6.結果と考察その2


2.	壁を押す動作


  
重心から垂直に直線を引くと、前足(右足)の上を通る。


考察
パントマイムにおいては、重心は前の足の上にあることが確認できた。これは1と同様に
両足の間に重心があることで人間が立っていられることに加え、より押している、つまり
前に体重がかかっているように見せかけるための限界の位置に重心を持ってきているので
あろうと考えられる。
実際に壁を押す場合、引く動作とは逆に後ろの足に体重がかかっている。押す動作を行っ
ている場合、前の足を上げることは可能だが、後の足は上げると押す動作が困難になって
しまう。押す動作を行っている場合前に力を入れることで前に倒れるようなトルクが人の
体に働く。それを壁を押すことで、その反作用を用い、前に倒れないようにしている。
一方、パントマイムでは壁を押しているように見せるために、前に倒れるようなトルクを
表現しなければならない。前に倒れるようなトルクを表現するために、マイミストは重心
を倒れるギリギリの位置に持ってきていると考えられる。このことから、重心は前の足の
上に置かれているのだと分かる。ビデオから、押す動作を表す場合は、手の位置が動かな
いということが観察できた。実際に壁などの動かすことのできないものを押す場合には、
手の位置は変わらない。このことから、壁などを押すパントマイムをするときには、重心
が前よりになり、体が前に動いても手の位置を変えないようにしていると考えられる。
物体を押す動作においても、重心はやや前足よりになければばらないため、実際に押す
(よりかかる)物体がないパントマイムで両足をそろえてしまうと、立った状態を保つこと
は難しい。


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