水とのつきあい方
    
ref: 半田高久 「地球ー水ー思う」化学同人 (1982)

1. 水利用のすべての面(生活、農業、工業)で利用のあり方を変える。

   水資源の有効利用を追求する→「中水」利用(プリント図参照)。

   キーワード:節水と再利用

    節水は、下水の処理効率を高める

    ∵汚染物質の量 = 水量x濃度

             (節水)

  利用(甘え)から共生へ(人間中心の水の価値観を見直す)

  

2. 環境を汚さない:自然環境が本来持っている機能を十分発揮できるよう保つ。

   環境:海、河、大気、大地、森林、地下水

   環境が危機にさらされている

    ・海:もはやゴミ捨て場ではない(50億人のゴミ処理能力はない)。
      海は生物のすみか、大浄化装置、気候緩和機能だ。
    ・河:流入する物質のため自然浄化能力を越えていないか?
    ・大気:工場、車の排気ガスで酸性雨、光化学スモッグが発生。
       フロンによりオゾン層が破壊し、紫外線(UV)の遮断効果が減少。
    ・大地:舗装により大地に雨がしみ込まない(保水機能の喪失)
         → 地表の汚れが直接河川に流れ込む。
    ・森林:伐採により涵養機能(保水、ろ過)が失われ、土石を含む急流が
       川に流れ込む。
    ・地下水:ハイテク産業工場からは有機ハロゲン化合物が、
        田畑、ゴルフ場からは除草剤がしみこんでいる。

 

   人間活動のどこが汚染源となっているのか?

毒物、化学物質(廃棄物)、硫黄・窒素酸化物 -------------  工場から
化学肥料(富栄養化)、農薬 ----------------------
-------- 農業(田畑から)
生活排水/生ゴミ、中性洗剤、車の排気ガス、--------
------- 生活の場から
トリハロメタン -----------------------------------
------- 水道水の塩素殺菌から
放射性物質 -----------------------------------------------核実験、原発事故から
原油の流失 ----------------------------------------
------ 戦争、タッカー沈没から
フロン(オゾン層破壊)------------------------
---------- 冷蔵庫・クーラーの冷媒もれ

 

3. 水(自然)と親しむ

   自然はそのままで美しく、時に厳しく、安らぎを与えてくれる場。

   自然に生きる人間以外(植物、動物)の存在と変化(成長)を見ながら生活する。

   身近な自然に親しみ、大切にする(自然を体験的に知る)。

 

    野川
    芥川龍之介と大川
    ICUキャンパスの自然
    私の幼年時の体験(昭和30年代)

Q おいしい水とは?

 

これからの生き方 

  Think globaly, act locally!

  地球的視野をもち、行動は足元から

「水は自然生態系と人間社会の共通の友である」という認識が必要だ。

 

1. 地球的視野とは?

・地球という特異な星の特徴を、地球人の一人として正しく知る。
地球は、水と緑と生き物のすむ巨大な宇宙船:“宇宙船・地球号”

その上にすむ全ての動物、植物、微生物、ヴィールスに至るまで運命を共にしている。しかも、お互いに支え、支えられつつ生存している(生態系・Ecocycle)。また、いろいろな物質循環(水、炭素、エネルギー、酸素etc)とも密接な関係をもちながら生活している。

人間はそのような自然の中の一生物種である。

・人間活動の環境に与える影響の大きさを知る。

人口の爆発的増加

大規模な産業活動による大量のエネルギー消費、物質生産/廃棄

大規模な物質利用(石炭、石油、鉱物、人口合成物質、放射性物質)

その結果:  

自然環境の物質循環(H2O, CO2, O2)のバランスをかく乱

生態系 をかく乱(動植物の種の激減、目に見えない地中動物、バクテリアの減少、森林の減少)

   

*公害:地域的な人間生活への害的影響

環境問題:地球規模の公害問題

 

2. 足元からの行動とは?

・生活の場から始める
資源のむだ使いをやめ、リサイクル生活スタイルへ

(紙、アルミ缶、牛乳パック、空きビンのリサイクル)

*「地球を救う127の方法」

・ビジネスの場で:環境にやさしい製品開発、部品のリサイクル---

・教育の場で(環境教育:ベオグラード憲章, 1975; トビリシ宣言, 1977)

・いま置かれている社会の場で

学生、主婦、会社人、化学者----

3. 具体的な目標をもって

  国際的に

   ・CO2排出量の規制(京都会議, 1997)

   ・フロン生産、消費量の規制(モントリオール議定書, 1991)

  国家単位で

   ・「環境税」

   ・「自然保護法」、エコマークの導入(ドイツ)

  国民(地球人)として

   ・できるだけ自家用車をやめて電車、バスを利用

   ・車のスピードを出さない(不完全燃焼は大気汚染を増す)

   ・布製の買い物袋を持ってショッピング

   ・ゴミを少なくする努力

    etc. etc. ----

▲ Topへ

▲元(講義資料)へ戻る