一会員として出席しますが、投票権などの資格は学生と同等です。

自発的組織としての意義

以上のような性格を重ね合わせれば、比較文化研究会はまず大学の事業を補完する団体と言えるでしょう。大学が丸抱えにはできないが教育研究上重要な事業を、大学との信義に基づき、会員の発意と負担によって遂行する団体として、当研究会は機能しています。

ただし、ただ単に大学組織の補完的役割を果たすばかりでなく、研究科の自発性を支え、その研究環境を規定する積極的役割も果たしています。どのような学校にも、いわゆる学風と呼ばれるような組織文化というものがあります。それらは規約や組織図には現れずとも、善きにつけ悪しきにつけ存在するものです。比較文化研究会は、比較文化研究科だけでなく、時にICU全体の学風を左右する団体です。比較文化研究科は、日本の伝統的な大学院システムへの反省に基づき、集中した専門だけでなく広い視野も備えた自発的な研究者の養成を眼目に設立されました。しかし自発性を養うに制度をもってするという発想には限界があり、比較文化研究会のような自発的な組織の果たす役割への期待は極めて大きいのです。